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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『シェフのテーブル』

今週の1本 『シェフのテーブル』
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9月のテーマ:扉

 
最近、Netflixでグルメ系のドキュメンタリー作品を観ることが多いのだが、その中で私がおすすめしたいのが『シェフのテーブル』だ。毎回、さまざまな国のシェフを取り上げ、彼らの料理やレストランを紹介するのはもちろんのこと、シェフの生い立ちや人生観もしっかり描いているところが面白い。シェフ版『情熱大陸』のような感じだろうか。

 
ぜひ観てほしいのが、NYでラーメン店を営むアイバン・オーキンのエピソード。
NY出身のユダヤ系アメリカ人、アイバンは“アメリカ人にラーメンが作れるのか?”という周囲の懸念を一蹴し、多くの人々を魅了するラーメンを作り続けている。

 
裕福な弁護士の父親をはじめ、優秀な家族の中で落ちこぼれとして育ったアイバンが日本に興味を持ったのは高校時代。アルバイトをしていた日本食レストランで口にした卵かけご飯のおいしさに感銘を受けたそうだ。大学卒業後に来日し、日本人女性と結婚。その後、アメリカに帰国して料理を学び、シェフとしての道を歩んでいたが、ある日突然、2才の子供を残し妻が亡くなってしまう。失意の底にいたアイバンだったが、数年後に出会った2番目の妻からこう叱咤激励される。“あなたは何かすごいことを成し遂げて、大成功を収めるのよ”。これまで誰からも期待されたことがなかった彼はその言葉に後押しされ、日本でラーメン作りを極めることに。

 
試行錯誤の末、完成したアイバンのラーメンは、雑誌やテレビ番組で取り上げられたうえ、大御所の批評家にも絶賛され、世間に広く知られるようになる。見事に大成功を収めたわけだが、達成感を得た彼は新たな夢を持ち、故郷でニューヨーカーに向けたラーメン店をオープンする。

 
日本語を学び、料理人として修業をし、妻を亡くして人生のどん底まで落ちたが、自分の道を見つけるためにはすべて必要な経験だったと彼は語る。

 
Fワードを連発し、まさに頑固者といった印象のアイバン。
次々と新しい扉を開いていく彼のラーメンにケチをつける人もいるそうだが、そんな客にはこう言うそうだ。
“日本に20年住んでから文句を言いやがれ”。

 
他のエピソードにも興味深いシェフがたくさん登場するこのシリーズ。映像もきれいで、とても楽しめるのだが、観ていてお腹が減ってしまうのが困ったところだ。

 

『シェフのテーブル』Netflix オリジナル作品

 
Written by 野口博美

 
〔JVTA発] 今週の1本☆ 9月のテーマ:扉
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

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