【修了生制作の絵本「全世界灯火計画 はじまりの物語」が発売】創作の支えは翻訳で培った粘り強さでした
『ボヘミアン・ラプソディ』や『レヴェナント:蘇えりし者』などの吹き替え翻訳を手がける映像翻訳者、瀬尾友子さんは、JVTAの2期生として約30年前に学び、1998年にプロデビューしたベテランだ。映画やドラマなど多くの作品に携わってきた瀬尾さんだが、実は「絵師」というもう一つの顔がある。その作風は、緑や青の色彩が幻想的な独自の世界観が魅力となっている。大学で美術を専攻していた瀬尾さんは、映像翻訳と並行しながら2010年から再び本格的に絵を描き始め、2017年から作品の販売や個展を行っている。
そんな瀬尾さんが2026年1月、初の絵本「全世界灯火計画 はじまりの物語」を発売した。物語の冒頭はこんな言葉で始まる。
疫病、天変地異、たび重なる戦(いくさ)が起こった。
だれもが思った。「世界は〈かげ〉に覆われた」

絵本創作のきっかけは2020年にさかのぼる。
「2020年、突然コロナ禍が始まり、頭の中が真っ白になる経験をしました。映像翻訳の仕事が激変し、そこからもがきながら絵の制作を続けているうちに、翻訳の仕事が少しずつ戻り、気持ちを持ち直しました。そんな経験を踏まえて2024年、『灯火計画』と題し『個々の心に、そして世界に灯火を』のコンセプトで『灯火計画』というシリーズを描き始めました。われながらベタなコンセプトだなと思いつつも、描きたい場面が浮かび続けて2年となります。」(瀬尾友子さん)
◆絵本づくりの支えは翻訳の仕事で培った粘り強さ
コロナ禍は世界全体に大きな混乱をもたらした。ステイホームや映画館閉鎖、イベントの中止、テレワークの開始、飲食店でのアルコール提供禁止など、これまで経験したことのない閉塞感が漂うなか、瀬尾さんと同じように不安を抱えた翻訳者は多いはずだ。一方でこのパンデミックは、映画祭やイベント、JVTAの授業がオンライン化されるなど新たな可能性が見えるきっかけにもなった。

絵本「全世界灯火計画 はじまりの物語」は、2026年1月に立川の書店「狐弾亭」で瀬尾さんがミニ個展を行うにあたり、描きためた作品を用いて「灯火計画」のはじまりを物語にしたもの(ZINEとして自費出版)。翻訳者と絵師は一見接点がないようだが、絵本の創作には翻訳者として培った経験が役立っているのだという。
「翻訳者は日々映画やシリーズ作品に向き合い、日本語を紡ぎます。その際はシーンの意味や原意をくみ取り、芯を食った台詞になるよう心血を注ぎます。翻訳の仕事は傍目よりもとにかく時間がかかります。その膨大な時間のなかで『粘る大切さ』『諦めない強さ』を学びました。今回の絵本作りには、その経験が支えとなりました。ご覧いただけましたら本当に嬉しいです。」(瀬尾友子さん)
「狐弾亭」の個展では、額絵の展示やポストカードとともにこの絵本も陳列され、多くのファンの手に渡った。〈かげ〉に覆われた世界は再び光を取り戻せるのか。その先の物語をぜひこの絵本でじっくりご覧いただきたい。
◆絵本「全世界灯火計画 はじまりの物語」
・サイズ:A5(コピー用紙の半分の大きさ)
・ハードカバー
・全20ページ
詳細・購入はこちら
◆瀬尾友子さん
日本映像翻訳アカデミー第2期生。1997年 英日映像翻訳科実践コースを修了。現在は吹き替え翻訳を中心に多くの話題作の翻訳を手がける。
【過去に手がけた作品】
●映画
『ねこのガーフィールド』(劇場/ソニー・ピクチャーズ)
『セプテンバー5』(ゴールデングローブ賞ノミネート/パラマウント)
『ハウス・オブ・ダイナマイト』(Netflix/キャスリン・ビグロー監督)
『ボヘミアン・ラプソディ』(20世紀スタジオ)
『レヴェナント:蘇えりし者』(20世紀スタジオ)
『RWBY』シリーズ(Rooster Teeth&ワーナー)
『フェイブルマンズ』(ユニバーサル・ピクチャーズ/スティーヴン・スピルバーグ監督)
『タイラー・レイク』シリーズ(Netflix)
『グレイハウンド』(Apple TV)
『君の名前で僕を呼んで』(ファントム・フィルム)
『マレフィセント2』(ディズニー)
『ラーヤと龍の王国』ディズニー)
『北極のナヌー』(松竹)ほか
●TVシリーズ
『デアデビル:ボーン・アゲイン』(マーベル/ディズニープラス)
『ウィン or ルーズ』(ピクサー/ディズニープラス)
『アバター 伝説の少年アン』(Netflix)
『カウボーイビバップ』(Netflix)
『アンネの日記』(NHK版)
『冬のソナタ 完全版』(ソニー・ピクチャーズエンタテイメント)ほか

◆【2026年4月期の受講申込を受付中!】
学校説明会を随時開催!
映像翻訳業界の最新情報解説や字幕翻訳の体験ができる無料イベントを開催中。個別の相談も承っております。映像翻訳にご興味をお持ちの方はお気軽にご参加ください。







