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【ロサンゼルスからレポート】アメリカン・フィルム・マーケットで調査! 映像翻訳の需要

【ロサンゼルスからレポート】アメリカン・フィルム・マーケットで調査! 映像翻訳の需要
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JVTAロサンゼルス校のスタッフが、世界有数の映画の見本市『アメリカン・フィルム・マーケット(AFM)』に行ってきました。AFMは、毎年、ロサンゼルス郡西部の都市、サンタモニカで開催され、新作映画のプロモーションや、商談、製作者向けのワークショップなどが華々しく行われます。その規模は世界最大級で、約80カ国から7000人以上が参加し、開催期間中の契約総額は10億ドル以上に及びます。今回は、世界の最新映画事情や、字幕・吹き替え翻訳の需要について世界各国の映画関係者に話を伺いました。当日の様子をレポートします。
 
◆世界中の映像作品にバイヤーの目が光る
AFMのメイン会場は、サンタモニカにある高級ホテル。周辺の映画館などでも、関係者向けの試写会やイベントが開催されます。参加企業や団体は、ホテルの客室を貸し切り、バイヤーとのミーティングや新作映画の予告上映、ポスターやパンフレットを設置して広報活動を行います。AFMで紹介される映画のほとんどはインディペンデント系です。イギリス、イタリア、ロシア、イスラエルなど参加団体の国際色は豊かで、特に、東南アジア各国、中国、韓国などのアジア圏の作品が多く紹介されていました。バイヤーは、ブースを回って新作映画の情報を取集し、お目当ての作品をその場で買い付けます。私たちがブースを回っている最中にも商談中と思われる場面を頻繁に見かけました。また、各国の業界人と交流することができるので、人脈作りには、絶好の機会です。それぞれ国内だけで映画を配給していてもビジネスとして成り立たないため、世界各国が連携して配給を促すことが映画業界のスタンダートだとか。日本人にとって、海外作品というと、ハリウッド映画や韓国ドラマなどをイメージする方が多いかもしれませんが、世界各国にはたくさんの映画作品があふれています。映画産業の規模の大きさを目の当たりにし、その数だけ翻訳が必要であることから、映像翻訳の需要の多さを改めて実感しました。
 
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メイン会場のLoews Santa Monica Beach Hotel
 
◆日本でも取り入れたい! 意外な英語字幕の需要
世界中で楽しまれている映画ですが、字幕と吹き替えの需要はどちらが多いでしょうか。各ブースで調査したところ、AFMで紹介されているほとんどの映画に字幕がついているようでした。ですが、映像翻訳事情は国によってさまざまです。その中でも、タイからロケーション誘致のPRに来ていた団体に話を聞いたところ、タイ国内の字幕・吹き替えの需要は地域によって異なることが判明しました。その理由の根本にあるのは、教育格差です。田舎の地域では、文字を読むことが困難な人が多いようで、海外作品を吹き替えで楽しむのが主流。一方、高い教育を受けている人が多い都会では圧倒的に字幕派が多いようです。特に首都では、多くの外国人が在住しているため、映画館で上映されているほとんどの映画に、英語字幕がついているとのことでした。日本では、映画館で英語字幕を見る機会はほとんどありません。映像コンテンツから外国語を学んだ人が多いように、日本でも劇場公開している映画に英語字幕がついていれば、一般の人が日常生活の中で英語に触れる機会が増えるのではないでしょか。また、日本にいる外国人のためにも、邦画に英語字幕をつけて上映することが主流になれば、日本も「外国人にやさしい国」というイメージを与えることができるのではないかと思いました。
 
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タイのロケーション誘致の団体の皆さんと
 
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各国のブースに突撃!皆さん、丁寧に自国の映像翻訳事情を教えてくれました。
 
◆日本の映像翻訳には、英語・多言語の強化が必須?
AFMにはジャパン・ブースがあり、日本の制作会社が出展していました。週末には多くのバイヤーがブースを訪れ、大盛況だったようです。ジャパン・ブースでは、日本の作品が海外でどのように評価されているかや、今後の日本映画の配給状況について伺うことができました。日本映画の需要がこれからも海外で増えるという傾向は変わることはないようです。しかし、配給地域をアジア圏や欧米だけでなく、アフリカや南米などに市場を開拓することが必須とのことでした。それが実現すれば、映像翻訳においては、英語をはじめ、多言語翻訳の需要が増えるのではないでしょうか。映画館での興行後、テレビでの放映や、ストリーミング配信されるなど、配給方法は多層的な仕組みに切り替わっています。映像作品が世界に広がるにつれて、視聴者の幅や翻訳が必要とされる言語が増えるということです。翻訳者としても、2言語間の翻訳にとらわれず、多言語に挑戦することや、ターゲットが世界中にいることを意識して翻訳するなど、視野を広げる必要があるのではないでしょうか。
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ジャパン・ブース
 
◆映像翻訳の可能性 ~言葉を繋ぎ、世界を繋いでいく翻訳者は不可欠!~
今回AFMで調査したことで、日本の作品が配給地域を拡大しながら、今後も海外に広がっていくチャンスがまだあると実感しました。それを実現させるためには英語をはじめとする多言語の強化が必要です。特に日本のアニメ作品は海外で圧倒的に支持されており、海外視聴者がアニメに費やす総額は、2017年は前年比131.6%という統計も出ています。海外展開の加速が進んでいる中、日本国内でも、邦画に英語字幕を付けて興行するなど、外国人をターゲットにする流れをつくるというヒントを得ることができました。今後も映像コンテンツはますます増え続けるでしょう。言葉を繋ぎ、世界を繋いでいく翻訳者の存在は欠かせません。JVTAではこれからも世界で支持される翻訳者の育成に力を入れていきます。

 
◆『アメリカン・フィルム・マーケット(AFM)』 
公式サイト:https://americanfilmmarket.com/

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