News
NEWS
voiceinTYO

バイリンガルを活かした茶の湯ナビゲーター 「日本文化の英語化は映像翻訳に通じる」

バイリンガルを活かした茶の湯ナビゲーター 「日本文化の英語化は映像翻訳に通じる」
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

8月30日(月)、JVTAオンラインサマースクール2021の最終回「The Way of Tea: 茶道とその翻訳から学ぶ、文化伝達スキル」を開催。100人を超える皆さんがリモートで参加した。講師にお迎えしたのは、茶道裏千家教授でバイリンガル茶の湯文化ナビゲーターの保科眞智子さん(※茶名は宗眞)。日本文化を英語で伝えていく極意を伺った。
 

和(harmony)敬(respect)清(purity) 寂(tranquility)
茶道の精神とは「和敬清寂」。「和を以て貴しと為す」。相手を敬い、自らを清める。自然と人と平和に調和することを大切にする日本の心を表しています。「寂」は禅の言葉で、それらが整った先に得られるさとりの境地を指します。禅の教えに「不立文字(ふりゅうもんじ)」という言葉があります。「本当に大切なことは文字にした途端に失われてしまう、体験こそが神髄」という考え方は、お茶の世界観である「茶禅一味」にも通じます。言葉で説明するよりも五感で自ら感じ、学び取ることが大切。お辞儀の角度などで相手への距離感やニュアンスを伝えられるのも日本ならではの文化ですね。
 
Purify, dust off one’s mind
英語で行うお茶会で意識して使う言葉は、Purifyです。和敬清寂の清の部分であり、「清める」という茶道の精神を表現できます。つくばいで手を洗う時のcleanや rinse、ふくさで道具を丁寧に拭く際のwipeに、purifyを添えることでおもてなしの心をお伝えします。大切なのは「心の塵を払う」(Purify, dust off one’s mind)ということなのです。
 

高コンテクストの極みを低コンテクストに伝える
日本の文化は「あうんの呼吸」「以心伝心」「空気を読む」など言葉に頼らずともコミュニケ―ションが取れる、「高コンテクスト文化」です。一方、人種や宗教、価値観などが異なる多様な民族がひしめきあう欧米は、可能な限り、具体的に言葉で伝えていく「低コンテクスト文化」です。ですから茶道を英語で伝えていくのは大きなチャレンジと言えます。例えば、茶室に置く茶花は、千利休の「花は野にあるように」という教えに従い、あまり手を加えずにあるがままの姿を自然に近い形でかざります。英語ならarrange flowers in a vaseという言葉が一般的ですが、私はあえてputという動詞を使います。こうした本来のニュアンスが伝わる翻訳、文化の翻訳者でありたいと考えております。
 

時代を経て言葉は変わっていく
英語という世界共通語に向かって、どの言語も英語で表現することが増えています。日本でも若い世代の方にはカタカナ語を多用したほうが伝わりますが、年配の方には通じません。私はその中間層としてどんな方にも分かりやすい表現は何かを考えております。一方でお茶会ではあえて日本語のままにすることもあります。例えば「お先に」という言葉。お伝えするとすぐに真似して使ってくれるのは嬉しいですね。日本語ならではの綺麗な表現は残しつつ、英語でも真のおもてなしの心を伝えていきたいものです。
 

保科眞智子 ※茶名は宗眞 (茶道裏千家教授、国際茶道文化協会会員)
保科眞智子プロフィール写真全身
1972年東京生まれ。茶道裏千家教授。国際茶道文化協会会員。生家は戦国武将、旧大名保科家。三児の母。著書「英語 DE 茶の湯 〜こんなとき、どうする?!〜」(2018, 淡交社)、「そのままあるがまま as it is 暮らしにお茶を。」(2021, 光村推古書院)。代々が茶道を嗜む環境に育つ一方、幼少期から米国や豪州で過ごすなど海外経験も豊富。茶の湯ナビゲーターとして、茶道と日本の伝統文化の魅力を国内外に発信する「茶蓮CHAREN Tokyo」主宰。インバウンド、国際会議、法人研修、教育現場などにて茶会を多数催す。東京観光財団推薦。https://www.charen.tokyo
一般社団法人古伊万里再生プロジェクト代表理事、「海を渡った古伊万里〜ウィーン・ロースドルフ城の悲劇〜」展特別協力中。https://www.roip.jp
 

=====================
◆【2021年10月期は10月11日の週から開講】入学は10月18日の週まで受け付けます。
映像翻訳のすべてが分かる「リモート・オープンスクール」(※体験レッスンあり)
英日・日英 10/3日(日)、10/10(日)、10/17(日)
英日のみ  10/2(土)、10/9(土)
net_top_OS202110A
※詳細・お申し込みは▶こちら
 

◆映像翻訳をエンタメのロサンゼルスで学びたい方】
ロサンゼルス校のマネージャーによる「リモート留学相談会」
net_top_LA20210930
※詳細・お申し込みは▶こちら
 

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page