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発見!キラリ Like Mother, Like Daughter

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11月のテーマ:追憶
 

子は親に似るというが、親の与える影響は絶大だとつくづく実感する。周囲を見ていても、良くも悪くも「この親にしてこの子あり」と思うことは多い。私は今、アメリカに住み映像翻訳の仕事をしているが、幼い頃の環境の影響も大きいように思う。子どもの頃を振り返ると、富山の田舎で育った割には、英語や外国文化にたくさん触れて育った。
 

小学校の低学年の時に母の強い勧めで英語教室に通い始めた(私は乗り気ではなかったらしい)。その教室は英語の発音やリズム、イントネーションをまず先に学習するスタイルで、当時では珍しかったフォニックス(英語の綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習をする方法)を採用していた。今考えると、田舎の割にはとても斬新だった気がする。
 

当時の富山は、テレビ朝日系のチャンネルがなく、民放3チャンネルとNHKしか存在しなかったのだが、そんな悲惨な状況のせいもあってか我が家では、衛星放送やケーブルテレビ、有料チャンネルがかなり早くから導入されていた。ダイアナ妃が事故で亡くなった時は、日本にはニュース専門チャンネルがなくあまり詳細をカバーしていなかったため、ずっとCNNが流れていた。父に「通訳して」と言われたが、当時は何を言っているのかよく分からず、あんな早口の英語は分からなくて当たり前なのに、なぜか悔しく思った。
 

また、永久歯が生えたとたんに、歯並びの矯正治療もした。歯科医院の待合室で見た「アメリカでは笑顔が命」と解説するやたら爽やかなインフォマーシャルを今でも覚えている。アメリカやヨーロッパのインテリアが好きな母の影響で、家具や設備は海外からの輸入品が多く、当時は珍しかったドイツ製の巨大な食器洗い機まであった。私の部屋には、北欧製のモダンな造り付けの家具が揃えられていて、同級生が持っていたキャラクターの描かれた木目の学習机を、うらやましく思ったりもした。
 

こう言うと「ご両親は海外経験があるの?」と聞かれるのだが、両親は一言も英語は話せないし、学歴があるわけでもなんでもない。自分たちが得られなかったものを子供に与えたいという思いだったそうだが、田舎の一人娘にしては自由にのびのびと育ててくれ、常に私のやりたいことや決めたことは応援してくれた。
 

私は今年、娘を出産した。それまでは決して子ども好きでもなかったが、娘が生まれて以来「我が子とはこんなにかわいいものなのか」と自分でもびっくりするくらい、とにかく子どもがかわいい。同時に、両親への思いも強くなった。「子を持って知る親の恩」とは言ったもので、頭では分かっていたつもりだが、今はもっと両親の偉大さを実感している。
 

私が親にしてもらっただけのことを、娘にしてあげられるだろうか。私は子どもに何を与えてあげられるだろうか。子どもが大きくなるにつれ、いろいろなことがあると思うが、今のこの気持ちを忘れずにいたいと思う。
 

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Written by 藤田 彩乃
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[JVTA発] 発見!キラリ☆  11月のテーマ:追憶
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。

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