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オーディエンス参加のエクササイズあり! 字幕の実践的ケーススタディ

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『しわ』(原題:Arrugas)という映画を皆さん見たことはありますか? 同名のコミックを原作としたスペインのアニメーション映画で、認知症という深刻なテーマをコミカルに描いた作品です。スペインのアカデミー賞と呼ばれる第26回ゴヤ賞で「最優秀アニメーション賞」と「最優秀脚本賞」を受賞して話題を呼び、日本では三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの提供で劇場公開されました。
 
 

しわ
 

『しわ』の字幕には、こんな面白いエピソードがあります。認知症のリハビリをしているシーンで、看護師が男性患者にボールを投げるよう指示を出します。ボールはスペイン語で「pelota(ペロータ)」。看護師は男性にペロータを投げるよう繰り返し言うのですが、認知症の男性にはそれがまるで映画をスローモーションで再生したときのように「ペェーロォータァー」と聞こえてしまいます。もちろん、男性は看護師の言葉が理解できずに、いつまでたってもボールを投げません。英語字幕では、男性が理解できないことを表現するためにわざとスペルミスをして「ball」を「abll」と綴りました。日本語字幕版では当初、劇場公開前のテレビ放映で「ボール」を逆さまにして「ルーボ」としていました。
 

劇場公開に向けて字幕を見直していたジブリの担当者は、「ルーボ」という表現に違和感を覚えました。理由は、原作のメッセージを伝えられていないからです。「abll」も「ルーボ」も、話し手の発話そのものに問題があるように見えますよね。でも、このシーンが伝えたいのは、認知症の男性が相手の言うことを理解できない状況です。スペイン語が分かる観客が音声を聞いて受け取る情報を、日本語字幕で観る観客にも伝えなくてはいけません。そこでジブリの担当者が考えたのが、「ルーボ」を「○△□」という記号にする案。「○△□」とすることで、相手が何か言っているものの、それをまったく理解できない男性の状況がクリアに伝わるのです。
 

5月15日(金)に開催する特別課外講座「字幕の実践的ケーススタディ」では、ジブリの例のような創意工夫ある字幕例を紹介しながら、「作品の魅力を最大限に引き出す字幕の作り方」を追求します。講師を務めるのは、映像翻訳の先駆的研究者として知られ、ミシガン大学で教鞭を執る、マーク・ノーネス氏。当日は参加者の皆さんとのディスカッションや字幕エクササイズも予定しています。すでにプロの映像翻訳者として活躍されている方、映像翻訳を勉強中の方、映像翻訳に興味のある方にとって見逃せない2時間ですので、ぜひご参加ください!
 

※講義は日本語で行います。
オーディエンス参加のエクササイズあり!
字幕の実践的ケーススタディ
日時:5月15日(金)19:00~21:00
場所:東京校

お申込みはこちら

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