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雨の中の涙のように…。ルトガー・ハウアーin『ブレードランナー』

雨の中の涙のように…。ルトガー・ハウアーin『ブレードランナー』
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【最近の私】
TV番組『孤独のグルメ』がお気に入りです。
主人公の松重豊がおいしそうに食べるので、観ていてお腹がすきます。
 

以前、田近裕志さんがChewing Overのコラム『明けの明星が輝く空に』で、特撮番組の悪役について紹介した時(http://jvtacademy.com/blog/co/star/2014/03/51.php※PCのみ)、この悪役コラムについて触れてくれたことがある。その時に田近さんは、まだ登場していない悪役として、ルトガー・ハウアーが『ブレードランナー』で演じたキャラクター、ロイ・バッティを推していた。今回は彼を紹介したい。
 

映画の舞台は2019年11月のロサンゼルス。大気汚染のため酸性雨が降り続いている。地球の環境悪化のため、多くの人間たちは宇宙に移住し、地球に残る人々は高層ビルが並ぶ過密な都市で暮らしていた。宇宙を開拓するために開発されたのが、タイレル社が開発した人造人間「レプリカント」だ。レプリカントは人間よりも強い力と敏捷性を持ち、高い知性も持っていた。彼らは開拓地での奴隷として労働していたが、反乱を起こす。逃亡して人間社会に紛れ込むレプリカントを処刑するのが、特捜官「ブレードランナー」だ。
 

そんな中、レプリカント6人が宇宙船を乗っ取り、乗客を殺して地球に戻り潜伏する。そこで、かつては優秀なブレードランナーだったが現在はその職を辞めていたデッカード(ハリソン・フォード)が、元の上司からの依頼で、逃亡したレプリカントたちを探すことになる。
 

地球に逃亡したレプリカントのリーダーが、ルトガー・ハウアー演じるロイ・バッティ。彼はレプリカントを開発したタイレル社の社長、タイレルの自宅に行き、こう言う。「俺の寿命は何年だ。もっと生きたい」と。レプリカントの寿命は4年に設定されている。生きている時間が長いと、感情が芽生えて反乱を起こすからだ。タイレルの反応は「寿命は変えられない。明るく燃える火は消えるのも早いんだ。短い命を全うしろ」。それを聞いたロイは、怒りと絶望の表情を浮かべ、タイレルの顔面を両手で挟み、ギリギリと力任せに潰してしまう。長く生きたいという最後の望みが絶たれたレプリカントの、どうしようもない怒りを感じさせるシーンだ。
 

映画の終盤、ついにロイとデッカードが対決する。デッカードがロイを銃で撃とうとするが、ロイはデッカードの手をつかみ、指をへし折る。まったく歯が立たないデッカードは必死にビルの屋上へと逃げる。ロイはデッカードに問う。「恐怖を感じながら生きるのはどんな気分だ? これが奴隷の一生だ」。奴隷であるレプリカントによる、人間への復讐だ。しかし、デッカードが屋上から落ちそうになると、ロイがデッカードの腕をつかみ、助ける。
 

ロイが言う。「俺は、お前たちが想像もできないものを見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙船、タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ。だが、そんな思い出も消えていく。雨の中の涙のように…」。「雨の中の涙」は脚本になかったセリフだが、ルトガー・ハウアーのアドリブで加えられた。この言葉があるからこそ、レプリカントの悲しみが深くなったといえる。そして「死ぬ時が来た」とつぶやき、ロイは動かなくなる。レプリカントは外見が人間そっくりで、感情も持つようになった。長く生きたいと願うのは、人間と同じだ。だが長く生きる術はなく、レプリカントは奴隷として短い命を人間に捧げ、死んでいく。ルトガー・ハウアーが演じ、人造人間の悲哀を漂わせるロイは『ブレードランナー』で強い存在感を放っている。
 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)

映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
 
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

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