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「日英映像翻訳者は英語ネイティブじゃないとなれないのか?」その答えは…

「日英映像翻訳者は英語ネイティブじゃないとなれないのか?」
決してそんなことはない。

映画を中心とするエンタメに特化したフリーランスの日英翻訳者、通訳者として活躍する田村麻衣子さんは広島県に生まれ育った。現在は、日本の映画・テレビ番組の英語字幕や、映画の脚本(日⇔英)、漫画等の英語翻訳のほか、通訳としてハリウッド俳優来日時のアテンド/通訳、海外作品のプロダクション業務や撮影現場の通訳など幅広い現場に携わっている。かつて、三宅唱監督が2018年に制作した『きみの鳥はうたえる』の英語字幕制作を担当。三宅監督はその後、『ケイコ 目を澄ませて』で国内外の映画祭で高い評価を得たほか、最新作『旅と日々』がスイスのロカルノ国際映画祭で最優秀賞の「金豹賞」を受賞し、話題となったばかりだ。受賞直後にJVTAのサマースクール『日本生まれ日本育ちの英語字幕翻訳者にインタビュー!』に登壇した田村さんは、三宅監督の受賞は自分のことのように嬉しかったと話している。

◆英会話スクールで興味を持ち、国際科のある公立高校へ進学

田村さんが英語に興味を持ったのは、小学校時代の英会話スクール。ALT(外国語指導助手)との交流が楽しく、外国人とコミュニケーションが取れることに感動したからだとという。高校は国際科のある公立学校へ進学。英語に特化した授業や校外学習が多く、留学生の受け入れや交換留学なども行う校風だった。田村さんも独学で英語の歌詞を訳す、英語で日記を書くなど積極的に英語に触れる。広島ということもあり、平和学習で世界各国の人と学び、日本語を教えるボランティアも経験。ノンネイティブに教えるのは翻訳にも近い作業であり、よいトレーニングになったという。

◆高校でアメリカ留学、その後アメリカの大学で学ぶ

高校2年から3年の1年間、フロリダ州に留学し、日本人が誰もいない環境に身を置いた田村さん。その後、アメリカの大学でコスメトロジー(アメリカの美容師資格)を学ぶ。

「洋画好きな父の影響で学生時代からアメリカの映画に親しんでいましたが、当時は特殊メイクに興味があり、美容系の分野を学びました。大学の授業で役に立ったのは日本で学んだ英文法です。授業を聞き取り宿題に取り組むには文法が必須です。また現地の会話はスピードが速く、イディオムやスラングが多いので会話力も身につきました。生きた英語に触れるために現地の人とコミュニケーションを取り、当時は必須だった電子辞書を持ち歩き、知らない言葉はすぐに調べていました。」

◆日本映画の繊細な心の動きを読み解けるのが強味

アメリカの大学を卒業した田村さんは、帰国後に外国映画の配給会社に就職。その一方でアメリカ滞在時にJVTAのLA校で字幕体験レッスンを受けたことや知人の監督から英語字幕の依頼を受けたことをきっかけに、JVTA東京校で日英映像翻訳の学習をスタートした。その授業で多くの日本映画を知り、興味を持つようになったという。

「日本映画は繊細な心の動きを感じ取れるのが魅力です。それを読み取って言葉にするのが英語字幕です。原文の理解を間違えるとすべてが変わってしまします。日本語や日本の文化を背景にした作品を自然に解釈し、肌間隔で人物の気持ちを理解できること、それは日本語ネイティブが英語字幕を作る一番の強味だと思います。」

JVTAは、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭など多くの映画祭の出品作品の英語字幕を手がけ、映画祭や上映イベントなどで監督や出演者と会う機会もある。それも日英翻訳の特権と言える。英語字幕制作だけでなく、イベントのアテンド通訳なども手がける田村さんは、「若手クリエイターとチームとなり、日本のコンテンツを世界に発信できる手助けができることが日英映像翻訳の魅力」と話す。

◆日本では定番のフレーズもシチュエーションで訳し分ける

「お疲れ様です」「お世話になっております」「よろしくお願いします」「行ってきます」「おかえりなさい」…。日本語では定番のフレーズが実は英語字幕ではとても難しい。会話をする人物の関係性や前後の流れ、細かい感情によって伝えるべき真意が変わってくるからだ。この微妙なニュアンスを読み解けるのも日本語ネイティブだからこそのメリットとなる。

「英語ネイティブじゃなくても日英映像翻訳者になれる」。田村さんのお話を聞けば、この言葉は実感できるはずだ。「日本の映画やドラマ、アニメ、マンガ、ゲームなどが好きで世界に発信したい!」という想いを抱く方は、“日本語ネイティブという強味”を活かしてぜひ日英翻訳に挑戦してほしい。

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◆2025年8月16日(土)18:30-19:30 ※日本時間 
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講師:Jenya(JVTA、voice actress)
料金:無料
対象者:どなたでも参加可 ※このセミナーは英語で開催します。

◆2025年8月17日(日)9:00 – 13:05 ※日本時間 ※受付終了

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料金:無料

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日本生まれ日本育ちの英語字幕翻訳者にインタビュー!

英語ネイティブでなくても英語字幕翻訳者になれる?
日本で生まれ育ったプロの英語字幕翻訳者に気になる勉強法や字幕制作の現場について聞いてみよう!

ゲスト:田村麻衣子氏(映像翻訳者)
進行:板垣七重(JVTA)
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講師:山根克之(「ロジカルリーディング力強化コース」主任講師)
料金:無料
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◆2025年8月29日(金)19:30 – 20:45 ※日本時間 ※受付終了

「この世はすべて舞台、人はみな“訳者”」!?経験×スキルで見つける、新たな映像翻訳者像とは
舞台から映像へ。新たなキャリアを模索した理由とその結果とは?
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進行:伊原実希(JVTA)
料金:無料
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2025年8月31日(日)9:00 – 13:05 ※日本時間 ※受付終了

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難民問題から考える:映像と言葉が育む共感と支援
国連UNHCR協会の山崎玲子氏が難民の今と映像が担う役割について語ります。
ゲスト:山崎玲子氏(特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 渉外担当シニアオフィサー)
料金:無料
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◆2025年9月8日(月)19:30 – 21:00 ※日本時間 ※受付終了
メディア・アクセシビリティ科「音声ガイドコース」説明会&ワークショップ
登壇者:小笠原尚軌(JVTA)
料金:無料
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明けの明星が輝く空に 第188回 特撮俳優列伝30 藤村志保

「本名、静永操(しずながみさお)。フェリス女学院高等部出身。9歳の頃から日本舞踊を習い、19歳で花柳流の名取となる。」

多くの人はこんなプロフィールを聞けば、気品があってつつましく、凜とした人をイメージするに違いない。和風な顔立ちで着物の似合う藤村志保さんは、まさにそんな方だった。大映時代劇に欠かせない、とまで言われた藤村さんが出演した特撮映画は、2本。先月の記事で紹介した『怪談雪女郎』(1968年)と、『大魔神怒る』(1966年)である。

まず『怪談雪女郎』では、まさに氷のような冷たさを感じさせる雪女を好演している。身体の動きは最小限に、台詞回しも抑揚を抑え、声を荒らげることはない。それでいて、いや、だからこそ、ジワジワと息が詰まるような恐怖を表現し得ている。白眉は、目の動きだけで人を震え上がらせる場面だ。たとえば物語冒頭、山小屋で2人の木こりが寝ていると、音もなく入ってきて、年配の木こりを凍死させる。目を覚ました与作に見られていたことに気づくと、顔はうつむき加減のまま、ゆっくりと目を横にいる与作に向ける。早過ぎもせず遅すぎもしないこの動きが絶妙で、これにより緊迫感がぐっと高まり、観ているこちらも身構えてしまう。

実は昭和の名女優、岸惠子さんも、映画『怪談』(1965年)で雪女を演じていた。こちらも落ち着いた口調で、決して安っぽい怖がらせ方をしない。唯一、口元がアップになり、微かにニヤリとした笑みを浮かべるところは背筋が寒くなるが、それ以外は普通の人間と大差ない佇まいだった。それは演出意図によるものだろうが、両者を比較すると、藤村版雪女の、まるで刃物を突きつけるような恐ろしさが際立つ。

ただし、藤村さんが演じた雪女は、恐ろしいだけの妖怪ではない。「ゆき」という人間に姿を変え、与作の嫁となり、愛情込めて子を育てる。そんな心優しい一面もあった。彼女が子どもと接する姿はぬくもりに溢れ、見ているだけで癒やされるような気分になれる。

ゆきの愛情は、他人の子にも注がれた。誰も治せない熱病にかかった子を、献身的に看病。その方法はもちろん、雪女の能力を使ったものだが、それは彼女の体力を奪ってしまうものだったようだ。見事に熱を下げてみせたときには、フラフラだった。どんなことがあっても、一度決めたことを最後までやり通す。そういう芯の強さも、ゆきは垣間見せていた。

優しく献身的で芯が強いというのは、『大魔神怒る』で演じたヒロインにも当てはまる。ある地方の領主の娘である早百合は、土地を巡る争いに巻き込まれ、許嫁である十郎に危機が迫ったとき、我が身を省みずそれを知らせたため囚われの身となってしまった。しかし、処刑のため磔となりながらも、凜として品格を失わず、取り乱すことがない。これなど、あらかじめそんな人物設定だったというより、藤村さんが演じたからこそ生まれた人物象だったような気もする。

また藤村さんは、はかなげな女性を演じるのにも長けている。『怪談雪女郎』でもそうだったが、“悪漢”に捕らえられてしまう場面での彼女は、強風に吹かれて今にも折れてしまいそうな路傍の花といった趣だ。さらに、か弱いだけでなく、そこはかとなく上品な色気も滲み出る。藤村さん以外に、こんな風情を醸し出せる演技者は、そうそう見つからないだろう。

そんなふうに女優藤村志保に注目しながら観ていると、『大魔神怒る』は彼女のための映画だたのではないかと思えてくる。そんな思いが強まったのが、映画のクライマックスだ。

磔のまま足下に火をつけられた早百合が、自分の命を捧げるから人々を助けたまえと神に祈る。すると目の前の湖から大魔神が現れ、彼女が磔となっている十字架を持ち上げる。仁王像にも似た憤怒の表情ながら、早百合を見つめる大魔神の目はどこかやさしい。そう思ったとき、僕は得も言われぬ感動を覚えた。通常、人と意思疎通をとることのない大魔神が、早百合には何かを語りかけているようだった。全てが終ったとき、大魔神は静かに湖へと帰っていく。水に入り、膝をついて合掌する早百合。語りかけるように「神様」とつぶやくと、大魔神がゆっくりと振り返り、早百合を見つめる。

このシークエンスでは、カメラが早百合を何度もアップで映し出す。崇敬、あるいは敬慕といった思いと感謝の気持ちがあふれ出る、その表情は美しい。いやがおうでも、それが心に残るような演出だ。初見では大魔神というキャラクターのインパクトが強すぎて気がつかないが、何度か観るうち、藤村さんを魅力的に撮った映画だということがわかってくる。(個人的には、むしろそのための映画だったと考えている。)

冒頭で紹介した通り、藤村さんの本名はそのまま芸名として通用しそうなものだが、実は旧姓もオシャレだ。「薄」と書いて「すすき」と読む。秋の柔らかい光の中、風に揺れるススキはたおやかで美しい。着物姿の藤村さんのイメージにぴったりだ。また、ススキにも花言葉はあって、「活力」や「生命力」。さらに、名前の「操」という漢字には、「かたく守って変えない志」という意味がある。ゆきや早百合が見せた強さは、藤村さん自身の強さだったのかもしれない。

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。

【最近の私】カレンダーをめくったら、犬が2匹、満月を見上げているイラストが。横には「月が綺麗ですね」という文字・・・。なんかスゴイ違和感。今年は9月いっぱい真夏が続くような気がしていますので。

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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る 

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ニーズの高まりを実感するゲームの分野を学ぶ

コマ単位受講制度 体験談 鈴木綾さん

日英映像翻訳 総合コース「ゲーム翻訳」

日本のコンテンツが海外で人気を集めるなか、日英映像翻訳者のニーズが高まっている。

映画やドラマはもちろん、世界で人気を集めるアニメやマンガなどそのジャンルは幅が広い。中でも昨今増えているのがゲームの翻訳だ。1996年にスタートし、今年で35回目を迎える東京ゲームショウは、毎年多くの人の人が訪れる人気イベントとなっている。そこでJVTAでは2024年10月期より日英映像翻訳科の総合コースに「ゲーム翻訳」の授業を新設した。

JVTAは、こうした最新の授業を過去の修了生も受けられる機会を作りたいと2024年秋から「コマ単位受講制度」を開始。過去の受講時にはなかった授業やプロになった今だからこそ復習したい授業を単発で受けられる制度を導入した。

鈴木綾さんは、日英映像翻訳の実践コースを2024年9月に修了し、2025年に日英映像翻訳者としてデビュー。現在は、映画やドラマ、講演会やオンデマンドの授業、映画のコメンタリーなど、様々なジャンルを手がけている。今回、コマ単位受講制度を利用し、受講生時代にはなかった「ゲーム翻訳」を受講した。

◆ゲーム翻訳のニーズ増加を日々実感

一般に公開されている映像翻訳者の募集情報をリサーチしていると、ゲーム翻訳が必ずあがってくるので、とにかく今ニーズが増えていると感じていました。そんな時、JVTAのメルマガでコマ単位受講制度を知り、仕事の幅を広げていくために受けてみようと思いました。」(鈴木綾さん)

実は、鈴木さん自身はほとんどゲームをすることはないという。現在は友人宅でたまにやるくらいでゲーム機も持っていない。子どもの時は好きだったものの、社会人になってからは多忙でなかなかやる時間もないうえに、やりはじめたら性格的にハマってしまうとわかっていたので敢えて避けてきたと話す。

◆ゲーム翻訳は操作のマニュアル作りでもある

「実践コースを修了以来、久しぶりの授業で緊張しましたが、ゲーム翻訳の知識が全くなかったのでとても興味深い内容でした。作品の世界観を伝えるなどドラマや映画の映像翻訳と似ている部分もあるのですが、ゲームの場合はそれに加えてシステム関係の翻訳もあります。例えばコントローラーの使い方や設定画面の解説など、ゲームを操作するためのマニュアル的な要素も含まれるので、一つの作品の中でもより多くの知識が必要になってくると感じました。」(鈴木綾さん)

◆指導するのは第一線で活躍するデビン・ニール講師

JVTAの授業は自らもプロの映像翻訳者として活躍する講師が指導するのが特徴だ。ゲーム翻訳の授業を担当するのは、ゲームおよびアニメ翻訳を専門とする日英翻訳者であるデビン・ニール講師。これまでに『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』、『ポッ拳』などのゲームや、『未来少年コナン』、『ツルネ ―風舞高校弓道部―』、『宝石の国』などのアニメ翻訳を手掛けている。

「ニール先生曰く、『ゲーム翻訳は映像翻訳よりも意訳が好まれることが多い』とのこと。アイテムや技の名前を考えるのは楽しいですし、より想像力も必要になってくるのかな?と思いました。想像力(妄想力)だけは自信があるので、いつかチャレンジしてみたいと思います。作品の規模にもよりますが、仕上げるのに何ヶ月もかかる場合もあるようなので、作品に対する思い入れがより強くなっていきそうだなと感じました。」(鈴木綾さん)

一筋縄ではいかない作業の難しさを知る

ゲームの翻訳の場合、操作によってさまざまな画面や表示にリンクするため、プラットフォームやテキストを表示させる場所によって枠の大きさが異なる。そのため、どの位置にどのように文字が入るのかを常に考えて翻訳することが求められる。これもいわゆる映画やドラマの字幕とは違うポイントだ。

「ゲームの制作段階から翻訳することも多いため、SST(字幕制作ソフト)で作業する時のように実際に映像で仕上がりを確認しながら進めることができない場合が多いのは驚きでした。ニール先生の授業はわかりやすく非常に勉強になりました!」(鈴木綾さん)

◆注目は日々進化するAI翻訳

最近は大好きなバラエティ、映画、ドラマなどのエンタメ系の作品を手がけることが多いという鈴木さん。先日は、映像クリエイターの登竜門として知られる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で上映された全編関西弁の映画『お笑えない芸人』(西田祐香監督)で英語字幕を手がけ、同作が「スペシャル・メンション」を受賞するなど確実にキャリアを重ねている。関西在住の鈴木さんにとって「お笑い」または「バラエティ」は元々好きなジャンルでとにかく楽しいという。

「今後またコマ単位受講制度を利用するとしたら、『AI翻訳』ですね。受講中はなるべく『AIに頼らない翻訳』を心がけていたのですが、ここ一年だけでも驚くほどの進化を遂げているのを感じています。自分の翻訳の効率、質を上げるために利用できるツールが他にあるのなら再度学んでおきたいと思っています。1年後、2年後は授業の内容もさらに進化していくのではないでしょうか。」(鈴木綾さん)

「ゲーム翻訳」の授業は、鈴木さんのように個人的にはゲームにあまり馴染みがない人にも分かりやすい内容となっている。すでに日英の翻訳者として活躍する中で、さらにキャリアの幅を広げたいと考えている人にもおすすめだ。日英映像翻訳のコースには、字幕や吹き替えの概論以外にもマンガや映画祭カタログ、ストーリー概論、YouTube動画、企業VPなどさまざまなジャンルの実践的な授業を行っている。ぜひコマ単位受講制度を利用して活躍の場を広げてほしい。

◆コマ単位受講制度の詳細、お申し込みはこちら

◆【コマ単位受講制度体験談】10数年ぶりに“受講生”に!初のリモート受講で最新のAI翻訳を学ぶ

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【2025年8月】英日OJT修了生を紹介します

JVTAではスクールに併設された受発注部門が皆さんのデビューをサポートしています。さまざまなバックグラウンドを持つ多彩な人材が集結。映像翻訳のスキルを学んだことで、それぞれの経験を生かしたキャリアチェンジを実現してきました。今回はOJTを終え、英日の映像翻訳者としてデビューする修了生の皆さんをご紹介します。

◆川原田仁美さん(映像翻訳Web講座、他校で学び、JVTA英日映像翻訳実践コースに編入・修了)

職歴:日本語教師(海外・国内)、旅行代理店など

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】

好きな英語や海外に関われることと、夫が海外転勤の可能性がある転勤族のため在宅で仕事ができることが翻訳の学習を始めたきっかけです。最初は実務翻訳を学習していましたが、某翻訳情報誌のコンテストで映像翻訳の魅力に取りつかれ、学習を開始しました。実践コース受講中に夫の転勤で引っ越し、翻訳を選んでよかったと改めて思いました。

【今後どんな作品を手がけたい?】

コメディ、アクション、ヒューマンドラマ、実話に基づく作品、香港映画などの海外作品(特にアジアの作品)が好きなのでぜひ手がけたいです。ドキュメンタリーでは歴史もの(特に近代以降)、戦争ものをよく見ます。中国とタイでの就労経験があり、中国語の学習は15年以上続けています(タイ語も少し学習経験あり)。そのため、中国作品、タイ作品にも関わりたいです。

◆シュレーゲル 京 希伊子さん(LA校 英日映像翻訳実践コース修了) ※日英映像翻訳実践コースも修了済み

職歴:外交政策の調査・立案、スピーチ原稿の作成 → 環境問題に関するプロジェクト運営 → フリーランス翻訳家・通訳・ライター

【OJTを終えて】

日英デビューしてから1年。ようやく、目標だった英⇔日ハイブリッド映像翻訳者になることができました。英日トライアルは険しい道のりでしたが、授業中に講師から受けた数々のフィードバックを思い出し、不合格が続いても心を切り替えながら、突破を目指しました。

ところが、トライアルに合格して喜んでいたのも束の間、実際にOJTが始まると、受講中にこなしたどの課題よりもハードで、フィードバックも厳しいものでした。「そうか、トライアルに受かったくらいで浮かれてはいけないな。ここからがスタートなのだ」と思い知らされました。

JVTAで映像翻訳の基礎を学び始めてから、早くも2年が経ち、知らぬ間に「慣れ」や「驕り」の気持ちが生まれていたのかもしれません。仕事をする上で、スピードや効率はもちろん大事ですが、丁寧に作品に向き合うことの大切さをOJTで再確認しました。そして何より、「楽しく仕事をすること」。これが最も重要で、その姿勢が訳文にも表れるのだということを学びました。思えば私自身も、当初は「映像翻訳ってこんなに楽しいんだ」と夢中で課題に取り組んでいたものです。そんな初心に立ち返れたことが、OJTの最大の収穫でした。

【JVTAの思い出】

LA校でリモート受講しましたが、同期の仲間とは一緒に旅行をするくらい親しくなりました。受講が終わった時は、毎週の課題から解放されてホッとしたと同時に、心にぽっかり穴が開いたような気持ちに…。同じ目標に向かって全力投球すると、大人になっても友人は作れるのだと実感しました。

今回の英日OJTでもチームメイトに恵まれ、新たな交友の輪を広げることができました。在宅での翻訳は孤独になりがちですが、映像翻訳はチーム作業が多く、その点がとても魅力に感じています。

得意分野やバックグラウンドの異なる人たちから学ぶことは多く、自分の視野が広がります。これからも仕事を通じて、ますます色々な人と出会い、刺激を受けるのが楽しみです。

◆蔦谷光香子さん(映像翻訳Web講座 プロフェッショナルコース修了)※日英映像翻訳実践コースも修了済み 

職歴:法律事務所にて翻訳を含むパラリーガル業務

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】

高校生の頃から映像コンテンツが好きで、英日と日英のどちらにも興味がありました。ある時、仕事を辞めて海外で生活をすることになり、当時は海外からも受講できた英日の映像翻訳Web講座(※)を通して、ずっと憧れていた映像翻訳を学ぶことを決めました。修了後、オープントライアルになかなか合格することができなかった時に「そうだ、日英も受講しよう!」と思い、最終的に英日・日英の両方を学ばせていただきました。

※映像翻訳Web講座は現在、国内在住者のみの受講です。

【今後の目標】

日本語の表現力と語彙力を磨いていきたいです。具体的な目標としては、ロアルド・ダールの作品に携わるのが私の夢です。(小さい頃からロアルド・ダールの小説が大好きで、既に映画化されているものも多い児童小説から大人向けの短編小説まで、ほとんど読んでいます!)また、動物が大好きなので、人間と動物の絆を描いたストーリーや、動物が主人公となっている素材をぜひ翻訳してみたいです。

★JVTAスタッフ一同、これからの活躍を期待しています!

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◆OJT修了生 紹介記事のアーカイブはこちら

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.93 ジャスミン水

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています

「あー、体が火照ってるー!」と一人でぶつぶつ文句を言っていたら(おそらく更年期)、うっとおしく思ったパートナーが「だったら母が飲んでた漢方薬を飲んでみたら?」と一言。それはいいかもと早速薬局に行って探したら、昔ながらのパッケージで、日本で言ったら正露丸のような雰囲気の漢方。自宅に帰って、服用のところを読んでみると、「発熱、体の熱etc..を緩和します。ジャスミン水で飲む、または新鮮なジャスミン水に溶かしてお飲みください。」と書いてあります。ジャスミン水で飲まないといけない薬!?と言ったらもちろん普通のお水で大丈夫だそう。

さて、そのジャスミン水といえばタイの猛暑4月に食べられる「カオチェー」。ぬめりを取ったジャスミン米に冷やし茶漬けのお出汁のようにジャスミン水を注いで食べます。付け合わせには、日本の佃煮のような甘辛のおかずを添えて、食欲減退の時に取る食事としてタイの風物詩となっています。つまり、ジャスミン水には、体を冷やす効果があるようで、カオチェーもそんな暑さ対策として生み出された一皿なのでしょう。お母さんの漢方もそんなジャスミン水で飲むとダブル効果が出るのかな。日本の暑さもタイ並みになってきた近年。いつか日本でジャスミン水も出回る日が来るのでしょうか!私も4月に我が家のジャスミンが咲いたら、花を水に浮かべてジャスミン水を作ってみたいと思いました。

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Written  by 馬場容子(ばば・ようこ)

東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美

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10数年ぶりに“受講生”に!初のリモート受講で最新のAI翻訳を学ぶ

コマ単位受講制度 体験談】 武井順子さん
英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ「AI翻訳 基礎」

JVTAでは、最新のニーズに合わせて授業内容を常に更新している。2023年にはAI翻訳についての授業が新たに追加された。この授業では、AI翻訳の急速な普及を過度に恐れずにその性能を正しく理解し、上手く活用しながら翻訳の効率を上げるためのスキルアップを目指す。翻訳者にとって、もはや避けることができないAIとの共存について学べる内容となっている。

こうした最新の授業を過去の修了生も受けられる機会を作りたいと2024年秋から「コマ単位受講制度」を開始。過去の受講時にはなかった授業やプロになった今だからこそ復習したい授業を単発で受けられる制度を導入した。なかでもAIに関する授業は特に人気が高い。

10数年ぶりにJVTAの最新授業でAIを学ぶ

武井順子さんは、2012年10月期に英日映像翻訳 実践コースを修了後、映像翻訳者としてデビュー。ドラマやドキュメンタリー、スクリーニング作品や特典映像などの字幕を手がけてきた。武井さんが受講していた当時は、動画配信サービスも今ほど普及しておらず、視聴者が映像作品を観る環境も今とは大きく異なる。ましてAI翻訳を日常的に使うことはなかった。AIは苦手な分野だったという武井さんが、コマ単位受講のことを知ったのは、JVTAのメールマガジンだったという。

「翻訳の仕事はしていたものの、業界の最新状況をはじめ、実際の仕事の進め方や流れ、内容などがどのように変わったのか、現状をアップデートできずにいました。特にAI翻訳については10年以上前の私の受講当時にはなかった授業です。今後の映像翻訳者はうまくつきあっていく必要がある一方、自分の弱い分野でもあり、気になっていました。」(武井順子さん)

◆地方在住で初のリモート受講を体験

武井さんは受講当時、通学して日本橋にある東京校の教室で授業を受けており、今回のコマ単位受講が初のリモート受講となった。現在は地方都市に暮らす武井さんだが、オンラインだったからこそ、今回の受講を検討できたと話す。

「どこにいても受講ができるリモート受講は有り難く、受講生時代に戻ったようで懐かしかったです。リモートは講義形式で聞いているだけかと思っていたのですが、発言を求められて少し焦るなど、自宅にいても教室に参加している実感がありました。また、学校の教室に座って受講する際は受講生同士の顔は見えませんが、リモートだとカメラ越しに皆さんの顔が見えるというのが新鮮でした。目標に向け頑張っている皆さんの姿が刺激になりました。」(武井さん)

◆AIとうまく共存するイメージができた

AI翻訳の基礎では、実際にAIが翻訳した字幕を映像に載せて見比べたのが興味深かったと言う武井さん。AIが今できること、まだ人力でなければできないことが明確になり、少しほっとしたという。これから、うまく共存していくイメージができたようだ。

「今後は、機械翻訳(MT)の出力結果を人が確認・修正するポストエディット(PE)の仕事が増えていくとのこと。そうした案件のご依頼を頂けた際には、今回教わったように、クライアントと納品品質についての共通認識を作ることが大切だと感じています。一から翻訳し100%を目指す職人気質とは違いますが、AIが原文を基に訳したものを字幕として整えていく作業は楽しそうでやってみたいです!」(武井さん)

◆コマ単位受講制度を利用して仕事の幅を広げたい

AI翻訳を基に精度を高める作業は、武井さんのようにこれまで一定の知識や経験のある翻訳者だからこそできるスキルだ。武井さんは今後また「コマ単位受講制度」を利用して、AI翻訳の「応用」や「実践」も受けてみたいという。また、これまでは字幕が中心だったが、「ボイスオーバー」などを受講して仕事の幅を広げることも検討している。

個人のニーズに合わせて受けたい内容を単発で受講できる「コマ単位受講制度」。リモート受講なので、通学していた当時に遠方に引っ越して進級が叶わなかった方の復学へのきっかけにも最適だ。また子育て中で外出がままならない方や、プロの翻訳者の学び直しなどにもぜひ積極的に活用してほしい。

◆コマ単位受講制度の詳細、お申し込みはこちら

【関連記事】

◆~コマ単位受講のススメ①~プロの英日映像翻訳者に必要な「日本語力」に注力する
◆~コマ単位受講のススメ②~AI翻訳と上手に付き合うための第一歩
◆~コマ単位受講のススメ③~映像のジャンルに合わせた英語字幕をつくる
◆~コマ単位受講のススメ④~需要が高まる「ゲーム翻訳」の知識を身につける

◆【2025年10月期の受講申込を受付中
学校説明会を随時開催!
約1時間でJVTAの詳細が分かるイベントや、体験レッスン付きのリモート・オープンスクールを随時開催しています。映像翻訳にご興味をお持ちの方はお気軽にご参加ください。

KORESEMI On-Demand Video Seminar: Preparing for a Future as a J-E Visual Media Translator (September 2025 Edition)

※This seminar is limited to current and past JVTA students.
※今期は(英日)と(日英)に分けて開催します。JVTAの受講生・修了生であればどちらにも参加可能です。
※英日の「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナーの詳細はこちら

Welcome to our Koresemi On-Demand Video Seminar that is ALL about the world of Japanese-to-English(日英)Media Translation! In this special video-on-demand seminar, we’ll be talking about what it’s really like working as a professional J-E media translator, fun and unique projects that JVTA graduates have worked on, tips for passing the JVTA trial, and other special info that you can only learn from J-E course graduates currently working in the J-E field.

This time, our on-demand seminar will have two parts:

◆ Part 1: Interview in English with JE translator/graduate Harumi Yamamoto about what it’s like to work as a freelance J-E media translator living in Canada, and about various subtitling and QC projects she has worked on.

◆ Part 2: Interview in English with JE translator/graduate Lee Stubbings, who will be talking about his shift from full-time in video game localization to freelance translation and what kind of work he has done as a media translator, including PLDL projects, film translation, and more.

Whether you are a current or past student of our J-E course, or have not studied J-E but are interested in learning more about it, we would love for you to join us. Don’t miss it!

JVTA開校当時から毎期開催する「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー」は受講生やトライアル合格を目指す修了生の皆さん必見の課外講座です。今回の日英コース版 KORESEMIでは、日英トライアルに合格してプロの日英映像翻訳者として活躍されている2名の修了生の方々に「日英映像翻訳を選んだきっかけ」や「トライアルに合格できた経緯」、「デビュー後に手掛けた日本の作品の話」など、日英映像翻訳の一歩踏み込んだ具体的なお話をJVTA日英コース・ディレクターのジェシーが独占インタビューします。

ここ最近では、英日・日英の両コースを受講し、見事トライアル合格後、ハイブリッドな映像翻訳者として活躍されている方も増えてきています。日英コースにご興味のある英日受講生・修了生の方々にも非常に参考になる内容となっています。また日英コース版 KORESEMIは、海外在住の方もご参加しやすいように、期間限定ストリーミング配信で繰り返しご視聴いただけます。ぜひこの機会にご参加ください。

■Format: On-demand video viewing

■Release Date: The video will be sent starting Wednesday, September 17th to those who sign up. Signups are open from September 3rd to October 16th.

申し込み期間:9/3(水)~10/16(木)
視聴期間:9/17(水)~10/17(金)


◆お申し込み・お支払い確認後、9/17より随時視聴リンクをお送りします◆
お支払い後、視聴リンク送付までには少しお時間をいただいております。
恐れ入りますがあらかじめご了承ください。
お支払い完了のスクリーンショットをkouza(アット)jvtacademy.comまでお送りいただけますとお早目のご対応が可能です。

※(アット)を@に置き換えてください。

<備考>
※視聴期間は何度でもご視聴いただけます。
※録画および本映像を申込者本人以外または複数人数で視聴することを禁止致します。
※著作権はJVTAに帰属し、映像の一部または全部を、無断で複製、転載、改変、配布、販売する行為を固く禁止致します。

■Fee: 2,200 yen (tax incl)

■Eligibility: All current and past JVTA students (you do not need to have studied J-E)

【Panelists】

■Harumi Yamamoto (JVTA J-E Graduate/Translator)

Harumi is a freelance Japanese to English translator and localizer of works in visual media, based in Toronto, Canada. Having grown up in Japan and Canada, she is both bilingual and bicultural and her wish is for Japanese media to be accessed, enjoyed and to become successful in foreign markets for all people. She has a budding interest in accessibility in entertainment as well, and would like to see those hard of hearing or with visual disabilities also be able to enjoy Japanese audiovisual entertainment. Although she enjoys most entertainment genres, she particularly likes handling works that require nuance, sensitivity and humour, such as narrative films and Japanese serial comedies and dramas. She is an active volunteer at film festivals, and also serves the immigrant community in job search coaching and LinkedIn training.

■Lee Stubbings  (JVTA J-E Graduate/Translator/Instructor)

Lee is a freelance translator based in Tokyo. With a background in creative writing, he brings a love of storytelling to his projects. In addition to subtitling, he has worked in video game localization as both a translator and a project manager, helping bring major Japanese works to international audiences.

Interviewer

Jessi Nuss (J-E Course Director and Instructor at JVTA)

Originally from California in the US, Jessi oversees the content and management of JVTA’s Japanese-to-English Media Translation Course, and is also involved in teaching classes and seminars related to J-E media translation. A longtime Japanese pop culture enthusiast, she loves the challenge that J-E media translation presents, and sharing the fun of it with students at JVTA.

◆KORESEMI Wisdom, Essential in a Time of Change

Japan Visualmedia Translation Academy Group CEO Naoki Niira

Our KORESEMI Panel the only extracurricular seminar that has been held every semester, without fail, since the establishment of Japan Visualmedia Translation Academy (JVTA) over twenty years ago. The progress of our students, our translators, and the panelists for this seminar is the progress of JVTA itself.

Today, freelancing is undergoing great change. We are in an age where the government has begun providing support and large corporations encourage side jobs. This applies to the visual media translation industry as well. Client companies are reviewing the laws and regulations of business, leading to a change in the way they evaluate and do business with translators. What challenges does this pose for professional translators, and how do they overcome them? KORESEMI is a unique opportunity to get a realistic perspective from actual translators, which can be hard to come by.

As the translators discuss how to manage your time and work area, or how to work with fellow translators, you’ll be able to hear a lot of fun personal anecdotes. These moments are part of what makes KORESEMI so special.

There is a reason this seminar has continued for over twenty years. It is not only effective in increasing learning and motivation, but is also a chance to gain information that will support you throughout your career.

I hope you join the seminar and make the best use of the experience in your daily work and studies.hope you join the seminar and make the best use of the experience in your daily work and studies.

How to Sign Up

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2025年7月オープントライアル(英日・日英)、2025年4月期 英日日曜集中実践修了トライアル 合格発表

◆2025年7月英日オープントライアル合格者発表

合格 7名、次点 28名です。

合格者 7名

JOP008
JOP076
JOP078
JOP084
JOP092
JOP115
JOP160

■次点 28名

JOP001
JOP026
JOP027
JOP030
JOP041
JOP043
JOP050
JOP064
JOP065
JOP068
JOP069
JOP075
JOP083
JOP085
JOP094
JOP098
JOP105
JOP110
JOP113
JOP118
JOP132
JOP135
JOP138
JOP145
JOP147
JOP148
JOP154
JOP159

以上

◆2025年4月期英日日曜集中実践修了トライアル合格者発表

合格なし、次点2名です。

■次点 2名

JGR001
JGR002

以上

◆2025年7月オープントライアル合格者発表

合格者1名、次点3名です。

■合格者 1名

EOP001

■次点 3名

EGR001(LA校)
EOP002
EOP006

以上

※※従来の「Q&Aセッション」を廃止し、 あらたに受験者全員に「ポイント解説」資料を配布しております。 送付日は「結果発表」の翌週内を予定しています。 詳細は、下記をご覧ください。※※ https://www.jvta.net/mtc/trial-new-rule20200219/

◆【2025年度 前期】トライアルスケジュール
https://www.jvta.net/mtc/202504-trial-schedule/

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第130回 “DOPE THIEF”

“Viewer Discretion Advised!”
これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
Written by Shuichiro Dobashi 

第130回“DOPE THIEF”
“Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
 
―鈴木純一さんのコラム『戦え!シネマッハ!!!!』連載終了に寄せて―
鈴木さんのコラムが6月で終了してしまいました。映画の「予告編」と「悪役」をテーマにした切り口は斬新で、毎回楽しみにしていたのでとても残念です。映画愛あふれる自筆のイラストも素敵でした。
また、最終回では私の米国駐在時代のコラム『テキサス映画通信:Houston, We have a problem!』にも触れていただき、ありがとうございます。熱量の高かった昔を思い出しました。
 
これからも、ともに映画ファンとしてあり続けましょう。
長い間の連載、お疲れさまでした!
 
では、今月のドラマなのだ。
 
予告編:『ドープ・シーフ』 本予告

 
不運な小悪党2人のバディ・クライムコメディ!
本作の原作はデニス・タフォヤの同名小説(未訳、2009)。“dope”には‛麻薬’と‛間抜け’の意味があるので、このイケてるタイトルは「麻薬強盗」と「間抜けな強盗」のダブルミーニングになっている。
 
“Dope Thief”はApple TV+オリジナルのリミテッド・シリーズ。不運な小悪党2人が、麻薬カルテルとDEA(麻薬取締局)に追われ、いたぶられ、のたうち回る、極上のバディ・クライムコメディなのだ!
 
“See, the key is preparation, right?”
―ペンシルベニア州フィラデルフィア
レイ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)とマニー(ワグネル・モウラ)は決して悪い人間ではない。だが若いころから悪事に染まっていて、強盗くらいしか稼ぐ手段を知らない。
 
2人のターゲットは、自宅でドラッグを精製しているティーンエイジャーだ。十分にリサーチをしてからDEAの捜査官になりすまし、キャッシュとブツを奪う。儲けは少ないが反撃されることも通報されることもない、安全で堅実なビジネスだ。蔓延するドラッグをコミュニティから取り除くという、彼らなりの言い訳も立つ。
 
レイの父親バート(ヴィング・レイムス)は、長い間ムショ暮らしをしている。レイを養子にして育ててくれたのは、バートの愛人テレサ(ケイト・マルグルー)だった。レイ自身にも前科があり、現在はアルコールとドラッグ依存症のリハビリ中だ。
レイは、テレサが医療費の請求書を山ほど抱えていることに気づく。問い詰めると、1万ドル必要だという。
 
マニーはブラジルからの移民で、レイとは幼なじみだ。信心深く、早く足を洗って恋人のシェリーと結婚したいが、先立つものがない。
 
2人はリスクを取って一獲千金を目指すことにした。レイの囚人仲間だったリックを誘い、郊外にあるメス(メタンフェタミン)の精製工場を襲撃する。だがハイになっていたリックが突然発砲して、銃撃戦になった。
レイは負傷し、リックと相手3人が死亡した。
 
パニくったレイとマニーは工場に火をつけて、大金の詰まった鞄とドラッグを奪って逃走する。
 
2人が襲ったのは、麻薬カルテルの工場だった。カルテルは直ぐにレイの正体を突き止め、手先のバイカーギャングを差し向けた。
 
追手はレイとマニーのみならず、彼らの家族、友人にも迫る。
一方、死んだと思われていたメスの製造者の一人、ミーナ(マリン・アイルランド)は命を取り留めていた。実は、彼女はDEAのおとり捜査官だった!
 
鉄板キャストの6人!
レイ役のブライアン・タイリー・ヘンリーは、大ヒットコメディ“Atlanta”で演じたラッパーの‛ペーパー・ボーイ’でブレークした(エミー賞助演男優賞にノミネート)。コメディアン顔だが芸幅は広く、高い演技力で演劇・ミュージカルもこなす才人だ。ジェニファー・ローレンスと共演した小品『その道の向こうに』(2022)では、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。
 
マニー役のブラジル人俳優ワグネル・モウラは、Netflixの“Narcos”で実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを演じて、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。“Shining Girls” (本ブログ第95回参照)では、イメチェンして準主演の新聞記者役を好演。滋味のあるいいアクターだ。
 
主演2人の相性の良さは抜群で、喧嘩しながらも一層強まっていくレイとマニーの友情には胸を打たれる。
 
テレサ役のケイト・マルグルーの代表作はもちろん“Star Trek: Voyager”で、艦長キャスリン・ジェインウェイを全7シーズン演じた。刑務所ドラメディ“Orange Is the New Black”(本ブログ第4回参照)では巨漢のロシア人レッドを怪演、トレッキー(熱狂的Star Trekファン)たちの度肝を抜いた。
 
レイの父親バートを演じたヴィング・レイムスは、『ミッション:インポッシブル』シリーズのルーサー役で日本でも顔なじみだ。
 
ミーナ役のマリン・アイルランドは、“Sneaky Pete”(本ブログ第31回参照)でタフな保釈金立替業者ジュリア・ボウマンを演じて強烈な印象を残した。この人、‛凛とした姉御’を演らせたら天下一品だ。
 
渋い存在感を見せたのが、レイの信頼する麻薬バイヤーのサン・ファムを演じたダスティン・グエンだ。ベトナム出身のグエンはジョニー・デップと共演した“21 Jump Street”(1987年のドラマ版)がメジャーデビュー。武術家でもあり、怒涛のカンフードラマ“Warrior”でもいい味を出していた。
 
この6人はまさに適材適所、互いに強いケミストリーが働き鉄板のアンサンブルキャストとなった。
 
三つ巴の“cat-and-mouse”ゲーム!!!
ショーランナーのピーター・クレイグは、珍しく作家から脚本家への転身組だ(逆のコースはよく聞くが)。『ザ・タウン』『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション/レジスタンス』『バッドボーイズ フォー・ライフ』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』『トップガン マーヴェリック』『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』など、共同脚本家としてそうそうたる娯楽大作を手掛けてきた。
 
本作はクレイグにとって初のTVドラマ制作で、最終話の監督と全エピソードの脚本も担当した。また、製作総指揮に名を連ねるリドリー・スコットが、パイロット(第1話)の監督を務めている。
 
特に印象的なのは、クレイグのバランス感覚の良さだ。コメディ、ヒューマンドラマ、クライムドラマを絶妙なさじ加減でブレンドしているのだ。また、バディドラマでありながら、あえてレイに重きを置いたことでキャラに厚みが生まれ、ストーリーに深みが加わった。
 
前半はコメディタッチのシーンが多く、手に負えなくなる状況に右往左往するレイとマニーが笑わせる。中盤ではコメディとクライムドラマのオン/オフが見事に決まる。後半になると笑いは影を潜め、ピュアなクライムドラマへとシフトしていく。ラスト3話の緊迫感は圧巻で、レイとマニー、麻薬カルテル、DEAによる息をのむ三つ巴の“cat-and-mouse”ゲームが活写される。そして、ツイストの利いたエンディングが鮮やかに決まる。
 
“Dope Thief”はApple TV+の隠し玉。不運な小悪党2人が追われ、いたぶられ、のたうち回る、極上のバディ・クライムコメディなのだ!
 
原題:Dope Thief
配信:Apple TV+
配信開始日:2025年3月14日~4月25日
話数:8(1話 43-53分)
 
 
写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。