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アフガニスタンから逃れた家族の旅路『ミッドナイト・トラベラー』が劇場公開

アフガニスタンから逃れた家族の旅路『ミッドナイト・トラベラー』が劇場公開
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アメリカ軍がアフガニスタンから撤退し、武装勢力タリバンが権力を掌握する今、現地の人々は不安な日々を強いられている。9月11日(土)に劇場公開の『ミッドナイト・トラベラー』は、難民の家族が安住の地を求めて旅をする姿を追ったドキュメンタリー。アフガニスタンからヨーロッパまで、その距離は実に5600kmに及ぶ。これまで、ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など世界の23の国際映画祭で受賞、18のノミネートという高い評価を得た話題作だ。国内では難民問題にフォーカスした作品を上映する「UNHCR WILL2LIVE映画祭」(現 UNHCR WILL2LIVE Cinema)で2019年に上映された。JVTAは同映画祭に2008年から字幕制作で協力、この作品の字幕も修了生による翻訳者チーム(伊藤 淳子さん、川下 盛代さん、桐原 麻衣さん、清水 香さん、田島 佳子さん、原 茉未さん、増渕 裕子さん)が手がけている。
 

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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 
主人公は、アフガニスタンの平和をテーマにした作品を作ったことがタリバンの怒りを買い、死刑宣告を受けた映像作家、ハッサン・ファジリ。2015年に母国を追われ、妻のファティマと2人の娘ナルギス、ザフラと共に安全な場所を求めてさまよう姿を自ら3台のスマートフォンで撮影した。字幕を手がけたJVTAの字幕翻訳チームのリーダー、桐原麻衣さんは、この作品を通して、『難民』とは貧しい国の別世界の人の話ではなく、私たちと同じように生活していた人たちが、突然、命の危機を迎えることがあるのだと知ったという。
 
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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 

「アフガン情勢を毎日のようにニュースで見聞きし、悲しいかな2年前に携わった本作のことを思い出す日々です。本作が上映されるとのこと、多くの人に知ってもらえるという意味ではうれしいような。でも、今のアフガン情勢、特に女性や女子の境遇を考えると…ナルギス、ザフラ、ファティマが今もアフガンにいたらどうなっていたのかと想像し、理不尽すぎて、恐すぎて、いたたまれない気持ちになります」(桐原麻衣さん)
 

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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 

2021年6月にUNHCR本部が発表した年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート 2020」によると、2020年末時点で、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は8,240万人。2020年の間に、新たに故郷を追われた人は約1,120万人に達したという。これは第二次世界大戦後、 最多であり、その多くが女性や子どもだ。コロナ禍の今、難民はますます厳しい状況に置かれている。難民という言葉や数字だけではなく、映画を通して一人ひとりの人生を知る。それが支援への大きな一歩となる。翻訳者はその現状を日本に伝えたいと字幕に想いを込めている。
 

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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 

「難民は、なりたくて難民になったんじゃない。難民は特別な人たちではなく、日本で生活する私たちと同じようにスマホを使い、家族を思い合って笑ったり泣いたりしながら生活しているということが、ある意味衝撃でした。難民にも家族があり、平穏に暮らす権利があるんだということをひたすら感じながら訳出しました」(桐原麻衣さん)
 

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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 

『ミッドナイト・トラベラー』に収められているのは、逃げ惑う悲惨な映像だけではない。家族が笑顔で過ごす、ごく普通の日常もある。連日報道されるニュース番組からは、なかなか見えない個人のストーリーを見ることができる貴重な記録だ。
 

「難民問題は遠い国の昔話のように感じるかもしれませんが、現在進行形で、命の危険にさらされている人たちが大勢いること、難民とはどんな生活を強いられているのかをリアルに感じる事ができる作品です。一方で、難民にならず(なれず)に自国に留まっている(出国できない)人もたくさんいるはずです。本作を通して、監督の想いやアフガン難民のこと、アフガニスタンという国を考えるきっかけになればと思います。私自身もアフガニスタンという国についてもっと理解を深めたいですし、難民が難民でなくなり、皆が平和に暮らせる世の中にするにはどうすればいいのかという思いでいっぱいです」(桐原麻衣さん)
 

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(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.
 

ハッサン・ファジリ監督はあるニュース番組に出演し、「日本の人たちにアフガニスタンを忘れないでほしい」と語った。故郷を追われて難民になるとはどういうことなのか。誰にでも起こりえるその現実をこの映画で多くの人に知ってほしい。そして、アフガニスタンに平穏な日々が戻ることを願わずにはいられない。UNHCRは「Stay and deliver」で、スタッフが現地に残り人道支援にあたっているという。JVTAではこれからも字幕制作を通して難民問題の支援をサポートしていく。
 

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『ミッドナイト・トラベラー』
監督:ハッサン・ファジリ プロデューサー:エムリー・マフダヴィアン、スー・キム
配給:ユナイテッドピープル
87 分/アメリカ・カタール・カナダ・イギリス/2019 年/ドキュメンタリー
https://unitedpeople.jp/midnight/

 
※「UNHCR WILL2LIVE Cinema 2021募金つきオンラインシアター」10月1日から開催
JVTAは今年も字幕翻訳に協力している。
https://unhcr.will2live.jp/cinema2021/https://www.jvta.net/tyo/2019will2live/

 
【関連記事】
◆UNHCR WILL2LIVE映画祭2019 上映とレセプションと翻訳者のコメント
https://www.jvta.net/tyo/2019will2live4/
◆「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」記者会見と翻訳者のコメント
https://www.jvta.net/tyo/2019will2live/
◆故郷を追われた人を守り続けて70年 UNHCRの活動をJVTAはサポートしています
https://www.jvta.net/mtc/who-we-are-unhcr70/
◆【『戦火のランナー』が劇場公開】翻訳者だからできる社会貢献のカタチ
https://www.jvta.net/tyo/runner/
 

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