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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第40回 “Star Trek: Discovery” 「Sci-Fiドラマ4連発!Part 3」

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第40回 “Star Trek: Discovery” 「Sci-Fiドラマ4連発!Part 3」
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第40回 “Star Trek: Discovery” 「Sci-Fiドラマ4連発!Part 3」
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社にその道の才人たちが集結し、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
     


     

    “Engage!”
    12年ぶりに“Star Trek”が「お茶の間」に戻ってきた!
    “Star Trek: Discovery”は、オリジナルシリーズの10年前(前作“Star Trek: Enterprise”の90年後)が舞台。オリジナルの精神を継承・深化させ、新たな方向性を示し、よりパワフルで洗練された姿で復活した。
    “Engage!” (発進!)
     

    “First officer’s log, stardate 1207.3.”
    西暦2256年。
    マイケル・バーナム(ソネクア・マーティン=グリーン)は、ミスター・スポックの父親で惑星連邦大使のサレク(ジェームズ・フレイン)に育てられた。彼女は地球人として初めてバルカン科学アカデミーを卒業したスーパーエリートだ。現在は中佐として、USSシェンジョウ(USSは“United Space Ship”の略)でジョージャウ船長(ミシェール・ヨー)の副長を務める。
     

    USSシェンジョウは、惑星連邦の境界線で古代の未確認物体を発見する。志願して調査に赴いたバーナムはそこでクリンゴンの衛兵と遭遇し、誤って相手を殺してしまう。
     

    戦闘種族クリンゴンは100年間沈黙を守っていたが、族長のトゥクヴマはこの事件を戦争の大義として利用する。24の名家を統一し、クリンゴン帝国を再興するときが来たのだ。
     

    USSシェンジョウの前にクリンゴン艦隊が姿を現す。バーナムは平和的解決を探るジョージャウ船長と対立し、命令不服従で拘束される。
     

    惑星連邦とクリンゴンは全面戦争に突入した。
    バーナムは軍事裁判にかけられ、反逆罪により終身刑となる。
     

    半年後、惑星連邦軍は、クリンゴン軍のステルス技術(“cloaking”)の前に苦戦を強いられていた。最新鋭のUSSディスカバリー船長ガブリエル・ロルカ(ジェイソン・アイザックス)は、独断で服役中のバーナムを徴兵する。
     

    ディスカバリーでセカンドチャンスを与えられたバーナムの、新たな冒険が始まった!
     

    “To boldly go where no one has gone before…” again!
    マイケル・バーナムを演じるソネクア・マーティン=グリーンは、“The Walking Dead”のサシャ役が印象深い。バーナムはシリーズ初となる黒人女性の主人公で、船長でも司令官でもない設定も新鮮だ。また、マイケルという男性名を与えて、未来世界の男女観を表している。
     

    USSディスカバリーの船長ガブリエル・ロルカ役のジェイソン・アイザックスは、『ハリー・ポッター』シリーズでルシウス・マルフォイを演じた英国アクター。優れた戦略家だが頑固で屈折したロルカは、ステレオタイプの船長からはほど遠い。
     

    ディスカバリーの副官で、シリーズ初登場のケルピアン人サルーを怪演するのはダグ・ジョーンズ。ケルピアン人は高い知能と身体能力を持つが、長い間捕食され続けてきた歴史があり、異常なリスク感知能力がある。サルーは本シリーズで最もユニークなキャラだ。
     

    バルカン人の知の巨人サレクを演じるジェームズ・フレインも存在感を示す。サレクはバーナムの育ての親であるばかりでなく、ある出来事によってバーナムと精神を共有するユニークな関係となった。
     

    その他、クリンゴンの収容所から脱走したもののPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる保安部長タイラー(シャザド・ラティフ)、胞子エネルギー(“spore power”)を使った瞬間移動技術で重要な役割を担うゲイの科学士官スタメッツ(アンソニー・ラップ)など、新鮮な面々が揃った。
     

    バーナムは、バルカン人の「論理」と地球人の「感情」が葛藤する複雑な性格でクルーと良好な関係が築けない。とりわけリスク回避性向が強いケルピアンのサルーとは、幾度となく対立する。さらに彼女には戦争を始めるきっかけを作ってしまったという自責の念がある。これらの障害を乗り越えて成長して行くバーナムの物語が、ストーリーの核だ。
     

    最先端のCG技術による美しい映像と迫真のアクションシーンは、パワフルで見応え十分。クリンゴンとの戦時下という設定だが決して戦争ドラマではなく、“Star Trek”らしい機知と想像力に富んだエピソードの数々が展開される。冒険&探求精神を引き継ぎつつ、深化させているのだ。
     

    “Live long and prosper”
    全シリーズを整理すると以下の通り。
    “Star Trek” (1966-1969)
    “Star Trek: The Animated Series” (1973-1974)
    “Star Trek: The Next Generation” (1987-1994)
    “Star Trek: Deep Space Nine” (1993-1999)
    “Star Trek: Voyager” (1995-2001)
    “Star Trek: Enterprise” (2001-2005)
    “Star Trek: Discovery” (2017-現在)
     

    質・量ともに頂点に立つのは“The Next Generation”であろうが、“Discovery”は最も洗練されていてスリリング、“Star Trek”未体験の人にもお勧めだ。
     

    かくも長きにわたり「定番ドラマの安定感」と、「革新的ドラマの斬新性」を生み続ける“Star Trek”は、あらためて偉大だと思う。筆者はTrekkie(“Star Trek”の狂信的ファン)ではないが、新シリーズが始まる時のこのワクワク感は、他のドラマでは決して味わえないものだ。
     

    製作は大手民放CBS系のストリーミング会社CBS All Access。日本ではNetflixがシーズン1(全15話)を配信中だ。日英以外にクリンゴン語の字幕も選べるという遊び心も嬉しい。
    そういえば、“The Big Bang Theory”のレナード、シェルドン、ハワードはクリンゴン語が話せたっけ!
     

    <今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」⑲
    Title: “I Don’t Want to Miss a Thing”
    Artist: Aerosmith
    Movie: “Armageddon” (1998)

    ブルース・ウィリス、ベン・アフレックと共演したリヴ・タイラーは、ヴォーカルのスティーヴン・タイラーの娘。大ボラ映画だが、NASAの地元ヒューストンで観たので楽しかった。

     

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
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