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2020年東京オリンピック、インバウンド、映画・ドラマ、マンガ… 今、学び始めたい〈日→英〉映像翻訳

2020年東京オリンピック、インバウンド、映画・ドラマ、マンガ… 今、学び始めたい〈日→英〉映像翻訳
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今、日本の作品に英語字幕を付けたり、吹き替え版を作成する「日英映像翻訳」を学ぶ人が増えています。“英日”のスキルを習得した後に学習をスタートする人や、英語で伝える楽しさを実感してチャレンジする人など、始めるきっかけはさまざま。修了生は共通して「海外に発信する担い手」として活躍しています。日英映像翻訳科のプロデューサーも務めるジェシー・ナス講師に、今、日英映像翻訳を学び、仕事にする魅力について聞きました。
 

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●ジェシー・ナス講師
 

――日英映像翻訳科ではどんなことを学ぶのですか?
 

日本発のメディアコンテンツを英語で伝えるスキルを学びます。映画やドラマといったエンターテインメントに限らず、あらゆるジャンルの翻訳手法を習得します。
 

日本語独特の表現で伝えられている作品のメッセージを、日本や日本語を知らないオーディエンスに届けるにはどうしたらいいのか、どういう工夫が必要なのか――こういったスキルを身につけるのが一番大きなポイントです。
 

言葉を変換することだけではなく、オーディエンスの視点に立って、日本の文化的背景を考えながら翻訳することが大切だと、講義では触れるようにしています。
 

――“文化的背景”というと、例えばどんなものが浮かびますか?
 

日本独特の考え方や、日本にしかないコンセプト(概念)がそれに当たります。例えば「上下関係」。会社や学校である、“先輩・後輩”は、特に、英語圏では日本ほど強い線引きがあるわけではありません。でも、翻訳する上では結構大事じゃないですか。
 

――映画やドラマなら、その関係性がテーマの作品もありますね。
 

そういう関係性にフォーカスするシーンもあるし、登場人物の言葉遣いが変わったりもします。他に、日本独特のものでいえば、「畳」とか「玄関」がありますね。
 

玄関については、日本では家に誰かを招き入れるときは「お上がりください」って言うじゃないですか。でも、玄関に段差がない国もたくさんあります。だから、“お上がりください”のような表現も英訳には工夫が必要です。
 

「畳」についても例を一つ挙げられます。先日の映像翻訳トライアル(修了生がプロとして仕事を受注する資格を得るためのテスト)で、あるラーメン店を紹介する映像を、素材として出題しました。そのお店はとても広く、映像では「このお店は22畳もあるんですよ!」という日本語で伝えています。このトライアルのポイントの一つは“22畳”という広さをどうやって説明するのか、でした。
 

「一畳」という単位はもちろん海外にもないし、そもそも畳自体が無いので、“22 tatami mats”とも言えないわけです。
 

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●「○○畳」分の空間。英語で分かりやすく伝えるには?
 

他にも、日本独特の食べ物や祝日について話しているシーンが出るなど、考えるべき点はたくさんあります。それを説明するのか、別のものに差し替えて翻訳するのか――いろいろな選択肢があります。
 

――映画やドラマ以外に、どんなジャンルに日英映像翻訳のニーズがありますか?
 

エンタメ以外で真っ先に浮かぶのが企業VP(Video-Package)です。つまり、企業のPR動画ですね。2020年東京オリンピックを控えた今、世界中が日本を注目しています。時代の流れもあり「自分の会社を世界に知ってもらいたい」「日本語で作られた会社紹介の動画を英語版にしてみよう」という動きが活発です。そこで、英語字幕版や英語吹き替え版を作れる人材が求められます。また、インバウンド(訪日外国客)市場の隆盛に関連して、観光地を紹介する動画の英語版を作る仕事も増えています。日英映像翻訳科ではこれらの仕事にも対応できるようカリキュラムを構成しています。
 

――学ぶことが、そのまま仕事に直結しているんですね! マンガもそうですか?
 

マンガの日英翻訳も、盛り上がりを見せていますね! マンガについては、受講生の皆さんの間で「好きで、よく読んでいる」という人と「全然読まない!」という人、二種類にはっきりと分かれます。でも、最近はマンガ好きの受講生が増える傾向にあるかもしれません。
 

――日英翻訳の(コースの)課題と仕事でマンガの面白さに目覚めた、と語る人もいます。
 

実はそれ、よく聞く話なんです。日英映像翻訳科で学ぶ人は「日本のコンテンツが大好きで、英訳がしたい」という方の他に、「とにかく英語で書くのが好き」で、正直日本のコンテンツは海外のものと比べてあまり見ないけど、“ちょっと、やってみよう”と学び始めた方もいます。そして、課題を通していろいろな作品に触れて「日本のコンテンツって、こんなに面白かったんだ!」と目覚める人の声が聞こえてきます。
 

――素敵な話ですね!
 

だから、英訳にはすごく興味があるけど、あまり日本のコンテンツを見ない…、という方には、そこは「大丈夫ですよ」と伝えています。クラスの中で私だけが詳しくない、そういう心配があるならば、全く問題ないです。
 

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●あらゆるタイトルが海外向けにローカライズされて、海外のマンガファンを魅了している
 

もう一つ。日本人で、海外に住んだ経験だったり、旅行したり、何らかの形で滞在したりした経験があれば、そこで得た知識は日英翻訳に生かせます。海外に行くと、自分の国(日本)やその文化について話す機会が一度は訪れると思います。その経験の中で分かることがいっぱいあるはずです。この日本の食べ物ならみんなが知っている、これは意外と知られていない――など。
 

――日英字幕制作体験を通じて面白さを知り、学び始める人が増えています。
 

“日英”はとにかくオーディエンスの立場に立って言葉を考えないといけない。日本語が分からない人の立場に立って、考えて、英訳を作る。その新鮮さに、魅力を感じていただいているのではないかと思います。自分で書いたり、考えたり、作ったり。どういう英語がピッタリくるのか、しっくりくるのか――。もし、本当に楽しいと感じていただけるなら、ぜひ日英映像翻訳科に来てください! そればっかり、やりますから(笑)。
 
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――改めて、日英映像翻訳者ってどんな存在でしょうか?
 

よく聞く表現かもしれないけど、“日本と海外の架け橋”。まさにそうだと思います。英訳がないものは、やっぱり外に出られないですから。日英映像翻訳者は、日本のコンテンツの可能性を広げてくれる存在です。
 

 

ジェシー・ナス●JVTA修了生のための就業支援部門「メディア・トランスレーション・センター(MTC)」所属。映像翻訳ディレクターおよび日英映像翻訳科プロデューサー、講師を務める。フジテレビ、Vikiなどで映画やテレビ番組の翻訳、また企業VPの英語版制作など主に日英翻訳の案件を担当。手がけた英語字幕は中編映画『不気味なものの肌に触れる』(染谷将太主演)など。

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