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Tipping Point Returns Vol.6 「リスクを取って独立する」のウソ

Tipping Point Returns Vol.6 「リスクを取って独立する」のウソ
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フリーランスやダブルワークという働き方を世界が認め始めている。米国やカナダでは働き手に占めるフリーランスの割合が40%を超えているという。日本では数年前に10%後半というデータがあるので、今なら20%を超えているかもしれない。また、「スタートアップ」という言葉が世界的な流行語になっていることも、個人や少人数による新しい働き方を選ぶ人が増えていることを示している。

 
それでも「独立するなんて怖い。もし失敗したり、仕事が途切れたりしたらどうするの?」、「キャリアパスが見えない。将来の生活が心配」といった声は絶えない。同時に、そうした不安を抱く人たちに対して「リスクを取ることを恐れるな! リスクを取る勇気がなければ成功はない」と檄を飛ばす人たちもいる。「リスクを取れ」的な本やブログ、講演は昔も今も街に溢れているから、独立転身はリスクが高いと信じている人は多いはずだ。

 
フリーランスとして成功したければリスクを取る勇気を持て――ほんとうだろうか? 私はそうは思わない。そんな言葉を信じて何かを始めようとしている人がいたら、止めときなさいと言いたい。

 
なぜなら、優れたフリーランスや起業家で「リスクを取って成功したよ」などと言う人に私は出会ったことがないからだ。正確に言えば、「周囲(家族や友達など)は心配していたのかもしれないが、リスクを取っているという自覚は自分にはなかった」ということ。周りはどうあれ自分自身は危ない橋を渡っていたなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。

 
成功者は転身を決意した時点でこう考える。(これは絶対に上手くいく。自分ならできる。自分だからできる。必ず人や社会の役に立つ。だから歓迎してもらえるはずだ。なのに、なんで「大丈夫?」とか「勇気があるね」とか「止めなよ」とか言ってくる人がいるんだろう? 意味がわかんないよ)。120%の自信があるから始めただけなのだ。

 
リスクだなどと思っていない人とリスクを取っている人。決定的な違いは、大きな障壁や想定外の問題にぶつかった時に表れる。前者は「あれ? 何で上手くいかないんだよ」とイライラしつつも決して諦めない。あの手この手を繰り出して何とか乗り切ろうとする。上手くいくに決まっているからだ。だから成功する可能性が高まる。一方、後者は「やっぱりな。こうなると思ってた」とため息をついて歩みを止める。リスクがあったんだからしょうがないよと、粘れば乗り越えられたかもしれない壁の前で早々に負けを認める。

 
また、前者はチャレンジを楽しむことができるから、ポジティブで自然体のエネルギーを周囲に発散する。最初は心配していた周囲の人たちも次第に引き込まれていく。協力者が増えて、成功の可能性もぐっと高まる。一方、後者からは、恐れや不安といった負のオーラがにじみ出る。周囲はできるだけ関わりたくないから距離を置く。抱える必要もないリスクが上積みされ、失敗の可能性が高まる。

 
「勇気を出してリスクを取るぞ」なんて聞こえはいいが、結局それはギャンブルだ。基本、負ける。勝った人がいても、それは偶然だろう。大事なのは、心の底から「ノーリスク!無問題!」と信じることだ。思い立った時は誰でも不安に決まっている。だから、リスクなどという思いが頭から消えるまで、徹底的に考えを巡らせて、学び、調べ、アドバイスを求め、自分を納得させるのだ。それでも不安が払拭できないなら、進まない。それもまた勇気だと思う。

 
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Tipping Point~My Favorite Movies~ by 新楽直樹(JVTAグループ代表)
学校代表・新楽直樹のコラム。映像翻訳者はもちろん、自立したプロフェッショナルはどうあるべきかを自身の経験から綴ります。気になる映画やテレビ番組、お薦めの本などについてのコメントも。ふと出会う小さな発見や気づきが、何かにつながって…。
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Tipping Point Returnsのバックナンバーはコチラ
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2002-2012年「Tipping Point」のバックナンバーの一部はコチラで読めます↓
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