News
NEWS
[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『花の詩女・ゴティックメード』

今週の1本 『花の詩女・ゴティックメード』
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

2月のテーマ:リバイバル/リメイク
 
 

「ドリパス」を知っていますか?

ドリパスとはファンがリクエストした作品を映画館が上映するサービスで、ある一定の数のリクエストが集まると上映が決定する。本当にその作品が好きな人だけが集まるので、普通とは違う雰囲気が味わえるのが魅力だ。
 

私がドリパスで観に行った作品は劇場版アニメ『花の詩女・ゴティックメード』(以下『GTM』)だ。作者は永野護氏。『機動戦士Zガンダム』にでてくる「リック・ディアス」や「キュベレイ」などのモビルスーツを作画したデザイナーである。『GTM』は作者のこだわりがハンパなく発揮された作品だった。映像は当時では珍しかった4K解像度で音響はドルビー・アトモス9.1ch対応。つまり、本来のクオリティで観たいのなら映画館で観るしかすべがないという作品だったのだ。現時点でも、作者が満足するメディア化の技術がないため商品化されていない。「ドリパス」を利用するしかないのだ。
 

『GTM』は、列強国の力関係に挟まれながら暮らす人々の支えである預言者“詩女(うため)”が聖都「ハ・リ」へ向かう途中に起こるできことを描いたロボットアニメだ。
 

永野氏にはこの作品とは別に彼のライフワークともいえる『ファイブスター物語』(以下FSS)というマンガがある。1986年から30年にわたり月刊誌で連載をしている作品だが、他の長期連載作品とはちょっと違っている。普通30年も連載していればマンガは“こち亀”や『ゴルゴ13』のように単行本200巻に近づくはずだが、『FSS』は約30年でたった13巻。単行本発売が近づいたり、『GTM』の制作が始まると長期にわたって連載が休止されるのだ。彼の奇才ぶりにはファンでも困惑させられるときがほかにもある。もともと『GTM』は『FSS』のスピンオフ的な存在だったのだが、『GTM』が完成して『FSS』の連載が再開されると、メインストーリー以外の設定を突然『GTM』にあわせて変更してしまった。今まで30年近く慣れ親しんできたロボットのデザインや名前が変わり、見た目も名前もまったく違うものになってしまったのだ。でも、新しいロボットのデザインは慣れてくるとすごくかっこよくて美しく、今の時代にぴったりである。
 

『花の詩女・ゴティックメード』は、一癖も二癖もある作品だが、いつでも好きなときに映画を観ることができるこの時代に簡単には観られない! となればなおさら観たくなるのが人の性である。 いま、日本でもNetflixの視聴者が増えているが、2017年にはアメリカ国内で、ストリーミングとダウンロードによる売上が映画館の興行収入を超える見込みだという。そんなオンデマンドが当たり前になりつつある時代でも“この作品を観たい”という同じ思いを抱く人たちと同じ空間で同じ時間に大きなスクリーンで映画を観ることは“映画を楽しむ”という一つの醍醐味ではないだろうか。皆さんもぜひ、ドリパスで好きな作品をリクエストして映画館で観る醍醐味を味わって欲しい。
 

作品情報
 

『花の詩女・ゴティックメード』
(2012年11月公開)
http://gothicmade.com/
 

『ファイブスター物語』
(アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』にて1986年4月号より連載)
http://automaticflowers.ne.jp/fss/
 

ドリパス
https://www.dreampass.jp/
 

Written by 塩崎 邦宏
 
 

[JVTA発] 今週の1本☆ 2月のテーマ:リバイバル リメイク
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page