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花と果実のある暮らし Vol.28 ネットと移住で変わるチェンマイ

花と果実のある暮らし Vol.28 ネットと移住で変わるチェンマイ
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【最近の私】今年のタイの夏(3ー5月頃)は、雨が降らず40度を超える日も。近所のライチの木々も枯れてしまい、一時はどうなることかと思いました。でも、ここ数週はようやく雨が降って涼しくなり、昨日は裏の小川に水が戻ってきました。
 

先日、中国医学を勉強しているというアメリカ人と知り合いになりました。たまたまおしゃべりをしていると、話題がヨーロッパの移民問題に。その時、ふいにこう尋ねられたのです。
「日本にもたくさんの国の人が移り住んで来たらどう思う?困るでしょ?」。
これまで具体的に掘り下げて考えたことがないトピックだったので、思わず言葉に詰まってしまいました。
 

■ネット・ワーカーにとって魅力的な街
確かに最近、旅行者はもとより、日本で暮らすようになった外国人も増えています。そしてここチェンマイにも多くの外国人が住み始めているのです。以前は自然が豊かな分リビング・コスト(生活を維持するための支出)が低いためか、リタイヤ組が移住してくるケースがほとんどでした。しかし近年は働き盛りの若い世代が目立つようになりました。
 

テレワーク(インターネットを利用して遠隔地で働く方法)の普及によって、欧米では海外への移住を希望する若いネット・ワーカーが急増しているそうです。
 

チェンマイは今や、移住先の定番だった南米諸国に負けず劣らずの人気スポットに。魅力はリビング・コストの低さに加え、安定したネット環境が整っている点も好感を持たれているようです。確かに、以前私が日本語を教えていたヨーロッパ人やタイ語教室のクラスメイトも「自分の仕事はネット関係だからどこでも働けるよ」と言っていました。
時代の大きな変化を感じます。
 

wifi free cafe

wifi free cafe


 

wificfe2 - コピー
 

■衣食住も大きく変わる
自由に移動できる生き方が可能になれば、それに付随していろんな変化が生まれます。歴史上、どこ国の植民地にもなったことのないタイに、たくさんの異なる文化が流入し始めているのを目の当たりにすると、(これで本当にいいのかな)という疑問も湧いてくるのです。
 

少し前まではコーヒーを飲めるお店を探すのにも一苦労でしたが、今ではカフェが爆発的に増えています。タイ料理店以外のレストランも続々とオープンしています。
 

そして、以前はあまり太った子供を見かけなかったのに、スナックやソーダ系飲料の影響か、肥満気味の子供はもはや珍しくありません。皮肉なことに、チェンマイで暮らす欧米人の多くはオーガニックな野菜や果物に夢中。とってもヘルスコンシャスなのです。私の両親の時代なら、欧米人が生の魚や味噌を好んで食べるなんてあり得なかったはず。タイと欧米の間で食文化の流れが逆行し合っているのです。そんな光景を見るにつけ、日本人である自分はどうなのか、わが身の立ち位置について考えさせられます。
 

住宅事情も然り。昔ながらのチェンマイの家のキッチンは外にあります。それを不便に思う人が「キッチンが家の中にある物件」を探すのは大変でした。しかし今では西洋風の家がどんどん建てられています。しかも、この村で近々完成予定の建売住宅の宣伝文句は、なんと耐震構造とニュークリア(核物質)対策完備。ある意味ちょっと恐ろしいです。(ただお値段は日本円にして1億円以上! こちらの相場とはかけ離れているため、地元での評判はイマイチです・笑)
 

 西洋風建築物

西洋風建築物


 

■異文化間の‘つなぎ役’を担うのは?
10年前に見た静かなチェンマイが、今、急ピッチで変化しています。
たくさんの国の人が住み始めたことは、面白いと感じる反面、不安もよぎります。家族という小さな枠の中でさえ、互いの違いを受け入れ合うのは大変なのです。実際、これから色々な問題が起きそうな気配もしています。
 

どこの国にも移民を歓迎しない勢力があります。しかしその一方で、異文化を持ち込む人々を理解し、違いを認めようという勢力も育ちつつあります。欧米とタイの事情には異なる点もありますが、チェンマイの人々は比較的やってくるマルチ・カルチャーの波を受け入れていくように思います。
課題は相手を受け入れながらも染まりきらないこと、つまり、距離感を上手く保っていくことでしょう。個々がその意識を持ち、自らがバランスを取っていく役を担うという自覚が必要になってくるのでしょう。変化するチェンマイを見つめながら、私自身も「ここで生きていくために、いざ、人間力を高めねば!」と感じています。
 

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美

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