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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第39回 “WESTWORLD” 「Sci-Fiドラマ4連発!Part 2」

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第39回 “WESTWORLD” 「Sci-Fiドラマ4連発!Part 2」
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第39回 “WESTWORLD”「Sci-Fiドラマ4連発!Part 2」
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社にその道の才人たちが集結し、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
     

    HBOが放つダークSci-Fi・スーパー・エンターテインメント!
    「総製作費1億ドル!超豪華キャスト!壮大なスケールで描くSF巨編!」 ―このブロックバスター映画のような宣伝文句は、本作にそっくり当てはまる。“WESTWORLD”は、“Game of Thrones” (※)のHBOが放つ、世紀のダークSci-Fi・スーパー・エンターテインメントだ!
    (※) “Game of Thrones”:シーズン7はドラマ史上最高の迫力、必見。

     

    “Welcome to WESTWORLD. Live without limits”
    ターミナルに次々と到着するシャトル。新たなゲストの一団を、洗練された美男美女のアンドロイドたち(“Host”と呼ばれる)がにこやかに迎える。
    ゲストは個室で好みの衣装に着替え、携帯する銃器を選ぶ。奥の扉を開けると突如出現するのは、圧倒的な規模で再現された開拓時代の西部だ。

     
    「WESTWORLD」では、無数の精巧なアンドロイドが住人として実際に「生活」している。彼らは人間と全く見分けがつかないが、人を傷つけることはない。最先端のAIによってプログラムされ、ゲストが希望するストーリーに沿って演技をし、必要に応じてアドリブもこなす。

     
    ゲストは保安官、アウトロー、無法者、トレジャーハンタ-など自分の好きな役を選び、アンドロイドを相手に望み通りのことができる。ガンファイト、ギャンブル、殴り合い、拷問、殺人、恋愛、セックス、何でもだ。

     
    夢、自由、無限の可能性を与える大人のフロンティア。ゲストのあらゆる欲望を満たすテーマパーク。株主に莫大な利益を約束する巨大ビジネス。それが「WESTWORLD」なのだ!

     

    “「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 あるいは 「メン・イン・ブラック」”
    「WESTWORLD」は、天才科学者ロバート・フォード博士(アンソニー・ホプキンス)によって35年前に考案・創設された。アンドロイドたちはプログラム部長バーナード・ロウ(ジェフリー・ライト)の厳重な管理下で教育を受ける。ゲストが変わるたびに記憶を抹消され、新たな記憶が植えつけられる。

     
    だが、最近一部のアンドロイドで、教えていない表情を見せる、言葉に詰まる、動作が止まるなど、軽微なトラブルが起きていた。プログラムにバグがあるのだ。

     
    さらに、初代のアンドロイド2体が異常をきたす。農家の若く美しい娘ドロレス(エヴァン・レイチェル・ウッド)と、娼館マダムのメーヴ(タンディ・ニュートン)が、悪夢や白昼夢に悩まされているのだ。技術的にはありえないことだが、はるか昔の記憶の断片が関係しているのかも知れない。バーナードは調査を続ける

     
    ドロレスと恋に落ちるのが、金満家の義兄に強引に連れてこられた堅物の青年ウィリアム(ジミ・シンプソン)。ウィリアムは想像を絶する逃避行を経験することになる。

     
    そして、繰り返し現われる正体不明の黒い服の男(エド・ハリス)。男はサディストで、アンドロイドを拷問しては殺す。だが、殺す前に必ず「迷路」(“the maze”)の場所を聞き出そうとする。
    「迷路」とは一体何なのか?

     
    ここでは、何かが狂っていた。あるいは、すべてが狂っている。

     

    「もはや、テレビドラマの枠を超えたスーパー・イベントとでも呼ぶしかない」
    まず、オープニング・クレジットからして一見の価値がある。テーマ曲を含め、凡庸なドラマと質感がまるで違う。

     
    エヴァン・レイチェル・ウッド、ジェフリー・ライト、タンディ・ニュートン、ジミ・シンプソンに、エド・ハリスとアンソニー・ホプキンスを加えた超豪華キャスト。彼らは人気アクターというより実力派アクターで、この重厚にして骨太、濃厚にして芳醇なドラマを支える。とりわけ、バーナードを演じたジェフリー・ライトの巧さが際立つ。

     
    ストーリーはアンドロイドの自意識の芽生え、AIが進化する恐怖、「WESTWORLD」の暗い秘密を絡めて、サスペンスフルに描かれる。

     
    脚本は、過去と現在、真実と虚構が幾層にも折り重なった複雑な構成となっている。中でも、アンドロイドの人間性を描くことで人間の非人間性をえぐり出す描写には、凄みさえ感じられる。

     
    さらに、雄大な自然、酒場の粋な会話、ガンファイト、列車強盗、インディアンとの闘いなど、西部劇本来の娯楽要素が随所に散りばめられているのだ。

     
    エピソードは次第に加速して行き、終盤はツイストの連続技で見応え十分。Sci-Fi&推理ドラマの面白さが満喫できる。シーズン1は全10話だが、最終回は1時間20分の大作なので、心して観て欲しい。
    ここまで来ると、もはやテレビドラマの枠を超えたスーパー・イベントとでも呼ぶしかないか!

     
    原案となったマイケル・クライトン監督・脚本の映画版『ウエストワールド』(1973)は、設定を借りているだけなので忘れていい。本作の製作総指揮にはJ・J・エイブラムズと、“Person of Interest”のクリエーター、ジョナサン・ノーラン(兼監督・脚本)が名を連ね、主要部門すべてを含む22部門でエミー賞候補となった。

     
    シーズン2は米国で2018年初頭に放映開始予定。日本では、シーズン1がスターチャンネルで放映済みだが、Huluでは配信中だ。今のうちにAIの世界を覗いておかないと、時代に乗り遅れてしまうぞ。

    <今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」⑱
    Title: “I Just Called to Say I Love You”
    Artist: Stevie Wonder
    Movie:“The Woman in Red” (1984)

    ケリー・ルブロックは一世を風靡しましたね、スティーヴン・セガールと結婚したときはブーイングの嵐でしたが。

     

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
    ◆バックナンバーはこちら
    http://www.jvta.net/blog/5724/

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