News
NEWS
[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『憑神』

今週の1本 『憑神』
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

4月のテーマ:重さ
 

日本人は見えないものの「重さ」にとても敏感だと思う。
自分の体調が悪いときや、疲れがたまっているときには「体が重い」といい、肩がこっているときには「肩が重い」という。そして、それらの言葉の前に「憑き物が憑いたように」という常套句がつくことに、何も疑問をもたないだろう。これは日本人が、見えないはずのものでさえも感じ取ろうとして、できた表現だと私は思っている。
 

私が今回、ご紹介したい作品は『憑神』。
3人の災いの神様に憑かれた武士のお話である。
うだつのあがらない下級武士の別所彦四郎は町で酒をのんでいるときに「みめぐり神社」へお参りをすると福を呼べるという話を聞く。その帰り道でたまたま「みめぐり神社」を見つけ、お参りした彦四郎だが、憑いていたのはなんと貧乏神、疫病神、死神だった。
 

福を呼ぶのは「三囲神社」で、彼がお参りをしたのは「三巡神社」だったのだ。次から次へと厄が身に降りかかる彦四郎は、憑いた神様を知人に憑かせることが出来れば自分は災難から逃れられると知り、何とか他の人へ憑かせようとする。しかし、だんだんと他人の苦しい姿をみるより自分が苦しむほうが良いと感じ、自分の運命を受け入れていく。
 

神社が身近にあり、八百万の神様に気軽にお参りをする日本ならではの面白さがこの映画にはあると思う。また、私が特に気に入っているのは貧乏神を演じている西田敏行さんの演技だ。一見陽気そうに見えるのだが、どこか人間ではない怖さを感じさせる、絶妙な演技を見せている。
 

何だか最近「重さ」を感じるなぁ、という方はぜひ「憑神」をみて、くすっと笑って、「重さ」を飛ばすのも良いかもしれない。
 

──────────────────────────────
『憑神』
監督:降旗康男
出演:妻夫木聡、夏木マリ、佐々木蔵之介
製作国:日本
製作年:2007年
──────────────────────────────
 

──────────────────────────────
Written by 行田梨紗
──────────────────────────────
 

[JVTA発] 今週の1本☆
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page