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“音楽好き”を極める! ディレクターが語る歌詞対訳の世界

“音楽好き”を極める! ディレクターが語る歌詞対訳の世界
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英語好きで音楽好きな人なら、一度は歌詞対訳に憧れたことがあるはず。JVTAではユニバーサル ミュージックやソニーミュージック、ワーナーミュージックをはじめ、さまざまなレコード会社の依頼で歌詞対訳を受注しています。MTCの岡田真由子ディレクターによると、音楽好きなら新人にもチャンスがあるとか。知られざる歌詞対訳の世界を聞いてみました!
 

※この記事に掲載したCDジャケットはJVTAが歌詞対訳を担当したものです(一部担当のものも含む)。
 

◆まず、JVTAで担当した主な歌詞対訳作品を教えてください!
グウェン・ステファニー - コピー
グウェン・ステファニー「ディス・イズ・ホワット・ザ・トゥルース・フィールズ・ライク」
 

岡田ディレクター 最近は、アニメ―ション映画『SING/シング』(現在公開中)やマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(5月12日公開)のオリジナル・サウンドトラックなどを担当しました。また、グウェン・ステファニーのアルバム『ディス・イズ・ホワット・ザ・トゥルース・フィールズ・ライク』(全曲)や、ボン・ジョヴィ、ブラック・アイド・ピーズ、スティーヴン・タイラーなどもありました。だいたいはアルバム1枚分というよりは曲単位で受注することが多いですね。いわゆる80’s ヒッツやグラミー賞受賞作品を集めたコンピレーションアルバムなどもあります。こうした作品には過去のヒット曲が収められていますが、この企画のために新たな訳詞を載せることも多く、新旧さまざまな曲を手がけています。また、昨年、デヴィッド・ボウイやジョージ・マイケルが亡くなった時には追悼特別番組の字幕の依頼がきました。音楽関連のこうした翻訳は比較的納期が短いこともあり、音楽に詳しい方にお願いしたいと考えています。
 

SINGジャケ写 - コピー
「SING/シング」オリジナル・サウンドトラック
 

※参考記事
『SING/シング』 翻訳者・平間久美子さんインタビュー
http://www.jvta.net/tyo/sing-soundtrack/
 
 

◆“音楽好き”は一つの得意ジャンルとしてアピールできるんですね。
ソニーナンバーワン80sビルボードヒッツ - コピー

ヴァリアス「ナンバーワン80s billboardヒッツ」
 

岡田ディレクター そうですね。歌詞対訳はもちろん、音楽ネタは全体的に、音楽をあまり知らない人が担当すると作業にとても時間がかかると思います。チェックをしていると、その翻訳者さんが“音楽好き”かそうでないかは、すぐに分かります。インタビューの訳でもなんとなくボヤッとした訳でまるめていて、具体的な印象が伝わってこないことがあると「この人はあまり音楽に詳しくないのかな」と。特にライブ映像などは、“ファンなら知っていて当然”というネタや、ジョークっぽくマニアックなネタが入っているので、知らないと思わぬ誤訳をする怖さもあります。基本的に視聴者はそのアーティストのファンなので、ある程度の調べものが求められると思います。
 

歌詞対訳や字幕でもそうですが、音楽好きな人はやはりセンスよく訳を作ってくれます。語尾やワードチョイスがアーティストの年齢やキャラクターに合っていなかったり、クラシカルな歌なのに荒削りな言い方だったりという違和感はないですね。
 

◆インディーズの曲やライブの翻訳もありますか?
DJスネイク - コピー
DJスネイク 「アンコール」
 

岡田ディレクター あります。ライブやフェスをよく観に行ってMCを聞いたり、ファンとの掛け合いなど会場の雰囲気を知っていることも強みになると思います。「私はこのアーティストの大ファンで、アルバムは全部持っています!」という方はぜひMTCにアピールしてほしいですね。こちらもそういう人なら安心してお願いできます。音楽に関しては「このくらいだったら言わないほうがいいかな」と思うくらいでもアピールしたほうがいい。特にパンクとかメタルとか、マニアックであればあるほど私たちには有難いですね。
 

◆歌詞対訳で難しいポイントはありますか?
レディー・ガガ チーク・トウ・チーク - コピー
トニー・ベネット&レディー・ガガ 「チーク・トゥ・チーク」
 

岡田ディレクター 音楽系では特に一人称へのこだわりが強いと感じます。一人称についてはクライアントから、細かく指定があることが多いですね。例えば「キャラ的には『私』、芯がある強い女性(とはいえ、あまりチャラすぎない)」といった具体的な指示もありました。来日したアーティストのインタビューでも、「●は僕、◆は俺」「全員僕で」などの指定があります。パンクだから「オレ」だろうとか、アーティストの見た目だけで一人称を判断するのは危険です。特に指定がない場合も過去曲の歌詞を確認したり、インタビュー記事を読んだりして慎重に判断する必要がありますね。こういう時、翻訳者自身がファンなら感覚的に分かるし、資料もすでに手元にある。そういう感覚や知識はとても頼りになります。
 

◆歌詞は短い言葉の中にさまざまな想いが凝縮されているのでリサーチも大変ですね。
スティーヴン・タイラー - コピー
スティーヴン・タイラー 「サムバディ・フロム・サムウェア 」
 

岡田ディレクター 洋楽は、社会情勢や人種差別、宗教、LGBTなどメッセージ色が強いものが多いので、訳し方や言葉の選び方に注意が必要です。例えば、パンクなどジャンルによっては、国の体制に反発した歌なども多いですよね。ですから世界のニュースやアメリカの歴史なども知っておくと良いでしょう。また、宗教に関する詞もよくでてきます。私は学生時代にキリスト教(プロテスタント)の学校に通っていたので、「これは聖書のあのエピソードのことだな」ということが感覚的に分かるんです。この知識はあって良かったなと。宗教に馴染みのある方も知識を活かせると思いますね。
 

◆抽象的な歌詞も多いのも悩みどころですね。
ショーン・メンデス - コピー
ショーン・メンデス 「イルミネイト」
 

岡田ディレクター 抽象的な歌詞はいろいろな意味に取れるので、日本語でもそういう曖昧さを残す必要があり、“断定しない訳”が求められます。そういう見事な訳が出来上がってくると本当にすごいなと思いますね。翻訳者さんが解釈に苦しんだときは、ネイティブの友人に聞くそうですが、ネイティブでも判断がつかずに、申し送りを基に最後はクライアントに任せることもあります。この曲はすごく抽象的だけど実はあの事件のことを歌っているとか、この曲はこの人へ追悼の曲とか、“ファンなら常識”ということもあるので、やはりそのアーティストに詳しい人に頼めたら安心ですよね。
 

◆最後に音楽好きな翻訳者さんにアドバイスをお願いします!
2017グラミーノミニーズ - コピー
2017 GRAMMY(R)ノミニーズ
 

岡田ディレクター 歌詞対訳のほとんどは翻訳者の名前のクレジットもありますし、CDとしてしっかり形に残る仕事です。やはり憧れですよね。音楽好きな人にとってはジャケ写や歌詞カードは本当に大切なアイテム。私も学生時代、大好きなCDの歌詞カードを毎日持ち歩いていつも見ていました(笑)。「いつかこの翻訳をやれたらいいなと」と。だから今こうして歌詞対訳に携われるのは本当に嬉しいし、ぜひ皆さんにも挑戦してほしいですね。なかには、聞き起こしから翻訳者さんにお願いすることもあるので、リスニングが得意な方も大歓迎です。今後、お気に入りのCDの歌詞カードを見るときは、一人称や語尾などもを意識してみてください。ライナーノーツをじっくり読むのもおすすめです! 音楽好きを極めたらあなたの強みになりますよ。
 

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