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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第23回 「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part II

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第23回 「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part II
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今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

“Viewer Discretion Advised!”
これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
Written by Shuichiro Dobashi 

第23回「発表!Best of the Best Drama 2000-2015」 Part II
“Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
 

アメリカン・ドラマの黄金時代を楽しもう!
この15年間で米国ドラマの品質は急激に向上しました。その理由としては、①CGの劇的な技術革新及びそれに伴う大幅なコストダウン、②メジャーな映画アクターのドラマ出演増加とミニシリーズの充実、③“Survivor”、“American Idol”など人気リアリティ・ショーの台頭による競争激化・相乗効果などが挙げられます。しかしながら、最大の理由は‘優秀な脚本家のドラマへの流入’だと断言できます。映画と同様に、ドラマにおいても生命線は脚本です。優れた脚本なしに面白いドラマは成立しようがありません。
 

2007年の全米脚本家組合によるストライキの影響で、映画脚本家が多数ドラマに流れました。加えてここ数年来、ハリウッド映画が巨大な中国市場を意識した‘3D特撮大作偏重主義’へ大きく舵を切りました。個人的には残念ですが、ビジネスの観点からは当然の判断です。需要が減った人間ドラマやシチュエーション・コメディなどの書き手はテレビ業界へ流入しています。
 

結果として民放系・ケーブル系ドラマのクオリティが総じて上がり、視聴率はアップ、スポンサーはハッピー、脚本家のギャラも高騰という好循環が生まれました。さらにNetflix、Amazon、Huluなどストリーミング会社がオリジナル作品で参戦したことにより、現在アメリカン・ドラマは黄金時代を迎えています。ファンとしてはこれを謳歌しない手はありません!

 

過去15年間のジャンル別ベスト3&総合トップテンを選ぶ!
今回は<Sci-Fi, Horror, & Fantasy>、<Comedy>、<Legal>のベスト3をどうぞ。
 

<Sci-Fi, Horror, & Fantasy>
ひと言コメント:Sci-Fi、Horror、Fantasyから各1作を選出、いずれも傑作!
 

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第1位:“The Walking Dead” (2010-present)
原因不明の感染症により無数のゾンビが跋扈するアメリカ南部で、極限状況における人間の生と死、希望と絶望が交錯する。略奪、裏切り、妄想、対立 ―実は生き残るための真の脅威はゾンビではなく人間なのだ!アクションホラーの枠を超え、ヒューマニティとリーダーシップを徹底的に問う究極のスリルライド。
*第10回参照 

 

第2位:“Battlestar Galactica” (2004-2010)
サイロン星人の核攻撃を生きのびたわずか5万人の人類が、博物館行き寸前だった宇宙空母Galacticaに守られて、幻の星“Earth”を目指す。だがジェノサイドを図るサイロンは攻撃の手を緩めない。数々の困難に直面する艦長アダマを演じるのは名優E・J・オルモス。往年のB級SFシリーズが歴史に残る傑作となって蘇った。

 

第3位:“Game of Thrones” (2011-present)
ウェスタロス大陸の七王国による凄絶な覇権争いと、極寒の冬とともに迫る超自然の怪物“White Walker”の脅威を描く壮大なファンタジー。波乱万丈のストーリー、深みのあるキャラクター、豪快な合戦シーン、迫力のドラゴンや魔法使い、刺激的な官能描写と、テレビドラマの範疇を超え、娯楽のすべてが詰め込まれている。

 

(ノミネート作品)
 
“American Horror Story”、“Battlestar Galactica”、“Dead Zone”、“Heroes”、“Falling Skies”、 “Fear the Walking Dead”、“Firefly”、“Fringe”、“Game of Thrones”、“Lost”、“Orphan Black”、“Star Trek: Voyager”、“Terminator: The Sarah Connor Chronicles”、“The Walking Dead”、“The X-Files”
*太字は本コラムで紹介した作品
 

<Comedy>
ひと言コメント:“The Big Bang Theory”“Weeds”は甲乙つけがたい!
 

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第1位:“The Big Bang Theory” (2007-present)
名門カリフォルニア工科大で働くSF&コミックブックおたくの天才秀才4人組と、女優を夢見るフツーの女の子が巻きおこす爆笑コメディ。主演のジム・パーソンズが演じるシェルドン・クーパー教授の天まで突き抜けるバカバカしさは、他の追随を許さない。10シーズン目に突入する現在も、そのおかしさは加速度的に増殖中だ。
 

第2位:“Weeds” (2006-2013)
2人の息子を養うため、マリファナビジネスに手を染めたカリフォルニアの能天気なシングルマザーが、家族、友人、さらにメキシコの麻薬王まで巻きこんで大騒動を繰り広げるブラックコメディ。癖のある脇役、予測不能なストーリー、そしてチャーミングでセクシーな主人公ナンシーを演じるメアリー=ルイーズ・パーカーの魅力は圧倒的だ。
 

第3位:“How I Met Your Mother” (2005-2014)
主人公テッド(ジョッシュ・ラドナー)が、子供たちに彼らの母親と結婚するまでの顛末を語るロマコメ。4人の主要メンバーによるアンサンブルと、テッドの親友で超プレイボーイのバーニーを演じる才人ニール・パトリック・ハリスの個人芸による合わせ技は、“Friends”をも超える爆笑を誘う。果たしてテッドは誰と結婚したのか?
 

(ノミネート作品)
“30 Rock”、“The Big Bang Theory”、“Everybody Loves Raymond”、“Frasier”、“Friends”、“How I Met Your Mother”、“Master of None”、“Modern Family”、“The Office”、“Orange Is the New Black”、“Sex and the City”、“South Park”、“Weeds”、“Will and Grace”、“You’re the Worst”
 

<Legal>
ひと言コメント:優れたリーガルドラマには、アメリカの良心と健全な正義感が宿っている。
 

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第1位:“Law & Order” (1990-2010)
正義とは何か、法とは何かを問いながら、アメリカ社会の病巣と矛盾を抉り出す法廷・社会派ドラマの金字塔。エピソードの前半を犯罪捜査、後半を検察による起訴にあてる淡々としたスタイルで、20年かけて全456エピソードを積み上げた米国最長のドラマシリーズだ。11年連続エミー賞最優秀作品賞ノミネートの記録も持つ。
 

第2位:“Boston Legal” (2004-2008)
元弁護士の天才脚本家デビッド・E・ケリー(ミシェル・ファイファーの夫)の代表作。“The Practice”からのスピンオフで、コメディタッチのストーリーに感動的な法廷シーンを散りばめながら、笑いと社会性を最高レベルで両立させたケリーの手腕は見事と言う他はない。主演は名優ジェームズ・スペイダーと迷優ウィリアム・シャトナー。
 

第3位:“SUITS” (2011-present)
マンハッタンを舞台に、スリックな弁護士たちが頭脳戦を繰り広げるスタイリッシュなリーガルドラマ。敏腕弁護士のハーヴィー(ガブリエル・マクト)は、採用面接に紛れ込んだ写実的記憶力の持ち主マイク(パトリック・J・アダムス)を雇う。このペアは最強の‘リーガル・ウェポン’と化し、ライバル弁護士や地方検事を叩き潰す!
*第8回参照
  

(ノミネート作品)
“Ally McBeal”、“Boston Legal”、“The Good Wife”、“Law & Order”、 “Law & Order: UK”(英)、“The Practice”、“SUITS”
 

残されたジャンルはあと3つ。次回は<Crime><Young Adult><Human Drama>のベスト3と、「総合トップテン」の発表です!
 

<今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」 ③
Title: “The Cincinnati Kid”
Artist: Lalo Schifrin with Ray Charles
Movie: “The Cincinnati Kid” (1965)

これ以上クールなヒーローと主題歌を私は想像できない。
 

写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
 
 

 
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