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アドバイスが満載! “先輩翻訳者”山根克之さんに聞く!

アドバイスが満載! “先輩翻訳者”山根克之さんに聞く!
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English Clockの主任講師、山根克之さんは、受講生・修了生の皆さんにとって、“英文解釈の先生”というイメージが強いかもしれません。しかし、山根さんは2000年に映像翻訳者としてデビュー後、様々な作品の翻訳を手がけています。そこで今回は、山根さんに講師の立場ではなく、先輩翻訳者としてお話を聞きました。

 
●映像翻訳者として手がけている主なジャンルはどんな作品ですか?
ドキュメンタリー作品が多いですね。例えば、歴史や戦争に関する番組をよく手がけています。他にもIT関連や、雷や日食といった自然科学ものなどもあります。字幕とボイスオーバーが半々といったところでしょうか。こうした作品で最も気を使うのは正確な情報を出すこと。リサーチには細心の注意を払っています。

 
●デビュー前、プロの映像翻訳者になるために、やっていたことはありますか?
私は元々、英語を楽しくトレーニングして身に付ける方法として、テレビの2か国語放送を利用していました。90年代半ばは、まだCS放送やインターネットは今ほど一般的ではなく、地上波で観られる海外のコンテンツは限られていました。そんな中で私が毎回録画して良く観ていたのが当時TBSで深夜に放送されていたアメリカのドキュメンタリー番組『60 Minutes』です。まず日本語のボイスオーバーでみて、内容をしっかり把握します。その後、副音声で英語に切り替えてどこまで理解できるかを試していました。この番組は、保険医療や未成年の飲酒、人種問題など社会問題を多く取り扱っていたので、結果的に英語力アップだけでなく、アメリカの社会についての知識を得ることもできました。この経験は、現在のドキュメンタリー翻訳に活かせていると思います。当時に比べると2か国語放送はぐっと身近になっているので皆さんにもぜひ利用して欲しいですね。

 
●受講中に苦労したことがあったら教えてください。
今でも私は翻訳者として日本語表現が下手な部類に入ると思いますが、受講生時代からとにかく自分の書く日本語の拙さにコンプレックスを抱いていました。新楽講師が担当される日本語表現力の時間に模範例として配られたクラスメイトの作品を読んだ時には、レベルの差にがく然とし、泣きそうになりました。あの時ほど「今は指さないでください」と思ったことはありません。そこで日本語力を鍛えようと、仕事を始めた頃に私が特に意識的に行っていたのはオンエアチェックです。自分の原稿のどこをどう直されたのかを確認しながら、制作会社がどんな訳文を作ってほしいのか考えるようにしていました。

 
●翻訳作業に欠かせないアイテムを教えてください。
複数の辞書が入っている電子辞書です。単語を一つ引く時にも様々な辞書からの訳を検索できるので便利です。ここで私が注意して見ているのは、言葉の意味そのものより、多くの訳例です。その言葉がどんなシーンで使われているのかを具体的に知ることで、その単語が持つニュアンスを捉えることができます。また、“日本語で訳例や訳文をみてもいまひとつピンとこない”という時は、英英辞典も有効です。英英辞典というと高校生のころ、難しくて閉じてしまったという人も多いと思いますが、実はある程度語彙力がついた今ならとても使いやすいアイテムなのです。というのも、英英辞典では解説に使われる単語が限られていて比較的易しい英語で書かれているからです。時には難しげな日本語の文章よりずっと分りやすいことを実感できます。ぜひ、利用してみてください。

 
●これからプロを目指す後輩の皆さんへのアドバイスをお願いします。
大人になると特に意識をしなければ日常生活の中で新しい言葉に出会うことはほとんどないと思います。だからこそ、映像翻訳者を目指すなら、新聞や雑誌、テレビ、映画、本などメディアに積極的に触れて多くの言葉を吸収してほしいですね。例えば、私は子どものころから野球やサッカーが大好きだったので、スポーツ中継やニュースをよく見ていました。当時はドーム型の球場はなかったのでデーゲームとナイターの間に日が落ちていく時間帯があり、「薄暮」という言葉を覚えました。また1978年、横浜スタジアムが完成した時、「こけらおとし」という表現を知りました。こうして好きな事と一緒に覚えた言葉は何十年たっても忘れません。また大好きな番組を熱心に見ていれば、その番組ならでは構成や言葉遣い、トーン、専門用語などが自然と知識として入ってきます。こうした感覚は翻訳者として貴重な財産になります。“勉強”という意識ではなく、楽しみながら、翻訳者としての土台をつくっていくためにも日ごろからメディアに触れ、自分の中に言葉をストックしてほしいですね。表現者として役に立つ時が必ずあるはずですから。

 
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