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発見!キラリ 頭の中の不思議な映像

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3月のテーマ:忘れられないこと
 

時にはある景色を目にして、ある記憶が蘇る。時にはある音楽を耳にして、記憶の中のある瞬間が再現される…。
 

人間の脳は、自分にとって重要ではないことを自動的に忘れていく機能があるらしい。例えば、“10日前の朝は何を食べたか”など…。私の場合、“忘れられないこと”を考えてみれば、ほとんどが10代までのことだ。楽しかったこと、悲しかったこと、怖かったことなどたくさんの“忘れられないこと”がある。
 

何歳の時のことだか全然覚えていないのだが、ある場面がずっと頭の中にある。私は父と一緒にある病院の廊下を潜り抜けている。そこは、廊下一面にドラム缶が積まれている状態だ。天井とドラム缶の間を通るには、私のような子供でも腰を少しかがめる必要がある。父が先にドラム缶に上り、私を引き上げて一緒に隙間を潜り抜けたことをはっきり覚えている。
 

どうしてそんなに印象に残っているのかを自分自身に何回も問い詰めたが、長い間、原因が分からなかった。何年前だったか、父にも聞いたが、残念なことにそのことを覚えているのは私だけだった。しかし、ある日私は急にすべてを思い出した。果たして本当かどうかはわからない。自己満足のため、私の脳が勝手に作った物語かもしれない(笑)。
 

子供の時、私は病気で入院したことがある。夜の外出は禁止なのだが、ある晩私はとてもお腹がすいてしまった。何日も外に出ていないし、父も私がもうそろそろ治ると感じたのだろう。父は私を外に連れ出して、一緒に雲吞を食べに行った。さすがに堂々と正門は通れなくて、私たちは裏口からの脱出を試みた。するとそこには工事用のドラム缶がたくさんがあったので、その上によじ登りながら狭い空間を潜り抜けたのだ。
 

父の愛を感じて覚えているのか? いや、5,6歳の私がそこまで分かるはずはない。今考えてみれば、父と狭い空間を飛び越えていたその行動自体が私にとっては冒険みたいな気分になっていたのかもしれない。結果として外出は無事成功だったし、雲吞を食べてお腹がいっぱいになり、空腹という原始的な欲望を満たすことができた。あの時、あのドラム缶を潜り抜けてなんとか脱出したからこそ、そのあとの大きな満足感を得たに違いない。
 

それにしても、あんなに曖昧だった記憶の真相をここまで整理できるなんて、やはり人間の脳はすごいね!
 

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Written by 李 寧
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[JVTA発] 発見!キラリ☆  3月のテーマ:忘れられないこと
日本映像翻訳アカデミーのスタッフが、月替わりのテーマをヒントに「キラリ☆と光るヒト・コト・モノ」について綴るリレー・コラム。修了生・受講生にたくさんのヒントや共感を提供しています。

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