News
NEWS
TYO

高畑勲監督とミッシェル・オスロ監督が夢の対談

高畑勲監督とミッシェル・オスロ監督が夢の対談
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

3月20日、TOHOシネマズ日本橋にて「東京アニメアワードフェスティバル2014」が開幕。フランスの巨匠ミシェル・オスロ監督の最新作『キリク 男と女』が日本で初公開されました。この作品の日本語字幕を当校の修了生、上田麻衣子さんと常本亜希子さんが手がけました。この日、オスロ監督と、『かぐや姫の物語』で知られる高畑勲監督とのトークショーが実現。お二人はオスロ監督の代表作でフランスアニメーション史上歴代興行収入第1位となった『キリクと魔女』(1998年制作、日本での公開は2003年)の日本語版翻訳を高畑監督が担当したことをきっかに、親交を深めています。『キリク 男と女』は『キリクと魔女』の待望の続編で、アフリカの心優しい少年キリクの物語。日仏アニメ界の巨匠が、お互いの作品に感じる親和性や魅力について語りました。
 

オスロ監督「日本は昔から大好きな国で、墨絵などの独特な絵画や漫画に惹かれます。高畑さんの『かぐや姫の物語』は、私が特に興味深い平安時代が舞台で、女性や植物の描写が素晴らしく、幸せな気持ちになりました。私たちの作品に共通するのは派手なものでごまかさない人間らしさ。大切なのは誠実さであり、登場人物に充分に愛情があることです。こうした作品はすたれることがなく、ずっと輝き続けると思います」
 

高畑監督「オスロさんの『アズールとアスマール』は主人公が海を渡って異文化の国で成長する話で、フランス語とアラビア語の台詞があります。その翻訳を担当した時に共感したのは、主人公が理解できないアラビア語はあえてフランス語に翻訳しないという姿勢です。そのおかげで視聴者は、彼の戸惑いや困惑をリアルに感じることができました。また、セネガルを舞台にした『キリクと魔女』では、彼らが話すフランス語をわざわざセネガルで録音したという点にこだわりを感じました。それほどフランス語に詳しくない私にもその違いは、明らかに分かりました」
 

オスロ監督「実はフランスのTV局からもアラビア語に字幕を付けるよう、強く要求されました。しかし、私は異文化の人に初めて会った時、言葉が理解できないという状況をきちんと伝えるべきだと考え、『アラビア語の部分は翻訳しない』という意思を貫いたのです。文句を言うのは大人だけで、子どもたちから字幕をつけてほしいと言われたことはありません」
 

最新作『キリク 男と女』にも仲間とはぐれた異文化の部族の少年を、キリクが助ける場面があります。言葉ではなく、地面に描いた絵や、身振り手振りで状況を伝えあい、2人が心を通わせる様子が印象的でした。台詞や字幕に込められたオスロ監督の深い想いに、映像翻訳者の責任の重さを改めて感じるイベントとなりました。
 

◆東京アニメアワードフェスティバル2014は3月23日まで! 公式サイト

 

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page