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発見!キラリ 名前に願いを

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7月のテーマ:願い

 
「七重」という名前は、7(ラッキーセブン)が重なるとも読めるので、親がギャンブル好きなのかと聞かれることがある。子どもの頃はこの古風な漢字があまり好きになれず、「紗紀ちゃん」や「恵里菜ちゃん」みたいな名前をうらやましく思っていた。京都の大学へ進学すると、名乗る度に「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」という古歌を読まれた。なんとも風情だと思うかもしれないが、「外には山吹の花が咲き誇っているのに、うちは貧乏で雨を避ける蓑を貸すこともできません」という意味の切ない歌だ。

 
名前にまつわるエピソードはいろいろあるが、そもそも「七重」の由来は何なのか。考えてみればきちんと確認したことがなかった。親が子どもの名前に願いを込めるというのはよく聞く話なので、あらためて聞いてみることにした。

 
父曰く、初めに考えた名前は「かさね」だった。松尾芭蕉の『奥の細道』に出てくる女の子の名前らしい。芭蕉が弟子の曾良と那須野を旅していたときに出会った女の子で、花びらが重なった八重撫子を連想させる名前だ。ただ、江戸時代の物語の幽霊にも同じ名前があると気が付いて躊躇した。八重という案も出たが、母の知り合いに七重という名前の素敵な女性がいたことから、この名前になったらしい。

 
決め手となったこの女性には会ったことがない。少なくとも会った記憶はない。でも、この人の名前ならいいじゃないかと誰かに思わせるような素敵な人だったのだろう。私はまだまだ人としてまるくなりきれず未熟なところが多いが、いつか誰かに、「あの人の名前だし娘の名前としていいじゃないか」と思われるような女性になりたい。

 
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Written by 板垣 七重
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[JVTA発] 発見!キラリ☆  7月のテーマ:願い
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。

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