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Tipping Point Returns Vol.26 ■「続けること」を楽しもう

Tipping Point Returns Vol.26 ■「続けること」を楽しもう
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修了生や受講生、JVTAに関わってくれた多くの方に毎週届けているメールマガジンが1000号を迎えた。とても感慨深い。ただ長く続いたことを喜んでいるのではない。うれしいのは、私たちスタッフの胸の内に「伝えたいこと、共有したいこと」が存在し続けたことだ。
 

「継続は力なり」という言葉がある一方で「変化こそが成長」という教えもある。続けるべきか、変えるべきか――。日々の習慣から大きな岐路まで、二者択一を迫られ悩むことは誰にでもあるだろう。続けるか変えるかに悩んだ時、私は自分自身にこう問うことにしている。「思いはあふれているか? 思いが湧き上がりあふれ出しているなら人に反対されても続けよ。湧き上がるものがないなら居心地が良くてもさっさと変えてしまえ」。
 

長く続けたことを誉められても、顔で笑って胸の内では喜べない人はいる。取り組んでいることに湧き上がる情熱がなく、ただ続けているだけだからだ。一方、心から喜べる人がいる。続いていることに満足しているのではなく、今もなお情熱やワクワク、緊張感が尽きていないことがうれしいのだ。
 

映像翻訳本科の受講生募集時に、映像翻訳の魅力について話す時間をもらって27年目になる。開校から欠かすことなく優に1000回を超えた。ある時、「同じ話をして飽きませんか?」と聞かれたことがあり、腰を抜かすほど驚いた。そんなふうに感じたことが一度もないからだ。今もセミナーが始まる前に(どんな方々が聞いてくれるのだろう。限られた時間の中で「ことばの仕事の今とこれから」を上手く伝えるにはどう話せばいいだろう)という緊張感に包まれる。以前より伝えたい情報や伝えるべき情報が増えた分、むしろ今のほうがプレッシャーは強い。
 

もちろん、時代によって話の中味は変わる。「ことばの仕事」を巡る環境が変化しているからだ。以前なら必要がないと伝えたノウハウを「絶対に身につけてほしい」と伝えることさえある。しかし、「道案内をしたい」という私の思いは絶賛継続中だ。この瞬間も溢れ出し、止まることはない。
 

今、機械翻訳や生成AIの進化を目の当たりにして「英語を勉強しても無駄ではないか?翻訳や通訳、バリアフリー字幕や音声ガイドなど、ことばの仕事はなくなるのではないか?」と考えて学習を止めたり、キャリアプランを変更したりする人が少なくないという。ことばのスキルを学び高めていくことに対する思いや情熱、喜びが見出せず、継続を決断するまでに至らなかったのだろう。間違った選択ではない。そもそものところで湧き出づるものがないことに気づけたことは、幸いだったのかもしれない。
 

皆さんはどうだろう。機械翻訳や生成AIとどう戦うか、どう組むかについても考える必要はあるだろう。しかし、心の深いところで、(もっとことばを学びたい。それによって自分を磨き、高めたい。人生を豊かなものにしたい)という炎がゆらめいている人がいるはずだ。私はこう伝えたい。そんな情熱を抱く自分を誉めてほしい。誇りを持ってほしい。なぜならその思いは決して間違っていないし、社会にとって今もこれからも必要不可欠なのだから、と。
 

機械翻訳や生成AIの進化によって「ことばのプロ」に求められる知識や技能、仕事のスタイルには当然大きな変化が起き、対応を求められるだろう。しかし、「ことばのプロ」の必要性はむしろ高まる。そのように見ている識者は少なくない。そうした理論や予測については折を見て論じることにしよう。
 

最後に、今日綴った話のさらに根底にある、私の職業観を紹介したい。柄にもなく(笑)植物を育てることが好きなのでこんな例えになってしまうが、皆さんへのエールになれば幸いだ。
 

花が好きなら一鉢の花を大切に育てよう。誰のためでもなく、自分のためでいいから。
美しく咲いたらその花を増やそう。たくさん咲けばもっと気持ちよくなるから。
鉢が増えたら周りの人に分け与えよう。人が喜んでくれたらうれしいから。
もっとほしいと言ってもらえたら計画的に育てよう。これから先も喜んでほしいから。
ほしいと言う人が増えたら、売ろう。そのお金でもっときれいな花を咲かせたいから。
それが仕事というもの。働くということ。

 

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Tipping Point Returns by 新楽直樹(JVTAグループ代表)
学校代表・新楽直樹のコラム。映像翻訳者はもちろん、自立したプロフェッショナルはどうあるべきかを自身の経験から綴ります。気になる映画やテレビ番組、お薦めの本などについてのコメントも。ふと出会う小さな発見や気づきが、何かにつながって…。
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Tipping Point Returnsのバックナンバーはコチラ
https://www.jvta.net/blog/tipping-point/returns/
2002-2012年「Tipping Point」のバックナンバーの一部はコチラで読めます↓
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