6月のテーマ：五感
 

最近、映画を観ていて眠ってしまうことがよくある。
疲れているから、ストーリーに入り込めないから、映画を観る前にお酒を飲んだから…理由はさまざまあるけれど、もっとも大きな要因としては、どこでも寝られる体質が災いしているのかもしれない。映画館は、客席が暗く空調が効いていてのんびり座っていられる空間なので、自然と睡眠スイッチが入ってしまう。
 

こんな私に残された道は、４ＤＸ版を観ることだけかもしれない。２Ｄや３Ｄのような視覚や聴覚だけの刺激では、もはや睡魔に勝つことはできないようだ。
 

４ＤＸの映画館では、特殊機器が搭載されたシートが上下、左右、前後に動いて衝撃や振動を与える。さらにはミスト、風、香り、煙などが五感を刺激し、今までにない臨場感を味わえるという。映像のアクションとシンクロした特殊効果を実現することによって、まるで映画の中にいるかのような感覚を楽しむことができる。
 

テーマパークのアトラクションに乗っているような環境の中では、さすがに眠らないで観ていられるのではないかと思う。４ＤＸで観られる作品はある程度限定されてしまうが、楽しい作品が多いのも特徴だろう。
 

今月４ＤＸで観られる作品の１つに、ヒュー・ジャックマン主演の『LOGAN／ローガン』がある。アメコミヒーローの『X-MEN』の人気キャラクター「ウルヴァリン」が主役のシリーズ第３弾。どんな怪我からも回復する治癒能力を持つウルヴァリンだが、長年の激闘で不死身といわれた能力が衰えてしまう。スーパーパワーを失った男は、謎めいた少女を守るために命がけの闘いに身を投じていく…。
 

今作でヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリン役は最後になるそうだ。しかもシリーズ初のR指定作品で、単なるヒーローものではなく、生身の人間としての心の葛藤を描いた大人向けの作品になっているという。
 

ヒュー・ジャックマンは超人ウルヴァリンを演じるにあたり、毎回ストイックなトレーニングで完璧な肉体を作りあげる。今回も毎朝４時に起きて１時間のウェイトトレーニングを行い役に臨んだそうだ。文字通り全身全霊を捧げた作品である。うっかり寝ている場合ではない！　全身の感覚を研ぎ澄ませて、ウルヴァリン最後の爪痕を心に刻もうと思う。
 

『LOGAN／ローガン』
監督：ジェームズ・マンゴールド
出演者：ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーンほか
制作国：アメリカ
制作年：2017年
 

Written by　酒井　泉
 
 

［JVTA発] 今週の1本☆　6月のテーマ：五感
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。