News
NEWS
[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『ぼくの神さま』

今週の1本 『ぼくの神さま』
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

11月のテーマ:戸惑い

 
「とまどい」がテーマと聞いて、すぐにこの映画を思い出した。今はもう面影がないが、当時子役として『A.I.』などに主演し、大人気だったハーレイ・ジョエル・オスメントが主演し、ポーランドで撮影された映画『ぼくの神さま』だ。

 
ポーランドの小さな村を舞台に、ナチス占領下の過酷な現実の中でも、友情をはぐくみ、淡い恋心を感じ、成長していく子どもたちの姿を描いている。子役たちの演技が自然ですごいと話題になったが、主役のロメックを演じるオスメントよりも、ロメックが預けられた家の幼い弟トロを演じたリアム・ヘス(当時8歳)がさらに上をいく見事な演技を見せている。

 
11歳のユダヤ人の少年ロメックは、ユダヤ人強制連行から逃れるため、両親のつてを頼りにポーランド東部の小さな村にやってくる。ロメックを受け入れた農夫のグニチオと妻エラには、12歳のヴラデックと弟のトロがいた。兄のヴラデックはロメックを嫌い高圧的だったが、優しい弟のトロは好意的でロメックを慕うようになる。

 
ロメックの父親は大学教授で、ユダヤ人ということを隠して生きられるようにロメックにキリスト教のお祈りの仕方を教えこんでいた。そして1人村に来たロメックは、生まれて初めてカトリックの教会に行く。すべての事情を理解していた神父は、彼がカトリックに偽装することを許していた。そして、誰にも気づかれないように、ロメックにユダヤ人としてのアイデンティティと誇りを保たせ、命の安全を守ろうとする。ロメックは次第に皆と打ちとけていく。

 
ある日神父は、子どもたちにカトリックの教義を学ばせようと、キリストがユダヤ人であったことや、12使徒の物語を教える。さらに12使徒のことをよく知るために、くじ引きで引き当てた使徒になってみるゲームをしようと提案する。だが、最も幼いトロが「自分はキリストになる」と主張する。その後トロは、キリストをまねて自分の手のひらに釘を打ち付けようとしたり、帽子の下に茨の冠をかぶったりと奇妙な行動をとり始める。

 
そんな中、ナチスの侵攻は村にまで迫り、禁止されている豚を飼っていただけで兄弟の父グニチオが殺される。父の死後、トロの不可解な行動はエスカレートしていく。トロが感じていた大人の世界へのとまどいがより激しいものとなり、「僕がみんなを助けなければ」という強い思いがトロを突き動かしていたのだ。

 
そして、ラストシーン。トロの行動に誰もがとまどう。いつまでも忘れられない静かな衝撃。トロの気持ちに圧倒されながらも、どうして…と、とまどう私がいた。その結末はぜひ、ご自身でじっくり見てほしい。皆さんはトロの真意をどのように受け止めるだろうか?

 
残酷で悲しいシーンもあるが、私たちが忘れてはならない反戦の気持ちや平和のありがたさを改めて意識し、考えさせてくれる作品だった。

 
『ぼくの神様』
英題:EDGES OF THE LORD
製作年:2001年
製作国:アメリカ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ウィレム・デフォー 、リアム・ヘス
監督・脚本: ユレク・ボガエヴィッチ
製作総指揮: ダニー・ディムボート / トレヴァー・ショート / ボアズ・デヴィッドソン

 
Written by 齋藤恵美子

 
〔JVTA発] 今週の1本☆ 11月のテーマ:戸惑い
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page