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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第35回 “SHOOTER”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第35回 “SHOOTER”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第35回“SHOOTER”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社にその道の才人たちが集結し、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
     

    “Semper Fi”!
    まず、しびれる冒頭シーンから。ボブ・リー・スワガー(ライアン・フィリップ)は、森の中で伏せ撃ちの姿勢でスナイパーライフルを構えている。高倍速スコープが捉えているのは一匹の狼だ。轟く銃声…。一瞬遅れて、銃弾は狼を捕えていた金属製の罠に命中する。

     
    原作者のスティーヴン・ハンターは元映画評論家。天性のストーリーテラーで、得意とする銃器・狙撃に関する圧倒的な知見を生かし、元海兵隊員のボブ・リー・スワガーが活躍する「スワガー・サーガ」で世界的な人気作家となった。

     
    スワガー・サーガ第1作の「極大射程」(“Point of Impact”、1993)は、2007年に「ザ・シューター/極大射程」(“Shooter”)のタイトルで映画化された。今回紹介する“SHOOTER”のシーズン1も同じ原作で、映画で主演したマーク・ウォルバーグが製作総指揮に名を連ねる。こうして、最高の冒険小説のドラマ化が実現したのだ。
    “Semper Fi”!(アメリカ海兵隊のモットー、“Always faithful”の意)

     

    “Your country needs you”
    ボブ・リー・スワガーは世界でトップ3に入る元海兵隊のスカウトスナイパー(※1)。アフガニスタンでは、女学校を急襲しようとしていた200人のタリバンに遭遇し、スポッター(※2) と2人だけで46時間戦い抜き、これを全滅させた逸話を持つ。
    (※1) スカウトスナイパー:斥候・偵察も担う狙撃手。
    (※2) スポッター:スナイパーに風速・風向・距離などのデータを提供する相棒、観測手。

     
    その後海兵隊を退役したボブ・リーは、妻のジュリー(シャンテル・ヴァンサンテン)と娘のメアリーとの静かな生活に心から満足していた。

     
    だがある日、元上官のアイザック・ジョンソン(オマー・エップス)の訪問を受けてからすべてが変わる。アイザックはシークレット・サービスの大統領暗殺防止チームのリーダーで、ボブ・リーに助けを求めて来た。チェチェンの伝説的スナイパー、ソロトフが大統領の暗殺を予告して来たのだ。ソロトフは1400ヤード(約1.3キロ!)以上の狙撃をこなすため、ボブ・リーにソロトフの狙撃場所を特定して欲しいというのだ。

     
    “Your country needs you”
    これがアイザックの殺し文句だった。
    ボブ・リーは、心ならずも家族を残してワシントンに向かう。

     
    “I’m framed!”
    暗殺は現実となる。だが、スナイパーの撃った弾丸は、合衆国大統領ではなく訪米中だったウクライナの大統領の命を奪った。狙撃場所に関して、ボブ・リーは間違っていた。彼は犯行現場に駆けつけたが、居合わせたFBI捜査官に逮捕されてしまう。
    すべての証拠は暗殺者がボブ・リーであることを示していた。何者かに嵌められたのだ。

     
    誰が、何のために?

     

    渋いぞ、ライアン・フィリップ!
    ライアン・フィリップはボブ・リー役には線が細いと思っていたが、リース・ウィザースプーンと結婚していたころより渋くなった。太くて低い声は原作のイメージに近く、アクションと銃の扱いはシャープだ。
    フィリップには、若いころにベニチオ・デル・トロと共演した「誘拐犯」(“The Way of the Gun”、2000年)というアクション映画の快作があったことを思い出した。

     
    シャンテル・ヴァンサンテンは気丈で優しいジュリー役にぴったり。元々演技力はあるし、齢を重ねるごとに美しくなるようで、“One Tree Hill”の頃よりさらに魅力的だ。本作ではライアン・フィリップとの間にケミストリーも働いている。

     
    ボブ・リー犯人説に疑問を持つ若くて有能なFBI捜査官メンフィス役をシンシア・アダイ=ロビンソンが好演。

     
    冷酷非情な伝説的スナイパー、ソロトフはジョシュ・スチュワートが淡々と演じ、群を抜く存在感を示している。

     
    さらにアイザック役のオマー・エップス、憎々しいCIAエージェントのミーカムを演じたトム・サイズモアと、ベテラン俳優がわきを固める。

     

    圧巻の狙撃シーン!

    唸る銃弾、切れるアクション!
    全編を貫く緊迫感の中で、渦巻く陰謀、非情なマンハント、壮絶な復讐劇が活写される。偵察と狙撃、監禁と脱出、逃避行と反撃、「静」から「動」への転換が鮮やかだ。フラッシュバックで描かれるアフガンでの戦闘シーンも効果的に使われている。

     

    元海兵隊のスカウトスナイパーと言えば、超人気シリーズ“NCIS”でマーク・ハーモンが演じるリロイ・ジェスロ・ギブスが名高い。だが、ディテールに裏付けられたボブ・リー・スワガーのリアリティは別の次元だ。また、舞台とキャラは原作から現代風に変えられているが、海兵隊・銃器・狙撃に対するリスペクトは本作に脈々と受け継がれている。

     

    そして、ストーリーの核となるボブ・リーによる数々の狙撃シーンは圧巻の一言で、期待を裏切らない!

     

    全編アクション満載の本作だが、こんなロマンティックなシーンもある。
    ハンティングから戻ったボブ・リーが、テイクアウトのチャイニーズフードをジュリーに渡した時の会話。
    ジュリー:“You know, you went hunting all day”
    ボブ・リー:“I had something, but I missed”
    ジュリー:“Bullshit. You don’t miss, Bob Lee”
    ボブ・リー:“Missed you”

     

    製作は“SUITS”、“Mr. Robot”などで気を吐くUSA Network。日本では「ザ・シューター」の邦題でシーズン2までをNetflixが配信中。
    このブログを書いていたら、スワガー・サーガを再読したくなった。自宅に全巻揃っているのだが、昔の文庫は文字が小さくて読むのが億劫で…。

     

    <今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」⑭
    Title:  “Wind beneath My Wings”
    Artist: Bette Midler
    Movie: “Beaches” (1988)


    心に沁み入る名曲を、歌詞付きでどうぞ。

     

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
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