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【開催レポート】J-Anime Meeting in Russia 2020閉幕 日露学生インターン80名が創ったもの

【開催レポート】J-Anime Meeting in Russia 2020閉幕 日露学生インターン80名が創ったもの
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日本人とロシア人の学生インターン80名が作り上げる「J-Anime Meeting in Russia 2020」が2020年11月15日に閉幕しました。
 

このイベントは、日本映像翻訳アカデミー主催、東京外国語大学共催のオンライン・アニメフェスティバル。学生たちが字幕翻訳から権利交渉、PRまでを一挙に手がけ、アニメを通して文化交流を実現する日露産官学協同プロジェクトです。国境、言葉、コロナ禍――さまざまな壁を越えて人々が集った時、浮かび上がったのは切っても切れない日露の文化のつながり、そしてインターンシップを通じて未来を創る力を身につけた若者たちの姿でした。
 

日本アニメのキーパーソンらを迎え、世界に向けて配信されたトークセッションを中心に、二日間のイベントの様子をお届けします。
 

CONTENTS

  • ●『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』片渕須直監督スペシャルトークショー
  • ●人気声優・上坂すみれさん登場!だから声優はやめられない
  • ●娘、手塚るみ子が語る手塚治虫という天才
  •  

    『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』片渕須直監督スペシャルトークショー
    ~いまを生きる私たちへのメッセージ~

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    【トークセッションに臨んだ松岡さん(写真左上)、マリアさん(写真右上)、片渕監督(写真左下)、ジェーニャさん(写真右下)】
     

    「J-Anime~」では『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019年)にロシア語字幕を付けて上映。イベント二日目には片渕須直監督を迎え、翻訳を手がけた学生たちが作品に込められた思いに逐次通訳付きで迫るトークセッションを配信しました。司会・聞き手はマリア・プロホロワさん、松岡 実乃里さん(共に東京外国語大学)。片渕監督の逐次通訳は声優・歌手のジェーニャさんです(ジェーニャさんはトークセッション「日本アニメに魅せられて ~ロシア人声優ジェーニャの仕事術~」にメインで登場)。
     

    想像力があれば、たくさんのものが見えてくる
    「初めて監督・脚本を手がけた長編アニメ『アリーテ姫』の最後に“人間の想像力というのは、千年くらい昔のことでも思い浮かべる力があって、それが素晴らしい”というセリフを書いたんです。その意味が、だんだん、自分の中に浸透してきて。今の大きな力になっています」――そう語る片渕監督に聞き手の松岡さんからは「すずが本当に実在した人物のように感じました。キャラクターを作る際に工夫したところをお聞かせください」と質問が投げかけられます。片渕監督は「すずは創作上の人物ですが、彼女のまわりにあるものは、できるだけ本当にあったものを描こうと思いました。呉は空襲の火事で焼けてしまった部分も沢山あるんですけど、建っていた家や店は『こんなところだったんだな』と分かるようにしました。その中にすずという人を立たせてみたことが一つ」。
     


     

    「もう一つは、すずを“看板”のように、一面しかないキャラクターにしようと思わなかったということです。そのために、彼女の心の中のことを考えました。すず自身も自覚していない、本当の心です」と主人公に命を吹き込むまでを明らかにしました。忘れられないシーンについて語るパートでは、「すずが嫁ぎ先の呉で、たんぽぽを摘み取ろうとする夫・周作に『遠くから来とってかも知れんし』と止めるシーンに胸が熱くなりました」と司会のマリアさん。「すずの心の優しさも、故郷の恋しさも伝わります。私も遠いところから日本に来ているから、いっそう感じたのかもしれません」と振り返る彼女に片渕監督は「呉と広島(江波)の距離は20kmほどで、歩けてしまう距離。でも、その距離が、戦争中は、特に主婦をしている女性には移動できないという苦しさがあるんです。そんなに遠いところではない、だけどそれが遠い故郷のように思われるという気持ちがさらに分かるかもしれません」と答えた上で、「映画の中で描かれていることの外側には、本当にあった“現実”があると思っていただけるといい。その映画の外側に『何があったんだろう?』と思いながらまわりを眺めていくと、もっとたくさんのものが見えてくるはずだと思っています」と語りました。
     

    上映作品『鬼灯の冷徹』関連トークショー「人気声優・上坂すみれさん登場!だから声優はやめられない」

    【上坂さんTKS】上原さん、杉原さん2
    【(左から)上坂すみれさん、進行を務める杉浦さん】
     

    【上坂さんTKS】ポリナさん2
    【リモートでセッションに参加するポリナさん】
     

    今、最も人気な声優のひとり・上坂すみれさん。ソ連・ロシアに魅せられ、上智大学でその文化や言葉を専攻した本格派でもあります。杉原直樹さん(大阪大学)、ポリナ・ポハーボワさん(国立研究大学高等経済学院)がロシアではまだ職業として確立されていない「声優」という仕事の魅力に迫りました。
     

    ロシア人は日本で声優になれますか?
    上坂さんとロシアの出会いは高校生の頃。YouTubeで偶然聞いたソビエト連邦国家がきっかけだったそう。「すごくかっこいいい歌だな、と思いました。それまでは全然知らなかったロシアのことに急に興味を持って、『ロシアを知る事典』という本を図書室で借りました。大学はロシア語を勉強するぞ! とロシア語学科だけを受験しました」。在学中のロシア語学習について掘り下げる杉原さんに、上坂さんはモスクワまで合宿に行った時、日本語を学んでいるアニメ好きの学生と出会ったエピソードを披露。「『黒執事』や『らき☆すた』の話題で楽しく話ができました。これは言語を勉強すること全部に共通することだと思いますが、コミュニケーションできるようになることが一番嬉しいです」。ポリナさんからは「ロシアのアニメファンたちは皆、声優という仕事に憧れています。ロシア人は日本で声優になれますか?」と質問が飛び出します。上坂さんはアニメ『ガールズ&パンツァー』で共演した声優・ジェーニャさんの例を挙げながら日本で声優になることに国籍は関係ないことを伝えました。また、日本のアニメや映画の吹き替え作品にはロシア語が頻繁に出てくることを紹介。「『ゴールデン・カムイ』や『ユーリ!!! on ICE』にもロシア語がよく出てくるとスタッフの方から聞きました。難しいね、といわれているロシア語が分かる方がいたら現場はありがたいはずです。ロシアに住んでいる方で声優になりたい方がいっぱいいるのは嬉しいですし、日本に来て活躍していただきたいです!」とエールを送りました。
     

    【上坂さんTKS】上原さん、杉原さん6
    【セッションの後半には上坂さんが「子ども・大人・おばあさん」3役の演じ分けをロシア語で披露!】
     

    『どろろ』関連トークショー「娘、手塚るみ子が語る手塚治虫という天才 ――マンガの神様の素顔に迫る」

    【手塚さんTKS】3ショット
    【手塚るみ子さんに質問するアレクサンドラさん(写真左)と香春さん(写真右)】
     

    【手塚さんTKS】ミレーナさん日本語で質問2
    【リモートでセッションに参加するミレーナさん】
     

    手塚治虫が描いた不朽の名作『どろろ』もロシア語字幕付きで上映された作品のひとつ。香春 汐里さん(東京外国語大学)、ミレーナ・アディルバエワさん(国立研究大学高等経済学院)、アレクサンドラ・プリマックさん(上智大学)がプランニング・プロデューサーの手塚るみ子さんに作品の魅力や“マンガの神様”である父・手塚治虫の横顔を聞き出します。
     

    “マンガの神様”が創作の糧にしたロシアの文学や音楽たち
    『どろろ』は、手塚治虫がマンガ作品として連載していたもの。「お父さまは何のメッセージを伝えようとしていたと思いますか?」というアレクサンドラさんの質問に、るみ子さんはまず、作品が誕生した背景である1960年代の妖怪ブームについて解説。「子どもたちが妖怪を楽しんでいる。僕も妖怪のマンガを描こう」と始まったことを伝えました。
     

    【手塚さんTKS】今後の展望
     

    「百鬼丸という少年は自分の体を取り戻すために冒険をし、大人に成長していきます。一方、泥棒だったどろろという小さな男の子も百鬼丸と旅することで、世界の厳しさを体験し、たくましさを身につけていきます。この物語は子どもたちに対して『人生には苦しみや悲しみ、怒り、たくさんのことが待っている。そこを乗り越えていくことであなたたちは大人になっていくんです』という思いが込められていたんじゃないかと私は思います」。ミレーナさんは手塚治虫がトルストイやドストエフスキーの影響を受けた話に触れ、本人がロシアのことをどう思っていたのか質問をぶつけます。るみ子さんは「特に『罪と罰』はマンガを作る上でのストーリーテリングのバイブルとして読んでいたようです。また、ロシアの音楽も大好きでした。大好きな作曲家はチャイコフスキーで、彼の音楽を聞きながらたくさんのマンガを描いてきました」と語り、代表作『火の鳥』はストラヴィンスキーから着想を得て描かれたことも紹介しました。
     

    【手塚さんTKS】香春さん質問中2_
     

    最後に、香春さんがロシアの視聴者に向けたメッセージをリクエスト。るみ子さんは「今日はアニメーションに興味を持った方がたくさんご覧になっているかと思います」と話した上で、手塚治虫が後輩の作家たちにいつも言っていたアドバイスで締めくくりました。「『一人前になりたかったら、一流の本、一流の小説を読みなさい。一流の音楽を聞きなさい。一流の映画、お芝居を見なさい。それが創作の糧になる』。どうかそんな機会を増やしてください」。
     

    * * *
     

    日露地域交流年認定事業、経済産業省「コンテンツグローバル需要創出促進・基盤整備事業費補助金」(J∹LOD)採択事業として日露の学生たちが実現した「J-Anime Meeting in Russia 2020」はその名の通りアニメを通じた人々の“出会い”でした。国境、言葉、コロナ禍――さまざまな壁を越えて作られた場には、未来を創る力を身につけた学生たちの姿がありました。
     

    ★各種トークイベントは11月22日までオンデマンドでイベント公式サイトから視聴できます。【※限定公開終了しました】
    詳しくは▶J-Anime Meeting in Russia公式サイト
     

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