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発見!キラリ  映像翻訳者として働くことの意外?な魅力

発見!キラリ   映像翻訳者として働くことの意外?な魅力
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7月のテーマ:意外
 

先日6月26日を皮切りに、今年10月期生募集のためのオープンスクールがスタートした。開講までにあと4回開催され、僕もスクール説明会や字幕体験レッスン、個別面談を担当することになっている。映像翻訳という職能に興味を持ち、自分の将来を真剣に考える参加者と話すのは、興味を持ってくれたことに対しての嬉しさや職業について説明する喜びを感じると共に、業界における先輩としての責任感に身の引き締まる思いがする。そんなオープンスクールの面談の際によく聞かれる質問が、「映像翻訳者として働くことの魅力は何ですか?」というものだ。魅力やメリットは語りつくせないが、まずは以下の3つを即答している。
 
 

①一生できる
 
②世界中、作業場所を問わない
 
③ 自分の趣味や知識、経験を生かせる
 

そもそも映像翻訳はフリーランスで働く形を基本とするので、①は容易にイメージできるだろう。自由業なので自分で決めない限り定年退職などない。1~2年学ぶことは時に長いようにも思えるが、そこから先の人生を考えれば、ほんの一瞬とも考えられなくはない。一生仕事ができるということは間違いなくメリットだと言える。
 

②に関しては、現在、映像翻訳の仕事をする際、作業に使う素材はインターネットサーバー経由で受け取り、翻訳原稿の納品はEメールで行うことが基本である。インターネット環境が整っていれば、マレーシアだろうと、アイルランドだろうと、オーストラリアだろうと、東京都内に住んでいる翻訳者と何ら変わらず仕事ができる。大体は自宅が作業場所になるが、Wi-Fiが使えればカフェや外出先での作業も可能だ。時に旅行中でも、クライアントから原稿についての問い合わせが入ったりもするが、それも時間の使い方という点で考えればメリットな場合もある。
 

そして、意外に驚かれるのが③である。業界にどっぷり浸かった僕にとっては当たり前のことでも、初めて話を聞く人にとっては魅力的に映るようだ。僕がフリーランスの映像翻訳者から映像翻訳ディレクターへと転身した10年前、映像翻訳(字幕・吹き替え)を必要とするコンテンツといえば、洋画(劇場、DVD、VHSビデオ)や、BS・CSなどのケーブルテレビで放映される海外ドラマ、ドキュメンタリー番組が主だった。それがインターネットの普及に伴い、それを必要とするコンテンツの種類は打ち上げ花火が空中でパーンと弾けるように、さまざまな方向に拡散した。それまでは“多くの人に受け入れられるコンテンツを、多くの人が視聴できる媒体(=TⅤなど)に流していた”のに対して、“狭い世界(=インターネットのHPなど)だが、確実に存在する、決して多くはない視聴者に向けての発信”に変わっていったのである。具体的に言えば企業のPR動画や商品の使い方を説明する動画、ヨガやフラワーアレンジメントのような趣味や稽古事のレクチャー系映像、今ではポピュラーとなったMOOC(大規模オープンオンライン講座)と呼ばれる大学の講義映像など、かつては想像もしなかったコンテンツが業界にあふれ出した。その傾向は流行的なものではなく、現在も拡張の一途を辿っている。定番のスポーツ素材を取ってみても、野球、サッカー、バスケ、アメフトなどを差し置いて、サーフィンやスケートボード、スノーボード、ヒップホップダンスといったサブカルチャー要素を兼ね備えたスポーツから、エアレースやダーツ、高飛び込みといった、「え?こんなものまで?!」といった競技が映像翻訳を必要としている。そうなってくると、翻訳者もその多種多様化するコンテンツに臨機応変に対応していかなければならない。大好きな分野であれば思う存分知識と情熱を注ぎ込めるが、「スポーツは苦手だからやりたくない」「そのジャンルについては無知なので対応できない」と言っていると、担当できる素材が限られてしまい、仕事の幅は自ずと狭まってくる。
 

知らないことを調べながら訳していくのが翻訳の基本である。分からないことだらけの世の中だが、1つひとつ調べながら謎を解明していき、辻褄を合わせていく。知った時の喜び、謎が解けたときの達成感は、推理小説のトリックを見破った時の満足感にも似ている。そしてそこで得た知識は今後の仕事、大げさに言えば、今後の人生の糧になっていく。修了生のプロの中には、仕事をきっかけに全く興味のなかったエアレースやプロレスにハマって、会場まで足を運ぶくらいのファンになったとか、自分が担当しているサーフィン番組を見ているうちに、その魅力に取りつかれ、サーフィンを始めたなど、その世界を自分のものにしたという声を良く聞く。新たな趣味は新たな仲間を生み、新たな知識はより豊かな人生を構築してくれるだろう。得意分野、得意ジャンルが無いのであれば作ればいい。未知の世界に接してみれば意外に好きになるかもしれない。映像翻訳はそうした“未知の世界への道案内役”も担っている。
 

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Written by 藤田 庸司 
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[JVTA発] 発見!キラリ☆  7月のテーマ:意外
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。

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