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「UNHCR難民映画祭」の記者会見と先行上映に翻訳者が参加

「UNHCR難民映画祭」の記者会見と先行上映に翻訳者が参加
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「UNHCR難民映画祭」が今年も9月から10月にかけて開催されます。この映画祭は、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所とUNHCRの日本での公式支援窓口である国連UNHCR協会が共催し、難民問題をより多くの人に広く知ってもらうことを目的に行っているもの。難民の人々にフォーカスした映画だけを集めて上映しており、今年で13回目を迎えます。JVTAはその趣旨に賛同し、第3回から字幕制作でサポートしており、毎年多くの修了生がボランティアとして協力。今年は全6作品のうち、日本初上映の4作品の字幕翻訳を約30人の修了生が担当しました。また、過去の同映画祭で好評だったアンコール上映作品2本の字幕も修了生が手がけたものです。

 
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8月1日、映画祭開催に先立ち、霞が関にある日本プレスセンタービルで記者会見が行われ、JVTAスタッフと翻訳を担当した修了生が参加してきました。この日は、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表 ダーク・ヘベカー氏、国連UNHCR協会事務局長の星野守氏らが登壇し、難民をめぐる現状を訴えたほか、『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』が先行上映されました。

 
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2017年末現在でUNHCRが支援を必要とする難民と国内避難民の数は6850万人にのぼっています。これは日本の人口の約半数、イギリスの全人口を超える大きな数字であり、5年連続でその数は増え続けています。110人に1人が家を追われ、2秒ごとに1人が移動を強いられ、毎日新たに4万4,400人が避難しているそうです。6850万人のうち、他国へ逃れたいわゆる難民が2540万人、難民と同じ境遇にありながらもまだ越境していない国内避難民が4000万人、残りはまだ難民という立場を申請中の庇護希望者です。

 
難民を生み出す紛争は日本から離れたところで起こっています。90パーセントの難民は自国から国境をひとつ越えた隣国に逃れていく越境難民となっており、その大半が出身国と同じ地域に留まっているとのこと。そして庇護国自身も発展の途上にあり、貧困にあえぎ、その国自身も危機にひんしているという状況にあるということが分かりました。

 
難民映画祭の今年のテーマは「観る、という支援」。まず映画を観ることで難民問題について知り、支援の第一歩にしてほしいという思いが込められています。

 
◆先行上映作品『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』の日本語字幕を担当
修了生の藤田志保子さんに会場でお話を聞きました。

A. Soufra
『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』
© Lisa Madison

 
この作品は、パレスチナ難民としてレバノンに生まれた女性、マリアムさんが料理のケータリングビジネスを立ちあげ、他の難民の女性たちと共に自立していく姿を追ったドキュメンタリーです。複数の翻訳者さんとチームで字幕を作りました。私が翻訳を担当したパートでは、約70年という長きにわたるパレスチナ難民の背景などが語られています。私も実はよく知らなかったことなので、調べものを入念にし、皆さんに事実がきちんと伝わるよう、慎重に訳しました。「彼女らは諦めるために生まれたんじゃない」という言葉が強く印象に残っています。これはマリアムさんを支援する弁護士の言葉です。難民という立場で起業することの難しさの中にあっても前向きに目標に向かっていく女性たちの姿が象徴されていると感じました。

 
シリアからの叫び
『シリアからの叫び』
© 2017 FHTTU Productions, LLC.

 
昨年の難民映画祭では、『シリアからの叫び』の字幕を担当しました。この作品には爆撃や拷問など衝撃的な場面が多く、女性への差別や迫害もたくさん描かれていたので、訳しながらかなり落ち込んでしまったのですが、今年担当した『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』では、女性たちが生き生きと活躍していて嬉しかったですね。料理を作ることで、宗教や国籍を超えていろいろな人たちと交流する場面があり、お互いの文化を理解するいいきっかけになっているのを感じました。前向きな気持ちになれるので「難民の映画をまだ観たことがない」という方にもぜひ観ていただきたいですね。

 
実はマリアムさんのレシピ本が発売されていて、私は早速購入しました。どれも珍しく美味しそうなお料理ばかりです。この映画をきっかけにこちらも日本語訳が発売されたらいいなと思っています。

 
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※映画の公式サイトでも紹介されています。
https://www.soufrafilm.com/about_the_cookbook


 
上映を見終わった時、「これで日本の人たちにもマリアムさんたちのことを紹介してあげられた」という嬉しい気持ちでいっぱいでした。翻訳者としてそれに参加できて光栄です。

 
記者会見の中で、ダーク・ヘベカー氏が、「多くの難民が逃れるのは隣国。日本は紛争地域から遠く離れていて、言葉や文化も大きく違うので、難民の人たちが逃れてくるのは難しい」というお話が印象的でした。日本では遠い国のことという意識が強いと思いますが、受け入れという形ではなくても私たちがどんな形で支援ができるのか、改めて考えたいと思いました。

 
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※国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表 ダーク・ヘベカー氏

 
記者会見ということで、一緒にご覧になったメディアの方々にどのように伝わったのか、今後この作品をどんな形で紹介してくださるのかとても気になります。この作品が多くの方に届くことを願っています。

 
1.UNHCR RFF2018_Main visual

 

UNHCR難民映画祭2018 公式サイト
http://unhcr.refugeefilm.org/2018/

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