News
NEWS
voiceinTYO

【キネコ国際映画祭】修了生が吹き替え翻訳を手がけた作品が国際審査員賞長編グランプリを受賞

【キネコ国際映画祭】修了生が吹き替え翻訳を手がけた作品が国際審査員賞長編グランプリを受賞
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

子どもたちのための映画を集めたキネコ国際映画祭が8月15日に閉幕。当校修了生の鎌手美弥子さんが吹き替え翻訳を手がけた『しあわせなアヒルの子』が、国際審査員賞長編グランプリ(大人審査員が子どもに見せたいグランプリ)を受賞しました! 鎌手さんはこの映画祭で2013年から3年連続で長編の吹き替え翻訳を担当。2013年と2014年も鎌手さんが手がけた作品(『空とぶニコ』、『ブラム』)が子ども審査員による最優秀作品賞を受賞しています。鎌手さんに、受賞作品と映画祭の魅力、翻訳する時に心がけていることを聞いてみました。
 

鎌手さん - コピー

★受賞作品『しあわせなアヒルの子』の見どころは?
主人公は、体の自由がきかず車椅子生活のマルゴーと、不仲な両親の間で翻弄されるカティ。“普通の幸せ”がほしい、という切なる願いが、2人をアヒルの救出に駆り立てます。その思いを理解しない親たちは2人を連れ戻そうと躍起になり、その一方で、理解ある大人たちは2人が目的を遂げる手助けをしてくれます。親子、友達、隣人にどう寄り添うか、生きるとは何か、幸せとは何かを、子どもたちと大人たちの両方の視点で考えさせられる映画です。
 

IMGP3161

この作品には、昨今の映画に多い、目まぐるしい展開や派手なアクション、CGなどは一切登場しません。「待つこと」をしなくなった現代の大人に、子供の感覚やペースでとらえる景色や音や、感触、時間の流れを、もう一度思い出させてくれるような、ゆったりとした空気感に満ちた作品です。子どもはもちろん、ぜひ大人にも見てほしい1本です。
 

そして忘れてはならないのが、もう1人(?)の主人公であるアヒルのヒナの愛らしさ。映画を見終わったら、アヒルを飼いたくなってしまうかもしれません。
 

★ライブアテレコで自分の原稿が読まれた感想は?
この映画祭では、スクリーン脇に声優の方々が並び、生でアテレコをするので、舞台のような臨場感が満載です。このライブ吹き替えを初めて見た時は、生きた声が入った瞬間に映画のキャラクターにみるみる命が吹き込まれていくのを肌で感じ、思わず涙があふれてしまいました。私の書いた台本で迫真の演技をしてくれる声優さんたち、思い切り笑ったり怖がったりと素直な反応を見せてくれる子どもたちを会場で目にした時は、胸が熱くなりました。
 

IMGP2755

2013年の「ニコ」の声優さんにお会いした時、「翻訳者の方が大切に翻訳した作品が今は自分たちの手元にあると思うと、恋人の両親と対面しているような気分」だと言われました。そんな気持ちで演じてくださっているのだと思うと、映像作品は関係者みんなで育てる「子ども」みたいなものなのだなあと、改めて感じたのを覚えています。
 

★観客は子どもということを意識して翻訳で工夫したことは?
観客の大半は子どもであることを考慮し、小さな子どもたちにもわかりやすい言葉や表現を使うよう配慮しました。
 

2014年に担当した『ブラム』の主人公は小学1年生の少年。その年齢の子が使う言葉か、意味がわかる言葉かを確かめるため、当時ちょうど1年生だった友人の息子くんと会話をしながら、主人公のセリフの推敲をしました。
 

IMGP2827

また、吹き替え原稿と申し送りの他に、キャスティングリスト(登場人物をすべてリストアップし、年齢・性別・特徴・関係性などを説明するもの)や、物語の概要も作成する必要がありました。字幕案件や、ドキュメンタリーなどのボイスオーバー案件にはない納品物で、たった一言しゃべる人物もすべて拾い出さなければいけないため、その分、作業の手間もかかりました。
 

★映画祭は、翻訳者の登竜門
 いま本科で学んでいる皆さんにメッセージをお願いします!

字幕翻訳者としての私の初仕事は、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアでした。15分という短い作品の字幕でしたが、会場のスクリーンに自分の名前が映し出された時の感動は今でも忘れません。
 

キネコ国際映画祭に参加したのは、仕事の幅を広げたいと思ったのがきっかけです。長編映画1本の吹き替え(リップシンク)原稿を仕上げるというのは新たな挑戦でしたが、やり遂げたことで大きな自信になりました。
 

IMGP2701

テレビやネット配信の番組翻訳と異なり、観客の反応を直接感じられるのが、映画祭の仕事の大きなメリットだと思います。また、映画祭主催者や声優、監督、出演者など、普段はなかなか知り合えない人たちと出会えるのも魅力の1つです。私の場合は、担当した映画祭の作品がグランプリを受賞してDVDになり、それが新たな仕事にもつながりました。映画祭は翻訳者にとって、新しいことに挑戦し、経験を増やし、視野を広げるのに最適な機会です。挑戦して絶対に損はないと思います!
 

キネコ国際映画祭 公式サイト
http://www.kinder.co.jp/

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page