News
NEWS
eventinTYO

スウェーデン映画祭2016 字幕翻訳者たちのVOICE

スウェーデン映画祭2016 字幕翻訳者たちのVOICE
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

9月17日(土)から23日(金)にかけて開催される『スウェーデン映画祭2016』。JVTAは本映画祭の実行委員会に参加し、多くの上映作品の字幕翻訳を受け持っています。翻訳を手がけるのは、もちろん当校の修了生の皆さん。今回の翻訳を担当した修了生が字幕づくりを通じて何を感じたのか? そして、作品と対峙したからこそ伝えられる作品の魅力について、語っていただきました。
 

ソフィーの服装の変化に
注目してみてください

――『ヤング・ソフィー・ベル』の字幕翻訳を担当 赤坂純子さん
 
ヤングソフィーベル (c)Petrus_Sjovik

 

『ヤング・ソフィー・ベル』は少女から大人になる過渡期の“危うい心模様”を鮮やかな色彩と光の変容で表現した本当に美しい作品です。その他にも、いち映画ファンとして、作品に求める要素がたくさん詰まっているので、多角的に、楽しみながら字幕制作を進めることができました。
 

物語は主人公のソフィーとその親友・アリスを軸に展開していきます。2人のキャラクターが全く違うので、その違いをきちんと出せるよう、工夫をしました。この作品を観て頂くときは、ソフィーの服装の変化に注目してみてください。彼女の心の動きが服にしっかりと表現されていますよ!
 

昨今の北欧ブームでも分かるように、スウェーデンの美的感覚は日本人の琴線を刺激します。家具やファブリック(織物)、雑貨だけでなく、映画もきっとあなたの心をふわりと包み込むはずです。
 

『ヤング・ソフィー・ベル』(上映日:9/18、9/20、9/21)
 

Young_Sophie_Bell_tree_(c)Petrus_Sjovik

 

幼馴染のソフィーとアリスは、高校卒業後にベルリンで暮らす約束をしていた。しかし、アリスはひとりで旅立ち、そのまま忽然と消えてしまう。ソフィーはその真相を探るため、ベルリンへと向かう。親友の痕跡をたどる旅が、やがて彼女の人生を変えていく…。大人になりきる前の少女たちの危うさを幻想的な映像とともにミステリータッチで描き、話題となる。ストックホルム映画祭の女性監督支援プロジェクトで、本作の企画が最優秀賞を受賞し、映画祭の出資を受け製作された。
 

 

“映像翻訳の真骨頂”のような
字幕づくりでした

――『波紋』の字幕翻訳を担当 高橋純子さん
 

波紋1(c)Lukasz_Zal

 

主人公・ヨンの不安定さ。周囲の人たちの彼を腫れ物を扱うような接し方。そしてヨンのクラスメートたちの残酷な態度。映像を確認した瞬間に、この作品の翻訳を引き受けようと思いました。全体に漂う、そこはかとない暗さや雰囲気になぜかとても魅力を感じたのです。翻訳中も一人の観客としてストーリーの展開を楽しみながら、字幕をつけていました。
 

原音がスウェーデン語で、英語に翻訳されたスクリプトを基に日本語字幕をつけるため、登場人物が発する微妙なニュアンスを字幕にするのにとても苦労しました。短いセリフに意味を込めるため言葉を厳選するという、まさに“映像翻訳の真骨頂”のような字幕づくりでした。
 

登場人物で特に気になったのはヨンの祖父です。ところどころに登場するのですが、認知症のように見えながら、意外な行動に出たりすることもあります。本当に認知症なのか、それともフリなのか? …一方、そんな祖父をじっと見つめているヨンは何を考えているのか? 個人的にはそこが気になりました。皆さんもぜひ、推理してみてください。
 

『波紋』(上映日:9/17、9/19、9/22)
※9/17は上映後に主演のウルリック・マンターさんによるトークショーもあります。
 

波紋2(c)Lukasz_Zal

 

ガールフレンド殺害の罪で服役していた17 歳のヨンは、出所後に地元へと戻るが、復学した学校ですぐに執拗な嫌がらせを受ける。生徒たちも町の人々も彼の過ちを忘れてはいないのだった。少年犯罪のその後を描いたダークな青春ドラマ。再生を求めながらもそれを赦さない周囲との軋轢の中でもがく主人公を人気ミュージシャン、ウルリック・マンターが演じる。
 

 

“沈黙”のシーンの重要性を
改めて実感しました

――『ストップ・ウェディング』の字幕翻訳を担当 内村真希さん
 

ストップウェディング1(c)Way Creative Films

 

『ストップ・ウェディング』は沈黙のシーンに思わず引き込まれる作品です。セリフはなくとも登場人物が心に抱く愛情、憎しみ、悲しみ、迷いがちょっとした表情や目の動きから痛いほど伝わってきます。字幕を作っている最中はセリフにばかり注力しがちになるのですが、車窓を眺めたり、沈黙したりしているシーンの重要性を改めて実感しました。
 

苦労した点は、主人公・アマンダの「好きだけど嫌い、嫌いだけど好き」という複雑な気持ちを吐露するセリフです。原文と同じ熱量の感情が伝わる表現になるよう、アマンダの気持ちに寄り添いながら表現を考え抜きました。楽しめた点は、あるセリフでの言葉選び。最初は「その女性」と訳していたのですが、その後のシーンである事実が発覚したため、「その女」に変えました。ごくささいな変更ですが、話者の心情がにじみ出ていて、ちょっとした伏線になっている口調に仕上がったと思います。
 

この作品では、スウェーデンのさまざまな都市名やストックホルムのターミナル駅が出てきます。まだスウェーデンに行ったことのない方も、きっと旅行気分を味わえますよ。スウェーデンの魅力に触れる絶好の機会をどうぞお見逃しなく!
 

『ストップ・ウェディング』(上映日:9/18、9/22、9/23)
 

ストップウェディング2(c)Way Creative Films
 

元カレの結婚式を阻止するため、マルメからストックホルムへと向かう列車に乗り込んだアマンダ。偶然乗り合わせたフィリップと会話を交わすうちに、ふたりの目的が同じであることが明らかになる。コンパートメントという密室で展開される会話劇は、列車がマルメからストックホルムへと走行する約5 時間の間に実際に撮影された。過去の恋にピリオドを打ち、新たな一歩を踏み出すまでをスタイリッシュな映像と音楽で綴ったラブロマンス。
 

 

JVTA修了生が上映作品の字幕を手がけた「スウェーデン映画祭2016」は、9月17日(土)から東京・渋谷のユーロスペースで開催。その前日の9月16日(金)にはLOFT9 Shibuyaにて「スウェーデン映画祭 2016 前夜祭『ザリガニ・パーティ!』」も開催されます。ゲストとして『波紋』で主演を務めた歌手ウルリック・マンターさんと、コミックエッセー『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』(メディアファクトリー刊)で知られるマンガ家のオーサ・イェークストロムさんが登壇します。
 

スウェーデン映画祭2016前夜祭「ザリガニ・パーティ!」

http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/48457
 

 

シルバーウィークは選りすぐりのスウェーデン映画と巡り合ってみてはいかがでしょうか?
 

スウェーデン映画祭2016

http://sff-web.jp/
 0001

(C)Petrus_Sjovik (C)Lukasz_Zal (C)Way Creative Films

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page