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キラリ vol.187
傘作りと翻訳

キラリ vol.187<br>傘作りと翻訳
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今年もあっという間に半分が過ぎ、梅雨特有のじめじめした日が続いているが、皆さんはいかがお過ごしだろうか。湿気で髪ははねるし、雨で靴は濡れるし、私にとっては1年の中で最もゆううつな季節だ。このつらい時期に欠かせないアイテムといえば、傘だろう。

 
先日、ある情報番組を見ていたら、ダンディーなおじさまが自由が丘にある傘を取り扱うショップを紹介していた。おじさまの正体は、コンビニやドラッグストアなどでよく見かけるカラフルな折りたたみ傘で有名なメーカー、株式会社シューズセレクションの社長、林秀信氏。「waterfront」というロゴが入っている彼の会社の傘を使っている方も多いかもしれない。番組内で林氏の著書『晴れの日に、傘を売る。』が紹介されていたので、興味本位で読んでみることにした。

 
シューズセレクションは、“より品質のよいものを、できるだけ安く”をモットーに500円の折りたたみ傘を中心に数多くの商品を世に送り出している。その中に、生地に特殊な加工を施し、さしているだけで体感温度を数度下げる「銀行員の日傘」というすぐれものがある。夏の暑い日に、大汗をかきながら会社にやってくる銀行の営業マンを少しでも楽にしてあげたい、との思いで生まれた傘なのだそうだ。

 
いつかは万年筆サイズの傘を作り、傘を持ち運ぶ煩わしさから人々を解放したいと語る林氏。傘メーカーを立ち上げるまでは、治療院や飲食店を経営し、どのビジネスも順風満帆だったという。いかにお客さんの目線に立って仕事ができるか、それが成功するための唯一のひけつだと彼は語る。

 
いつ新しい商品のアイデアが浮かんでもいいように、枕元にペンとメモと傘を置いて寝るという林氏の傘作りに傾ける情熱に圧倒されつつも、彼の仕事に対する姿勢は翻訳にも通じるものがあるなと思った。海外(もしくは日本)の作品をいかに分かりやすく、もとの世界観をそのまま視聴者に届けられるか。翻訳者さんはぴったりくる訳語を探し、日々奮闘している。どんな仕事でも、相手の立場を想像すること、相手の目線に立ってみることが一番大切なのだろう。

 

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Written by 野口博美
MTC映像翻訳ディレクター。当校修了後、翻訳会社でコーディネーターとして働きながら、翻訳者としても活動。ディレクターとなってからは、ドラマ、映画、ドキュメンタリー、リアリティ番組など幅広いジャンルの作品の字幕や吹き替えを担当している。
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[JVTA発] 発見!キラリ☆ vol.185
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。同じ目標を見つめる修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。

 

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