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明けの明星が輝く空に 第192回 干支と特撮:ウマ

去る12月某日、不要品処分のため、リユースショップに行った時のこと。査定の間、店内をぶらついていて、ウマがモチーフの怪人、ホースオルフェノクのフィギュアを見つけた。もちろん“即買い”した。今回の記事の参考資料として・・・というより、その姿に惚れ込んでいたからだ。
※写真は本人所有のフィギュアを撮影

平成仮面ライダーシリーズ(2000年1月~2019年8月までの20作品)には、ユニコーンなどを含むウマ系の怪人が数体いる。ホースオルフェノクは2003年~2004年放送の『仮面ライダー555(ファイズ」)』に登場。甲冑をまとった、西洋の騎士のような出で立ちは、「怪人」という言葉が似合わないほど雄々しく凜としており、どこかの古城に飾っても違和感がないかもしれない。ライダーシリーズ、いや、あらゆる特撮作品の全ての怪人の中で、その魅力的な容姿は群を抜いている。

まず目につくのは、その落ち着いたカラーリング。特撮ヒーローや怪人は、子どもを対象にしたビジネス=キャラクター商品販売の都合上、カラフルなものが多いが、ホースオルフェノクはグレーのモノトーンだ。『仮面ライダー555』の設定では、「怪人=人類の進化形態として蘇った死者」という設定があり、「死」のイメージを喚起する色としてグレーが選ばれたのだが、これがホースオルフェノクの騎士のような甲冑姿と相まって、重厚感を生んでいる。

もちろん、派手な色使いがさまになる場合もある。たとえば『仮面ライダーキバ』(2008年~2009年)には、ステンドグラスをデザインコンセプトに取り入れた怪人たち=ファンガイアが登場。黒がベースカラーの身体に、鮮やかな色が散りばめられ、ちょっとしたアート作品のようだ。ウマ系の怪人で言えば、『仮面ライダーオーズ/OOO』(2010年~2011年)に登場するユニコーンヤミーは、ビジュアル系バンドのような、衝撃的な色彩が目を引く。薄い紫色の身体に、金色の角と銀色の顔。身体にも金色や銀色などを配し、ウェーブのかかった長いたてがみは赤紫色だ。

ファンガイアとユニコーンヤミー、そして僕の“推し怪人”であるホースオルフェノクも、同じデザイナー=篠原保氏が手がけた作品だ。ウマというのは鼻梁が長く、頭部が大きくなりがちなモチーフだが、ユニコーンヤミーとホースオルフェノクの場合、小顔でスタイリッシュなデザインにうまく落とし込んでいる。ただ、両者は首の長さが対照的だ。

ユニコーンヤミーの首にはヒトに似た顔があり、二つの顔が縦に並んでいるため、当然首は長くなる。長い首にもう一つの顔がある、と言った方がわかりやすいだろうか。顔が二つあるのは、ヤミーと呼ばれる怪人たちに共通した特徴だ。彼らが登場する『仮面ライダーオーズ/OOO』は、出渕裕氏――第189回『干支と特撮:ヘビ』(https://www.jvta.net/co/akenomyojo180/)で紹介したキャラクターデザイナー――がメインデザイナーを務めており、どうやら「二つの顔」は篠原氏のアイディアではなさそうだ。ただ、篠原氏はその7年前、『仮面ライダー555』のキャラクターデザインを単独で担当した際、同じコンセプトのデザインも考案していた。その一例が、ホースオルフェノクだ。

ホースオルフェノクの二つの顔は、ユニコーンヤミーのように、それぞれ独立したものとして存在しているわけではない。むしろ、二つが融合して一つになっているかのようだ。どういうことかというと、ウマの顔が仮面のようにもう一つの顔の前にあり、その重なり具合が絶妙なため、まるで一つの顔のように見えるのだ。この記事冒頭で、ホースオルフェノクの姿を「全身甲冑に覆われた、西洋の騎士」にたとえた。その頭部は、ローマ兵かギリシャ兵が着用したヘルメットをかぶっているように見える。特にその前面は、鼻を守るノーズガードが特徴的な、古代ギリシャのコリント式ヘルメットをモチーフにしたかのようなデザインだ。コリント式ヘルメットには、顔の側面を守る頬当てもあるため、兵士の顔で露出する部位は目のあたりと口元に限定される。ホースオルフェノクの場合は、額のあたりにウマの顔があり、その鼻梁がノーズガードのように鼻、さらには口元までも隠す形になっている。だから、その下に隠された顔で露出しているのは、二つの小さな目とその周辺だけだ。

ただ、この目は小さくとも、しっかりとした存在感がある。明るいグレーで彩色され、周囲が黒に近い色のため、まるで光を放っているようだ。生気を宿していると言ってもいい。それに比べ、ウマの目の方は漆黒で、まるで死んでいるかのように見える。もちろんこれは意図されたものだろう。おそらく、ウマの顔は単なる飾りで、その下がホースオルフェノクの本当の顔だということを示しているに違いない。それでも、顔面の大半を占めるウマの鼻梁の存在感が大きく、その下で輝くグレーの目とうまく融合して一つの顔に見えてくる。一種のだまし絵のようでもあり、なんとも巧みなデザインだ。

その他にも、正面からは耳に見えるが、横から見れば板状に後方に伸びる装飾や、ウマのたてがみのようでもあり、映画に出てくるローマ兵のヘルメット頭頂部に付けられた房飾りのようでもある装飾など、篠原氏のさまざまなアイディアが込められたディテールは見ていて楽しい。実は、控えめながら角も一本あり、だったらユニコーンオルフェノクでしょ、とツッコミたくもなるが、それは野暮というもの。特撮キャラクターの角については、4年前の記事(https://www.jvta.net/co/akenomyojo133/)にも書いたが、やはり角があるとグッと引き締まる(と思う)。これは完全な妄想だが、僕には見えるようだ。篠原氏がデザインの仕上げに角を加え、ひとこと、「これぞ画竜点睛・・・」と満足げにつぶやく姿が。

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。

【最近の私】コラム記事仲間の土橋さんにいただいた『モスラの歌』のレコード。特注したシングル盤用フレームが完成し、早速飾りました。持ってること自体が奇跡的な半世紀以上前のお宝品。こうやって飾っている人間は他にいるまいと、悦に入っています。

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花と果実のある暮らし in Chiang mai プチ・カルチャー集 Vol.97 ネンマツチョーセイ!?

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。

年末に入り、私にとってビッグニュースが飛び込んで来ました。近所に日本人の家族が引っ越してくるというではないですか!(実は国際結婚カップルだそう)

このエリアは、市内からも離れているし、元々はローカルな人ばかりで、引っ越してきた当時は電気も通っていないような場所だったから驚きです。確かにチェンマイは、日本人リタイアメントの方々が元々来ていた所ですが、今では若い人たちが多く移り住んできて、日本人の層ががらりと塗り替えられている感じがします。現実的な話として、10年以上前、為替のいい時では10万円が約4万バーツだったのが、最近のレートでは約1万9千バーツと半分以下の価値になってしまったのです…。(しょぼん。日本頑張れー!)つまり、年金暮らしの人には暮らしづらい国になってしまい、逆にインターナショナルスクールを含む学校、通訳のいる病院、各国のレストランなどインフラが整い、充実してきたチェンマイは、若い人々に魅力的な街になってきたのです。

為替の変動で暮らしにこれほどの影響があるものかと落ち込み、また街というものは本当に生き物のように移り変わるんだなと、心の年末調整中です。


花の季節が始まる予感

みなさま、今年も一年「花と果実のある暮らし」を読んでいただきありがとうございました。来年はこうした変化で、どんな暮らしになっていくのでしょう。お楽しみに。2026年みなさまにとっていい年になりますように。

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Written  by 馬場容子(ばば・ようこ)

東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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明けの明星が輝く空に 第191回 クリスマスには・・・シャケぇ!?

ことしのクリスマス、果たして農林水産省は再び“シャケ推し”でいくのか。スーパー戦隊ファンは、固唾を飲んで見守っている。というのはオーバーだが、過去2年、同省のクリスマス関連ツイートが話題になったことは事実だ。きっかけは、『怪盗ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年~2019年)の第45話「クリスマスを楽しみに」に、“シャケ激推し”の怪人、サモーン・シャケキスタンチンが登場し、「クリスマスにはシャケを食え!」と叫んだことだった。

例によって、絶妙な緩さが魅力のスーパー戦隊シリーズ。サモーンが行う非道は、街の肉屋を急襲し、チキンの代わりにシャケを置かせるという、実にたわいのないものだ。「今年のクリスマスはシャケ一色に染めてやる!」と謎の宣言をし、嵐のように現れて、嵐のように去って行く。そんなサモーンの行動に目をつけた農林水産省が、2023年に魚食普及の一環として、「#クリスマスにはシャケを食え」と、サモーンの画像付で公式Xにポストした。

ところが、同省は翌2024年の公式Xに、「#シャケ もいいけど、他の魚も食べてほしい」とポスト。クリスマスカラーということで、マグロとアボカドを使ったメニューを紹介したのだ。(とはいえ、農林水産省は同じ日に、公式YouTubeチャンネルで、「【水産庁】サモーン・シャケキスタンチン様に感謝しながらシャケ食べた」と題する動画もアップしている。)

それにしても、サモーンという怪人の目的は何だろう。チキンの代わりにシャケを食べさせて、一体何になるのか。彼は異世界犯罪集団ギャングラーの一員で、その組織は犯罪行為を通して、人間社会の掌握を目論んでいるらしい。窃盗や誘拐、中にはプロパガンダ映画の制作といったユニークなことをする怪人もいるが、クリスマスにシャケを食べさせることで人間社会を掌握できるとも思えない。たとえばこれが仮面ライダーシリーズであれば、シャケには毒が混入されている、といった仕掛けが考えられるが、サモーンは純粋にシャケを食べてほしいだけのようだ。

もちろん、クリスマス商戦でチキンの売り上げを伸ばそうと思っている店主たちは、たまったものではないだろう。中には、閉店に追い込まれる店だってあるかもしれない。それでも、暴力を振るうでもなく、ただ鶏肉を撤去しシャケを陳列棚にきれいに並べて置いていくだけのサモーンは、どことなく憎めない。スゴイ勢いで走って来て、高い所から飛び降りた際に無様に転んだ場面では、「着地しっぱーい!でも、めげない!」と言って走り続ける、健気さのようなものさえ感じさせた。

サモーンはその攻撃技も、ユニークで楽しい。まずは“切り身配り”。シャケの塩焼きをヒーローたちの口に投げ込む。攻撃を食らった一人が、思わず「うまいな」とつぶやいたことからわかるように、それはちゃんとした料理だった。そして極めつきの大技が、“シャケチャーハン”と“氷頭なます”。ヒーローをご飯と一緒に炒めたり、甘酢に漬けたりするのだ!技を食らった方も、「パラパラになっちゃうよー!」とか「すっぱい!すっぱい!」とか、なかなか愉快な苦しみ方だ。画面にはそれぞれのレシピや作り方が表示され、なんともシュールな映像が出現。画面右下には「※イメージ!?」というテロップまで表示され、目の前の光景が現実に起こっていることなのか、それともサモーンが見せる幻影なのか、なんだかよくわからない。もちろん、こんな映像を真面目に解釈するほど野暮ったいことはないので、単純にノリで楽しむのが正しい鑑賞方法だ。

ところで、サモーンは悪役でも、彼を全否定するとシャケという食材の否定にもなりかねない。そこは現代の作品らしく、ヒーローたちが「確かに鮭はすばらしい食材だと思う」とか、「僕もサーモンは大好物の部類に入るよ」などと多様性を認める発言をしている。その上で、「クリスマスにはチキンでしょうがー!」と、正論(?)をぶつけるのだ。この言い方も絶妙だ。たとえば「クリスマスにはチキンだ!」というように、突き放した言い方と比べるとわかりやすい。「でしょう?」という言葉には、「そうじゃない?違う?」といったように、相手の立場も少しは認めているようなニュアンスがある。それでいて、語尾に「が」を置くことで、相手が間違っていることを強く主張する言い回しにもなっている。

余談だが、僕は「でしょうが」という言い回しを聞いて、ドラマ『北の国から’84夏』の、「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!」という台詞を思い出した。父親の黒板五郎が、ラーメン屋で器を下げようとした店員に怒鳴るシーンだ。脚本を書いた倉本聰氏によれば、あの台詞は物語の“へそ”、またはドラマチックの“ドラマ”ではなく“チック”なんだそうだ。それは、ちょっとした台詞、場面ではあるけれど、グッと心をつかまれるとか、印象深く記憶に残るようなもののことらしい。

サモーンの「クリスマスにはシャケを食え!」は、まさにその“へそ”なのだ、と言えたらきれいにまとまったのだが、残念ながらそうとは言えない。サモーンは他にも、「ノーモア・チキン」、「チキンのかわりにシャケを食べろ」、「クリスマスにチキンを食べるなんて許せない」などなど、同じような台詞をまくし立てる。「クリスマスにはシャケを食え!」は、その大量の台詞の中に埋没してしまっている。

個人的には、ヒーローがシャケチャーハンにされるという、ある意味とてもショッキングな映像も含め、「パラパラになっちゃうよー!」こそが、この作品の“へそ”なんじゃないかと思う。バカバカしくも楽しい。これぞ、スーパー戦隊シリーズを象徴する名場面。けっこう本気で、そう考えている。

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【最近の私】予期せぬ出逢いがあるという意味で、テレビは書店に似ています。先日たまたま日本赤軍のドキュメンタリー(NHK)を観ましたが、「オールドメディア」の底力を見た気がします。それに比べてSNSの情報って薄っぺらい。正直な話、そう感じました。

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.96 ムッとした一コマ

先日、友人を送りに空港に行った時の出来事。空港はアブタビ行きのチェックインをしようとするたくさんの人でごった返していました。私の友人は健常者ではないので事前に車椅子を要請してありました。彼女は待っている間も辛そうで、たまにしゃがんだりしていました。隣のラインには、観光を満喫したような西洋人観光客4人組がチェックインをしています。その中の70代くらいの男性はすでに車椅子を頼んであったようですが、さらに60代くらいの女性が車椅子を追加したいと頼んでいます。しばらくして向こうから2台の車椅子を押した空港職員がやって来ると、そのグループがそれに気づいて合図をし、職員はそちらへ向かっていきました。明らかにそのうちの一台は友人用。友人は立っていられないくらいの状態で今すぐ車椅子が必要なのに…。彼らはそんな友人に気づいていながら見ぬふりをして先に乗ってしまったのです。「しょうがないわね」という表情でグランドスタッフがもう一台手配してくれました。しかし…「すみませんが、あそこまで行ってください」と言われ、結局友人は指定された所まで歩くことに…。

もちろん、車椅子を使われる皆さんのほとんどはご高齢だったり、足が痛かったり、また見えない持病があったりします。しかし、最近、車椅子利用は優先されて楽だという理由で気軽に利用する人たちが出てきているようです。「本当に必要な人をちゃんと優先してほしい!」。この一連の出来事に気づいてさえいない友人の代わりにちょっと声をあげてみました。

お月様、平穏祈願。

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明けの明星が輝く空に 第190回 ウルトラ名作探訪24『恐怖のルート87』

ウルトラマン第20話「恐怖のルート87」の冒頭には、伊豆シャボテン動物公園が「大室山公園」として登場する。僕は大学生の頃、初めてそこに行ったとき驚いた。番組で見た「高原竜ヒドラの石像」が鎮座していたのだ。獣の体に、鷲のような頭と翼を持つ巨大な像。同公園のシンボルとなっているそれは、実際には「高原竜」という名で、「ヒドラ」は番組が付けた架空の名前である。

伊豆シャボテン動物公園(当時は伊豆シャボテン公園)には、『ウルトラマン』の制作スタッフがシナリオ準備段階で訪れたそうだ。そこで見た高原竜を元に、怪獣ヒドラが考案されたという。その姿は、多少の違いこそあれ、高原竜そのままだ。

ヒドラが登場する「恐怖のルート87」では、最後に不思議なことが起きる。ウルトラマンが戦うのをやめ、ヒドラを飛び去らせてしまうのだ。実はこのとき、ウルトラマンには、ヒドラの背中に乗る一人の少年の姿が見えていた。

「恐怖のルート87」は時代を反映し、交通戦争を物語の下敷きとしている。当時は、いわゆるモータリゼーションにともない、交通事故が社会問題となっていた。この作品でも、半年前にムトウ・アキラという少年が、国道87号線で轢き逃げの犠牲者となっていたことが語られる。彼が生前に描いた怪獣の絵は、大室山公園の石像のデザインに採用されていた。ヒドラである。

時系列が前後するが、この事実が発覚する前の物語冒頭で、すでに亡くなっていたはずのアキラ少年の姿が目撃されていた。彼は科学特捜隊本部に現れ、ヒドラが暴れ出すとだけ告げる。そしてその警告通り、大室山公園を見下ろす大室山から、ヒドラが出現する。念のため公園で警戒にあたっていた科特隊が攻撃すると、ヒドラは空へと飛びあがり、姿をくらましてしまった。

このあとヒドラは、国道87号線を走る車を次々に襲う。すでにアキラ少年の事情を聞かされていた主人公のハヤタ隊員は、ヒドラにはその少年の魂が乗り移っている可能性を指摘。続けて仲間の隊員が「呪われた国道87号線か」とつぶやいたところで、ムラマツ隊長から「魂だ、呪いだと言っている場合じゃないぞ」と注意を受ける。この台詞は暗に、オカルトは彼らの(そして『ウルトラマン』という番組の)管轄外であることを示唆しているが、その一方で霊魂の存在を真っ向から否定するものでもない。観る者を物語に引き込む神秘的な空気を残しつつ、番組本来の世界観を維持。巧みな脚本だ。

番組後半、ウルトラマンはヒドラと対決する。強敵相手に、さしものウルトラマンもノックアウト寸前にまで追い詰められた。体勢を立て直し、スペシウム光線を放つウルトラマン。ヒドラが空中へ飛び立つ。さらに続けてスペシウム光線を放とうとすると、ヒドラの背中にうっすらとアキラ少年の姿が浮かんだ。ウルトラマンは構えた手を下ろし、飛び去るヒドラをただ見送った。

「恐怖のルート87」は、『ウルトラマン』が単なる勧善懲悪の物語ではないことを示している。7月の記事で紹介した「怪獣墓場」(https://www.jvta.net/co/akenomyojo186/)は、怪獣の悲哀がテーマになっていたが、今作も“怪獣=憎むべき存在”ではないことを教えている。紋切り型の勧善懲悪ではない物語。それを子どものころに観られた僕らは幸せだと思う。

ヒドラが飛び去る場面では、ウルトラマンのスーツアクター、古谷敏氏の演技も注目に値する。スペシウム光線を構えた手の指先から、フッと力が抜ける。ウルトラマンの心情が垣間見える瞬間だ。仮面で顔が隠され、台詞もない中、指先だけで内面を表現。動きに多少の不自然さが感じられないこともないが、演技とは表情やセリフ回しだけではない、ということを示す好例だ。

もう一点注目したいのは、半年前に亡くなっていたアキラ少年と会い、言葉を交わしたのが女性であるフジ・アキコ隊員だけだったということだ。アキラ少年が部屋を出て行った直後、同じドアから入ってきた男性隊員は、その姿を見ていない。また、フジ隊員は、ヒドラの背中にアキラ少年の姿を見た唯一の人間でもある。古来、女性は異界とチャネリングできる能力があると見られてきた。たとえばイタコは巫女同様、全員女性だ。そう考えると、アキラ少年にちなんだフジ隊員の描写は、ステレオタイプな発想に基づいたものと言える。ただ、60年近く前の作品なのだから、今の価値基準だけで論じるのはフェアではない。それでも、今はそういったことに鈍感でいることが許されない時代だ。その点は、留意しておく必要があるだろう。

「恐怖のルート87」のエピローグでは、轢き逃げ犯人が捕まったことが明らかになる。これでアキラくんも天国へ行けると、無邪気に喜ぶ科特隊の面々だったが、ちょっと待った。それじゃあヒドラの攻撃を受けた車の運転手たちは、全く無関係なのに命を奪われたということに…。昔の作品であっても、ここはツッコミを入れてもいいだろう。怪獣だけじゃなく、人間にも優しい物語をお願いします!

「恐怖のルート87」(『ウルトラマン』第20話)
監督:樋口祐三、脚本:金城哲夫、特殊技術:高野宏一

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【最近の私】スーパー戦隊シリーズ終了という記事を読んで驚きました。出演者同士の不倫問題が取りざたされていますが、今放送中の番組ではなく、50年も続くシリーズ自体を終わらせるほどのことなのかどうか。とにかく公式発表が待たれます。

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.95 偶然

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「ヨーコ!」。空港で手を振る姿は、まさに30年前、アメリカの大学で皮肉交じりに教えていた先生でした。30年という月日が一瞬のうちに吹き飛んでいき、私たちは長いハグをしました。バリ島のウブドに向かう車の中で、彼女の人生に起きたことをじっくりと聞きながら、運命的なことを感じました。

ウブドの街角のガネーシャ

彼女がウブドに来始めたのは20年前。それから、ウブドには毎年のように訪れていたそうです。

「ウブドの仲間たちでHIVの患者さんを助けているお医者さんをサポートしているの。彼のヴィラにいつも泊まっているのよ。素敵な所だからあなたも気に入るわ。」

「え、私も20年前にチェンマイに来て、HIV感染施設孤児施設に関わったんです。」

彼女も私もこの偶然にとても驚きました。お互い何も知らずに、我々は同じ時期に同じようにHIV関係のサポートをしていたのです。振り返れば、彼女の同僚の一人、つまり私の先生の一人はLGBTであり、私が在学中にAIDSを発症し、この世を去りました。きっと私たちの中に、少なからずこの経験が残っていたのでしょう。当時(90年代)のAIDSという病は、社会でも大きく取り上げられていた問題でしたが、30年経った今では医療の進歩や社会の理解により、その状況は大きく変わりました。ウブドに向かう車窓の外を見ながら、同時期に世界のあちこちでポツポツと何かが動いていたんだというこの現象に感慨深いものを感じると共に不思議と明るい気持ちが込み上げてきました。

ヒンドゥーの結婚式

【関連記事】

花と果実のある暮らしin Chiang mai プチ・カルチャー集 Vol.94 再会

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明けの明星が輝く空に 第189回 『新幹線大爆破』

僕は、樋口真嗣監督に謝らなくてはいけない。『新幹線大爆破』(2025年)に期待していなかったからだ。(理由は、10年前の樋口監督作品、実写版『進撃の巨人』2部作、とだけ言っておこう。)Netflixで2回に分けて観たが、続きが楽しみになるぐらい面白かった。

『新幹線大爆破』は、1975年に公開された同名作品のリブート版である。爆弾が仕掛けられたのが東京発、博多行きのひかり109号から、青森発、東京行きのはやぶさ60号に変更されたが、ある速度(旧作は時速80km、新作は100km)を下回ると爆発する、という点は同じだ。

旧作は、米映画界にインスピレーションを与え、アクション映画『スピード』(1994年)が作られたことでも知られる。爆弾犯人、沖田(演じたのは高倉健!)を、単なる悪人として描いていないことは評価されるべき点だろう。しかし、その一方、途中から沖田の回想シーンがたびたび挿入され、新幹線を巡るドラマが途切れがちなのも事実だ。さらに映画終盤には、警察が町中で犯人を追い詰める過程が中心になる。映画公開当時、『新幹線大爆破』というタイトルを見て期待したものとは違った、という観客もいたのではないだろうか。

それは、小学校をサボって観に行ったという樋口監督も同じだったかもしれない。リブート版では、ドラマの大半が新幹線を舞台に展開する。おかげで、映画全編を通して緊迫感が維持された。その点は、ミュンヘン五輪の選手村占拠事件をモチーフにしながら、ほぼ放送局内の場面だけで構成されていた『セプテンバー5』(2024年)に似ていると言っていい。

リブート版『新幹線大爆破』においても、犯人には同情すべき事情がある。しかし、その説明は最小限に抑えられ、その一方で新幹線の走行シーンが増えた。面白いことに、ただ走っているだけでも、爆弾が仕掛けられていると思うと、映像から緊迫感があふれ出す。途中駅を通過する場面など、何か起こるわけでもないのにドキドキしてしまった。(駅を通過する新幹線をホームから見たことがあるが、あれは恐い。ひとつ隣の線路で距離があったにもかかわらず、在来線とは迫力がケタ違いなのだ。その記憶があるから、余計に緊張したのかもしれない。)

映画序盤の山場に、上り線から下り線に入る場面がある。盛岡駅の先で、前方を走行中の新幹線が故障で立ち往生したため、回避せざるを得なくなったのだ。しかし、下り線は新函館北斗・秋田行が走行している。爆弾が爆発してしまうため、速度を落としてやり過ごすことはできない。それでも計算上は、ギリギリのタイミングで衝突を避け、下り線に入れることがわかった。関係者が固唾をのんで見守る中、猛スピードですれ違う2つの新幹線。はやぶさ60号が、線路の転轍(てつ)器、いわゆるポイントに差しかかり、下り線に入る。一瞬、下り列車の最後尾と接触。火花が飛び散るも、大事には至らなかった。

この後も、併走する車両から救出作戦のために必要な機材を受け取る場面や、後方から来た救助車両と走行しながら連結する場面など、映画の「動」の部分は新幹線を中心に回る。似たような場面は旧作にもあったが、50年前と比べて映像技術が進化したリブート版は迫力が数段アップ。通常の走行シーン以外、実際の車両を使うわけはないとわかっていても、物語に引き込まれていると、どれも本物にしか見えない。いや、改めて作り物っぽさを探そうとしても、いまやVFXによる映像を素人の目で見破ることは難しい。

ただ、さすがは樋口監督だ。日本特撮伝統のミニチュア撮影も、しっかり取り入れている。ミニチュアと言っても、1/6のスケールで作られた新幹線は、1両の長さが4m以上。スタッフ10人がかりで運ぶぐらいだから、重量も相当あるだろう。それを走らせて脱線させ、障害物にぶつける。なかなかの迫力だ。まして樋口監督は、特技監督を務めた平成ガメラ3部作で日本アカデミー賞、特別賞特殊技術賞を贈られた特撮界の第一人者。着ぐるみのガメラが巨大怪獣に見える映像を撮ったように、アナログ手法で人の目をだますのはお手のものだ。

樋口監督の強みは、もうひとつある。本人曰く、「鉄道オタク」なのだそうだ。当然、新幹線の映像は全て魅力的に仕上がっている。車両を美しく見せるだけでなく、至近距離からのローアングルショットや、並行して移動するトラッキングショットで迫力を演出。通常では見られない映像の数々に、鉄道ファンでなくとも魅了される。そういった意味で、このリブート版は新幹線のための映画であり、新幹線が主役の映画と言えるのかもしれない。

ごく個人的に、残念な点もあった。それは、舞台が秋田新幹線ではなかったことだ。なんといっても、あの赤い車体は映える。スーパー戦隊のセンターがレッドであるように、“主役”に相応しいではないか!ただし、東北新幹線になったのには、相応の理由があったようだ。JR東日本から「東北を世界にアピールできる」という話があり、制作陣がその意を汲んだのだ。それはそれで大変意義深いことだし、異論はない。ただ、一面緑の田園風景の中、赤い新幹線が疾走する映像は、この上なく美しかっただろうとも思うのである。

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。

【最近の私】JVTAのコラムを卒業された、鈴木純一さんのお疲れ様会に出席しました。ほかのコラム仲間である土橋さんや扇原さん、JVTAの新楽代表はじめスタッフの方々にも、久々にお会いできました。改めて鈴木さん、お疲れ様でした。気が向いたら、特別寄稿とかスポット参戦みたいな形で、また書いてください。

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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る 
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.94 再会

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。

ヨーロッパに住んでいる友人から誘いが来たのはちょうど4ヶ月前のこと。私が今から30年前アメリカの大学で出会ったイラン系アメリカ人の先生がバリに来るので、アジアにいる私に一緒に会いに行かないかと連絡があったのです。数年前、東京にいる卒業生がその先生と同窓会を開いたことは知っていたのですが、まさか外国在住組の我々も再会できるとは。その先生はとても厳しくも愛情があり、我々が苦労しないよう厳しくしてくれているとどこかで感じられたのでなんとか頑張れたのです。ふとあの頃に思いめぐらせ、当時の自分と今の自分を比べてしまっている自分に気づきました。「超元気だったけど、人生焦ってたなあ。」あの頃からあっという間の30年。チェンマイというまた別の地に住んでいろいろなことがもりもり沢山あったけれど、昔に戻りたいと思わない自分がいます。今、あの頃の自分に言ってあげたいのは、生き急がなくていいんだよということ。それはアメリカとはまた違った視点のチェンマイの地で学んだことの一つかもしれません。

今こうして先生に再会できるのはとても感慨深くどんな再会になるか楽しみです。

みんな、静かにすくすく伸びていこう!

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Written  by 馬場容子(ばば・ようこ)

東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美
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明けの明星が輝く空に 第188回 特撮俳優列伝30 藤村志保

「本名、静永操(しずながみさお)。フェリス女学院高等部出身。9歳の頃から日本舞踊を習い、19歳で花柳流の名取となる。」

多くの人はこんなプロフィールを聞けば、気品があってつつましく、凜とした人をイメージするに違いない。和風な顔立ちで着物の似合う藤村志保さんは、まさにそんな方だった。大映時代劇に欠かせない、とまで言われた藤村さんが出演した特撮映画は、2本。先月の記事で紹介した『怪談雪女郎』(1968年)と、『大魔神怒る』(1966年)である。

まず『怪談雪女郎』では、まさに氷のような冷たさを感じさせる雪女を好演している。身体の動きは最小限に、台詞回しも抑揚を抑え、声を荒らげることはない。それでいて、いや、だからこそ、ジワジワと息が詰まるような恐怖を表現し得ている。白眉は、目の動きだけで人を震え上がらせる場面だ。たとえば物語冒頭、山小屋で2人の木こりが寝ていると、音もなく入ってきて、年配の木こりを凍死させる。目を覚ました与作に見られていたことに気づくと、顔はうつむき加減のまま、ゆっくりと目を横にいる与作に向ける。早過ぎもせず遅すぎもしないこの動きが絶妙で、これにより緊迫感がぐっと高まり、観ているこちらも身構えてしまう。

実は昭和の名女優、岸惠子さんも、映画『怪談』(1965年)で雪女を演じていた。こちらも落ち着いた口調で、決して安っぽい怖がらせ方をしない。唯一、口元がアップになり、微かにニヤリとした笑みを浮かべるところは背筋が寒くなるが、それ以外は普通の人間と大差ない佇まいだった。それは演出意図によるものだろうが、両者を比較すると、藤村版雪女の、まるで刃物を突きつけるような恐ろしさが際立つ。

ただし、藤村さんが演じた雪女は、恐ろしいだけの妖怪ではない。「ゆき」という人間に姿を変え、与作の嫁となり、愛情込めて子を育てる。そんな心優しい一面もあった。彼女が子どもと接する姿はぬくもりに溢れ、見ているだけで癒やされるような気分になれる。

ゆきの愛情は、他人の子にも注がれた。誰も治せない熱病にかかった子を、献身的に看病。その方法はもちろん、雪女の能力を使ったものだが、それは彼女の体力を奪ってしまうものだったようだ。見事に熱を下げてみせたときには、フラフラだった。どんなことがあっても、一度決めたことを最後までやり通す。そういう芯の強さも、ゆきは垣間見せていた。

優しく献身的で芯が強いというのは、『大魔神怒る』で演じたヒロインにも当てはまる。ある地方の領主の娘である早百合は、土地を巡る争いに巻き込まれ、許嫁である十郎に危機が迫ったとき、我が身を省みずそれを知らせたため囚われの身となってしまった。しかし、処刑のため磔となりながらも、凜として品格を失わず、取り乱すことがない。これなど、あらかじめそんな人物設定だったというより、藤村さんが演じたからこそ生まれた人物象だったような気もする。

また藤村さんは、はかなげな女性を演じるのにも長けている。『怪談雪女郎』でもそうだったが、“悪漢”に捕らえられてしまう場面での彼女は、強風に吹かれて今にも折れてしまいそうな路傍の花といった趣だ。さらに、か弱いだけでなく、そこはかとなく上品な色気も滲み出る。藤村さん以外に、こんな風情を醸し出せる演技者は、そうそう見つからないだろう。

そんなふうに女優藤村志保に注目しながら観ていると、『大魔神怒る』は彼女のための映画だたのではないかと思えてくる。そんな思いが強まったのが、映画のクライマックスだ。

磔のまま足下に火をつけられた早百合が、自分の命を捧げるから人々を助けたまえと神に祈る。すると目の前の湖から大魔神が現れ、彼女が磔となっている十字架を持ち上げる。仁王像にも似た憤怒の表情ながら、早百合を見つめる大魔神の目はどこかやさしい。そう思ったとき、僕は得も言われぬ感動を覚えた。通常、人と意思疎通をとることのない大魔神が、早百合には何かを語りかけているようだった。全てが終ったとき、大魔神は静かに湖へと帰っていく。水に入り、膝をついて合掌する早百合。語りかけるように「神様」とつぶやくと、大魔神がゆっくりと振り返り、早百合を見つめる。

このシークエンスでは、カメラが早百合を何度もアップで映し出す。崇敬、あるいは敬慕といった思いと感謝の気持ちがあふれ出る、その表情は美しい。いやがおうでも、それが心に残るような演出だ。初見では大魔神というキャラクターのインパクトが強すぎて気がつかないが、何度か観るうち、藤村さんを魅力的に撮った映画だということがわかってくる。(個人的には、むしろそのための映画だったと考えている。)

冒頭で紹介した通り、藤村さんの本名はそのまま芸名として通用しそうなものだが、実は旧姓もオシャレだ。「薄」と書いて「すすき」と読む。秋の柔らかい光の中、風に揺れるススキはたおやかで美しい。着物姿の藤村さんのイメージにぴったりだ。また、ススキにも花言葉はあって、「活力」や「生命力」。さらに、名前の「操」という漢字には、「かたく守って変えない志」という意味がある。ゆきや早百合が見せた強さは、藤村さん自身の強さだったのかもしれない。

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。

【最近の私】カレンダーをめくったら、犬が2匹、満月を見上げているイラストが。横には「月が綺麗ですね」という文字・・・。なんかスゴイ違和感。今年は9月いっぱい真夏が続くような気がしていますので。

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.93 ジャスミン水

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
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「あー、体が火照ってるー!」と一人でぶつぶつ文句を言っていたら(おそらく更年期)、うっとおしく思ったパートナーが「だったら母が飲んでた漢方薬を飲んでみたら?」と一言。それはいいかもと早速薬局に行って探したら、昔ながらのパッケージで、日本で言ったら正露丸のような雰囲気の漢方。自宅に帰って、服用のところを読んでみると、「発熱、体の熱etc..を緩和します。ジャスミン水で飲む、または新鮮なジャスミン水に溶かしてお飲みください。」と書いてあります。ジャスミン水で飲まないといけない薬!?と言ったらもちろん普通のお水で大丈夫だそう。

さて、そのジャスミン水といえばタイの猛暑4月に食べられる「カオチェー」。ぬめりを取ったジャスミン米に冷やし茶漬けのお出汁のようにジャスミン水を注いで食べます。付け合わせには、日本の佃煮のような甘辛のおかずを添えて、食欲減退の時に取る食事としてタイの風物詩となっています。つまり、ジャスミン水には、体を冷やす効果があるようで、カオチェーもそんな暑さ対策として生み出された一皿なのでしょう。お母さんの漢方もそんなジャスミン水で飲むとダブル効果が出るのかな。日本の暑さもタイ並みになってきた近年。いつか日本でジャスミン水も出回る日が来るのでしょうか!私も4月に我が家のジャスミンが咲いたら、花を水に浮かべてジャスミン水を作ってみたいと思いました。

こうした開いたお花ほどお水に浮かべるといい香りがお水に移ります

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Written  by 馬場容子(ばば・ようこ)

東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
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