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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

オール・オブ・ミー ~突然半身が女に!~

オール・オブ・ミー ~突然半身が女に!~
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人間は誰しも「表」と「裏」の顔を持っている。善良なはずの自分が時に悪の心を持ってしまうなんていうのは、よくあることだ。ただ、こうした二面性は通常交互に現れるものだが、もしそれが同時に現れたら一体どうなるだろう?

 
今週の1本は、スティーヴ・マーティン初期の名作『オール・オブ・ミー/突然半身が女に!』。邦題サブタイトルのとおり、「突然半身が女に!」なるというナンセンスな設定で進行するファンタジーコメディだ。

 
マーティン演ずる弁護士のロジャーは、上司から大富豪のわがままな女主人エドウィナ(リリー・トムリン)の遺言の管理を任される。生まれながらに心臓に病を持ち、その半生をベッドの上と車椅子で過ごしてきたエドウィナは、全財産を馬の世話係の娘・テリー(ヴィクトリア・テナント)に相続させると言い出す。エドウィナは、インド人霊術師の力を使って若いテリーの体に乗り移り、輪廻転生することを企んでいたのだ。ところが、ひょんなことからエドウィナの魂はロジャーの右半身に乗り移ってしまう。

 
この理不尽な状況で、ロジャーは困惑し、慌てふためく。全編、その連続だ。

 
見せ場は何と言ってもマーティンの一人二役というか、「一人半役×2」の演技だろう。左の自分(ロジャー)はその場から動きたくないのに、右の自分(エドウィナ)は前に進もうとする。ロジャーがトイレで用を足していると、突然エドウィナが割り込んでくる。ロジャーは制御不能に陥り、パニックに…。周囲の人からは、突然変な動きをしたり、いきなり独り言をしゃべり出したりするアブナイ男にしか見えないのだ。

 
マーティンの天才芸をぜひともご覧いただきたい。

 
監督はカール・ライナー。本作はマーティンの初主演映画『天国から落ちた男』(1979年)、『スティーヴ・マーティンの四つ数えろ』(1982年)、『2つの頭脳を持つ男』(1983年)と続く、“マーティン×ライナー4部作”(勝手に命名)の4作目である。

 
マーティンはこの映画がきっかけでテリー役のヴィクトリア・テナントと結婚した。『L.A.ストーリー』(1991年)でも共演していが、その後、離婚している。

 
映画の原題は『All of Me』だが、その原作となった小説は『Me Two』である。

 
そう言えば、2年ほど前にドリームワークスがこの映画のリメーク版を制作すると発表したが、その後どうなったか? マーティンンがカメオ出演するようなシャレがあったらうれしい。

 
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『オール・オブ・ミー ~突然半身が女に!~』
監督:カール・ライナー
出演:スティーヴ・マーティン、リリー・トムリン、ヴィクトリア・テナント
製作国:アメリカ
製作年:1984年
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Written by 小笠原 ヒトシ(オガサワラ・ヒトシ)
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[JVTA発] 今週の1本☆
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。


 

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