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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本  『アクシデント』(中国語タイトル 意外)

今週の1本  『アクシデント』(中国語タイトル 意外)
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7月のテーマ:意外
 

今回のテーマが「意外」と知ったとき、以前見たある映画をすぐに思い出した。香港ノワールの巨匠ジョニー・トーが製作しソイ・チェンが監督した眩惑的なサスペンス・ノワール映画『アクシデント』だ。日本では、2009年の第10回東京フィルメックスで『意外』の邦題で上映され、その後2011年10月8日に一般公開された。ちなみに中国語では、「意外」を名詞で使う場合、「事故」という意味になる。
 

香港の裏通りで、女が運転する車が故障。後ろの車から降りてきた男は女にひたすら文句を言うが、女は謝るばかりでらちが明かない。男は、仕方なく僅かな隙間から別の道へ。すると正面から大きな魚を運んでいるトラックがきて、あやうく衝突しそうになる。トラックが道を譲り、2台の車が行きかう瞬間、トラックから水が飛びちり、男の車の窓を覆う。男の視界が遮られた一瞬の隙に、ビルにかかっていた横断幕の片方のワイヤが外れ、男の車のフロントガラスに落下。急ブレーキで停車した男は車から降り、その横断幕をどかそうと引っ張る。すると残った片方のワイヤが外れ、ビルの2階のガラス窓を直撃。割れたガラスの破片が男の頭上に突き刺さる。救急車が現場に向かうが、先ほどの女の故障した車が道を塞ぎ、入っていけない。その間に男は血まみれのまま、死んでしまう。
 

一見、事故のように見えるが、これは、ブレイン(ルイス・クー)が率いる4人組の仕業だ。彼らは、緻密な計算と周到なトリックによって事故に見せかけ標的を殺害する闇の仕事人。ブレインは、計画を実行する際、自分が危険な目にあわないよう、慎重に慎重にと動いていた。しかし、ある作戦を実行した時、意外な展開に巻きこまれ、その殺人計画は失敗してしまう。これは自分より優秀なプロが自分を狙って仕掛けた罠だと疑ったブレインは、ある人物を調べ始める。そんなブレインに、仲間は「その人物は、ただの一般人。考え過ぎだ」となだめる。しかし、ブレインは、その助言さえも陰謀だと思い込み、仲間まで疑うようになる…。
 

”意外“を常に仕掛けているブレインは、「自分はそんな“意外(アクシデント)”に遭いたくない」というトラウマに落ちいり、最後は“意外”な結末になる。人間っていうのはやはり悪いことはやっちゃいけないのだ。悪いことをすると、人はだんだん罪悪感に捕らわれ、 “意外(アクシデント)”が起こる日が“意外”と遠くないのかもしれない。でも、物事がうまくいかないときにはこうして映画を楽しみ、良心が咎めるような行動をしなければ大丈夫だ。映画の中で出てくるような“意外(アクシデント)”は我々には“意外”と遠いはずだ。
 

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「アクシデント 」 ※中国語タイトル「意外」
監督:ソイ・チェン
脚本:セット・カムイェン、ニコール・タン
製作:ジョニー・トー
出演者:ルイス・クー、リッチー・レン
製作国 :香港
製作年:2009年
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Written by 李寧
 

[JVTA発] 今週の1本☆ 6月のテーマ:意外
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

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