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【コラム】JUICE #44「シュートボクシングと花やしき」●小笠原尚軌

【コラム】JUICE #44「シュートボクシングと花やしき」●小笠原尚軌
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このコーナーをいつも読んでいただいている方なら覚えているかもしれない。以前、18回目のスタッフコラムで「『7つの習慣』を読む(ただし、格闘技しながら!)」を書いた。
 

昨年末、「K-1アマチュア全日本大会~アマチュア日本一決定オープントーナメント~」に初めて出場した。「子どもの頃から格闘技に親しんでいた」なんてバックボーンは僕には全くなく、エクササイズ目的で始めた週一回、1時間のキックボクシングだ。だが、踏み込んだことのない世界に興味が湧いて、半年本気で練習して、挑戦してみたのだ。

関連記事:【コラム】JUICE #18「『7つの習慣』を読む(ただし、格闘技しながら!)」●小笠原尚軌
 

結果は惨敗で、半年練習したくらいで勝てるほど、フィジカルな闘いの世界は甘くないと思い知るのだった。
 

あれから1年である。僕は練習を続け、先月また、格闘技の大会に出場した。浅草・花やしき内の特設リングで定期的に開催される「第15回全日本アマチュアシュートボクシング選手権」だ。
 

結果はというと――3-0の判定で勝利をおさめることができた。本当にありがとうございます。
 

リングの上に人間が2人立って、周りが見ている中で勝敗を決める。そんなシンプルなイベントに参加して、負けたり勝ったりしていたら、さまざまな思いが湧き上がってきた。記憶が新鮮なうちに、皆さんに伝えられたらと思います。
 

〈無駄なパンチ〉は必要なのかもしれない
「負けた日から勝つ日までのあいだ、どれだけ無駄なパンチを打ってきたのだろう」。先月の試合からしばらくたって、冷静に自分を振り返った時、まず浮かんだのがこんな思いだった。ここでいう〈無駄なパンチ〉とは、練習の際に打つ、自分なりにイイと思う“突き”のことである。例えば、相手と対面していることを想定して拳をふるう「シャドーボクシング」。練習している最中は、想像の中ではどれもクリーンヒットである。だが、今振り返ってみると独りよがりな考え方で体を動かしており、とても褒められるような姿ではなかった。あのまま誰の教えも聞かず繰り返していたら、いくらやっても無駄だったろうし、きっとまた負けていただろう。
 

そして、こうも思う。無駄かどうかは分からないが、とにかく自分なりにやってみる。このプロセスが無かったら、自分は何が無駄なのかを知ることができなかったのではないか? と。自分なりにやってみて、どうもうまくいかなかったら経験のある人に話を聞いたり、真似したりしてみる。そうやって自分なりのイメージをもって取り組んでみると、少しずつ正解に近づけるのではないだろうか。僕の場合、スパーリング中に疲れてくるとどうしてもガードが落ちる⇒滅多打ちにされる、という課題があった。そこで、指導員の方から「小笠原くんは常にガードを上げておくこと!」と教えを受けた。常に両手を上げている状態って、なんか角が雄々しい“シカゴ・ブルズ”とか“レッドブル”のロゴの牡牛に似ているな。でも僕の場合、体もそれほど大きくないからさしずめ牡羊か――。というわけで、下の写真(青が自分、赤が相手)ではガードを上げ続けるイメージを保つために心の中で「自分は牡羊! 自分は牡羊!」と言い聞かせながら試合に臨んでいた。
 

20191125JUICE
 

無駄かどうかは分からないけど、とにかくやってみる。気づいたところから工夫してみる。スマートなやり方ではないけれど、僕はやはりこっちが性に合っている(だから、だいたい最初は小さな失敗を繰り返してしまうのだが…)。決してこれが良い方法とは思えないのだが、「どうせ自分は無理」という思考にはならない。たぶん。
 

アマチュアの世界で何かを始めるということ
もう一つ、強く感じたことがある。それはアマチュアとして何かを始めてみることの楽しさと厳しさだ。“アマチュア”という言葉の響きは、僕の中で意味合いが大きく変わった。プロじゃないからって、アマチュアが甘い世界であるはずがない。
 

それは、格闘技の場合は“練習時間”というテーマでもう一つの闘いがあるということだ。アマチュア大会に出場する人は皆社会の中で自分の仕事や役割があり、その合間にトレーニングをしてくる。つまり、いかに自分の仕事を効率的にこなし、練習時間を作れるかが勝敗に大きく影響するのだ。僕の場合、試合直前は同僚のタイラーに教えてもらったJVTAの近くの区立スポーツセンターに日々足を運び、サンドバッグを打ち続けた。きっと僕と対峙する相手も、同じように仕事や(学生だったら勉強)の合間を縫って練習しているのだろうな、と思ったら、自然と尊敬の念が湧いてくる。だから、リングで初めて会った時は清々しいものだ。きっと相手も、僕をそういう風に思っていると思う。
 

この大会では試合に勝つと小さなメダルと花やしきのペア一日入場券がもらえる。勝った後、メダルは奥さんの首にかけてあげた。花やしきには年内に二人で遊びに行ってみようと思う。
 

ご存じではない方も多いと思うが、先ほどの写真のような立派なリングが花やしきの中には建っており、プロ・アマの大会が定期的に開催されている。アマチュアの大会なら観覧料は千円。もしご興味がおありなら、一度覗いてみてはいかがだろうか? もしかしたら、トーナメント表の中に僕の名前があるかもしれませんね。
 

●シュートボクシング アマチュア大会
●浅草・花やしき
 

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Written by 小笠原尚軌
 

おがさわら・なおき●エンタメ系情報誌の記者・編集を経てJVTA英日総合コースⅠ、バリアフリー講座を修了。フリーランスとして活動した後、現在はJVTAのPRチームに所属する。
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「JUICE」は日々、世界中のコンテンツと対面する日本映像翻訳アカデミーの講師・スタッフがとっておきのトピックをお届けするフリースタイル・コラム。映画・音楽・本・ビデオゲーム・旬の人、etc…。JVTAならではのフレーバーをお楽しみください!
 

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