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花と果実のある暮らし Vol.36 みんなの味方、パパイヤ

花と果実のある暮らし Vol.36 みんなの味方、パパイヤ
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【最近の私】 今年もタイのお正月の伝統行事、水掛祭り(ソンクラーン)が無事に終わりました。車に乗っていると道端の子どもや大人たちがバケツやホースの水をかけてきます。ああ、この季節がやってきたなあと今ではすっかり私の中の風物詩になりました。今年は王様のことや政府からの様々な規制もあり、例年より自粛モードだったようです。
 
 

最近、近所にソムタム(青いパパイヤのサラダ)の専門店ができました。タイ風ソムタムは、千切りの青いパパイヤにピーナッツや干しエビ、ニンニク、赤唐辛子などを混ぜたさっぱりしたサラダ。初めてソムタムを食べた時、なぜ甘くて美味しいパパイヤを熟す前に食べてしまうのだろうと思ったものです。
 
 

⚫️みんな大好きソムタム
 

ソムタムは、イサーン地方(東北部)の料理で、もち米や焼き豚、鳥の揚げ物などと一緒に食べます。ソムタムには様々な種類があり、揚げた青いパパイヤのソムタムやキュウリのソムタム、フルーツのソムタムなど豊富なメニューに迷ってしまいます。店でソムタムをオーダーする際は、自分の好みの辛さに調整でき、タイ人は唐辛子何粒といった細かい言い方をします。私も始めの頃は、”辛くないようにお願いします。”と大ざっぱな言い方をしていましたが、タイ人の”辛くない”は私にとって充分辛いので、最近は1粒と明確に言います。少し郊外にあるソムタム屋さんでタイ人のおばさんが12粒とオーダーしていたのには「どんなに辛いのだろうか」と驚きました。私も本当は2粒くらいでもいいのですが、実はソムタムを和える石臼に、前の人の和えた辛さが残っているので一粒のオーダーでちょうどいいのです。タイ暮らしならではの知恵がつきました。

ソムタム - コピー
ソムタム

 
 

⚫️子沢山のパパイヤ
 

さて、そんなパパイヤ。今、我が家の庭にもパパイヤの幹が一本あります。始めからあったのではなく、美味しく頂いたパパイヤの種を庭にひょいと蒔いておいたら、いつの間にかスクスクと伸びて、今では2階の窓に達するほど立派に成長しました。初めて実がなり食した時には、これが南国の豊かさだ…と実感したものです。
 
 

2 たわわに実るパパイヤ - コピー
たわわに実るパパイヤ
 

ご存知の方もいるでしょうが、あの種の多さに象徴されるかのように、パパイヤは大変子だくさんです。市場や道端でも安いフルーツとして売られており、チェンマイの郊外では、パパイヤはわざわざお金を出して買うフルーツではなく、自宅や近所に生えている身近な存在なのでしょう。案の定パートナーのナリーンは、贅沢なことに、熟されたフルーツのパパイヤをあまり食べません。ですから、我が家に甘いパパイヤの実が幾つも実っても、さすがに私一人で食べきれません。お隣さんにあげたくてもお隣さんもパパイヤがあるし、“パパイヤ飽和状態”なのです。
 
 

⚫️みんな程よく狙ってる?!
 

そんな時、近所で食堂を営むおばさんがうちのパパイヤに目をつけて、「ソムタム用にちょうだい」と言ってきました。たわわになるパパイヤですから、うちももらってもらえてありがたい! それにしても、おばさんたちは、他人のうちの木をよく観察しているものです。ジャックフルーツの時期になれば、あの木は美味しいよとか、タマリンドがなれば、おたくのは酸っぱいから調味料にいいねとか、“近所の果樹事情通”なのです。そしておばさんたちだけでなく、今では鳥もオレンジに熟したパパイヤを狙い始めています。あーいい色になってきたなあと思った頃には鳥の突っついた形跡が…。食べ頃をよく知っています。
 
 

みんなの味方、パパイヤ。タイに住んでいるとなんとなく餓死はしないだろうという気分にさせられるのは、こうした南国の豊かさからくるのでしょう。タイ人は、昔からたくさんなるパパイヤの実をうまく消費していくことに知恵を絞ったのだと思います。だから甘く熟したフルーツのパパイヤだけでなく野菜としてのパパイヤを使ったソムタムという料理として生み出したんだろうなあと。始めは違和感があったものの、今では熟す前の青いパパイヤの存在をようやく理解できるようになりました。
 
 

写真3 - コピー
パパイヤ

 
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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美
 
 

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