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SSFF & ASIAが閉幕! 上映会場やイベントに出かけた翻訳者の喜びの声をお届けします!

SSFF & ASIAが閉幕! 上映会場やイベントに出かけた翻訳者の喜びの声をお届けします!
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アジア最大級の国際短編映画祭 「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018」(SSFF & ASIA)が、6月24日に閉幕しました。20周年という節目を迎えた今年、注目のグランプリ「ジョージ・ルーカス アワード」は、イーウェイ・チャイ監督の『カトンプールでの最後の日』が受賞しました。今年は、世界中から選りすぐりの約250作品が一挙上映、そのほとんどの字幕をJVTAの修了生約100名が手がけました。
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映画祭は翻訳者も一緒に楽しめる貴重な場です。今年の上映作品の翻訳を手がけた修了生の多くが、実際にSSFF & ASIAの上映会場やイベントに参加してきました。そこで、実際にさまざまな会場で映画祭を楽しんできた3名の修了生に直撃。グランプリ作品『カトンプールでの最後の日』の字幕を手がけた赤木真理子さん、アワードセレモニーに参加した細川雄士さん、スウェーデンの作品を集めたイベントの上映会で字幕担当作品を観客と鑑賞してきた藤野玲充さんに、翻訳時のこだわりと各種イベント参加の感想を聞いてみました。

 
◆赤木真理子さん
赤木真理子さん

・翻訳を手がけた作品
『カトンプールでの最後の日』(グランプリ作品)

カトンプールでの最後の日_Benjamin's Last Day at Katong Swimming Complex_Still 1

・参加したSSFF & ASIAイベント
オープニングセレモニー


 
赤木さん ヒカリエホール(東京・渋谷)で開催されたオープニングセレモニーにご招待いただきました。すごい数の報道陣、司会の別所哲也さんやLiLiCoさん、次々と登壇する世界中から集まった監督や俳優たちなど華やかな雰囲気に、気づけばミーハー心全開で「三代目 J soul brothers」の岩ちゃん(岩田剛典さん)にクギヅケでした! 今年からグランプリが「ジョージ・ルーカス・アワード」の名前を冠することが発表された時も、「すごい! でも別世界のこと」という感じで、まさかこの時は、自分が字幕を担当した作品がそれを受賞するとは夢にも思っていませんでした。1万本以上の応募作品の中から選ばれるなんて、俗っぽいですがなんだか宝くじに当たったような感動です。

 
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※アワードセレモニー、『カトンプールでの最後の日』グランプリ受賞の瞬間

 
赤木さん ショートフィルムは、どれも短い映像の中にそれぞれ独特の世界観があり、いつも楽しみながら字幕をつけています。『カトンプールでの最後の日』は、ノスタルジックな雰囲気でセリフが少なく、セリフひと言の重みが増すので、映像が伝える一瞬を見逃さないように気合いを入れて臨みました。

 
赤木さん プールのへりで、脚にケガをしたベンジャミン少年をコーチが介抱します。この時、少年が唐突にコーチの首をなめるというシーンがあり、かなりビビッドに、少年のコーチへの淡い憧れ、性の目覚めのような感覚が描かれています。このあと戸惑ったコーチと少年との短いやりとり(ひと言が1秒にも満たない)があるのですが、この部分の訳には悩みました。でも何度も見直した結果、最終的には映像が伝えてくれると信じ、結局は原音通り端的に訳出しました。

 
赤木さん 映画の中でキーワードとなるのが、Sarsi(サルシ)という地元のコーラです(残念ながら「コーラ」としか訳出できませんでしたが)。リサーチしたところ、薬っぽくて独特な味わいのようですが、機会があれば一度飲んでみたいですね。

 
◆細川雄士さん
細川雄士さん1
・翻訳を手がけた作品
『遠く離れた故郷』
『どこまでも続く壁』(アニメーション)


 
・参加したSSFF & ASIAイベント
アワードセレモニー


 
遠く離れた故郷 - コピー
『遠く離れた故郷』
細川さん 『遠く離れた故郷』は、米国に住む主人公が父の納骨のため、疎遠になった祖母の暮らすラオスに嫌々向かうという話で、孫を思う祖母とのやり取りの中で主人公の心が動く様子が印象的な作品です。字幕制作では、特に終盤の祖母のセリフの訳にこだわりました。祖母の柔らかい話し方や孫である主人公とその家族をひたすら気にかける姿が温かいと同時に可愛らしく、日本人が持つ「おばあちゃん」像に通じるものを感じました。彼女のキャラクターが伝わるような訳を心掛けました。

 
どこまでも続く壁 - コピー
『どこまでも続く壁』
細川さん 『どこまでも続く壁』は、世界中のアーティストが描いたベルリンの壁の絵を題材にした作品です。セリフはなく、所々で絵の中に浮かび上がる作者たちのメッセージや描かれた絵が動き出すという演出が独特の世界観を生み出し、視覚的なアートならではの表現にショートフィルムの幅の広さを感じました。セリフであれば前後のセリフや文脈が解釈のヒントになりますが、今回はその文脈がアニメーションのみであったため、作者の言葉を解釈するにあたり、映画の製作者の意図や作品全体のテーマも意識しながら訳を練るという難しさがありました。

 
レッドカーペット公式審査員
細川さん 東京・原宿で行われた豪華なセレモニーには、映画製作者に加え日本の著名人も数多く出席しており、短編映画の注目度の高さに驚きました。セレモニーの中で上映された作品もとても面白く、普段暮らしている地元の富山ではなかなか味わうことのない貴重な体験ができました。

 
◆藤野玲充さん
藤野 玲充さん
・翻訳を手がけた作品
「Vem?(Who?)」(スウェーデンのアニメ作品)


 
・参加したSSFF & ASIAイベント
スウェーデンイベント(LiLiCoさんが登壇)
アワードセレモニー


 
藤野さん スウェーデン語を学んだ経験を映像翻訳に生かしたいと考えていたので、スウェーデンのアニメ作品『Vem?(Who?)』を担当することができて、とてもうれしかったです。MTCに提出した翻訳者のPRシートにスウェーデン語のことを書いたことでお声をかけていただけました。

 
sweden_VEM_Who - コピー
藤野さん このアニメシリーズは全部で15話ほどありますが、映画祭ではその中から4話が上映されました。“”初めてのお泊まり”や“スーパーでの迷子”など、幼い頃に誰もが経験するような出来事が描かれている一方で、社会的なテーマやスウェーデンらしい価値観を感じさせる作品でもあります。字幕を作る時は、そのまま訳すと「~と言いました」が続いてしまうため、絵本を読んでいるような原文のリズムを意識しながら表現を工夫しました。上映中は1話終わるごとに、会場からクスクスと笑い声が聞こえてきました。作品が持つ温かさやユーモアが伝わったのだろうと思い、人知れずほっとため息をつきました。

 
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藤野さん 6月17日にはアワードセレモニーにも参加しました。20周年の節目ということもあり、すごく華やかで盛大な式でした。VRや4K映像といった最新技術に関連する部門があったり、女性のクリエイターを応援するプロジェクトの創設が発表されたり、今後もますます発展していくショートフィルムの可能性を感じました。

 
藤野さんが参加したスウェーデンイベントはこちら
http://shortshorts.org/2018/topics/news/ja/3757

 
今年もSSFF & ASIAの翻訳に参加してくださった修了生の皆さん、お疲れ様でした。
来年はぜひ、あなたもチャレンジしてください!

 
「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018」(SSFF & ASIA)
公式サイト
http://www.shortshorts.org/2018/

 
【関連記事】アワードセレモニーの様子はこちら
https://www.jvta.net/tyo/ssff-asia2018%EF%BD%B0award-ceremony/

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