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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.64 チェンマイのパン屋さん

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。

パンはタイ語でカノムパン。カノムとはお菓子の意味ですから、タイ人にとってパンは、食事というよりおやつに食べる感覚のものでした。20年くらい前に大工さんに、「おはよう、朝食何食べたんだい?」と聞かれ、「パンとフルーツと…」と答えたら、「そんなんじゃ力が出ないだろう」と言われたことは、とても印象に残っています。確かにチェンマイでは朝からガッツリ餅米に鳥の唐揚げなんかも食べるんですから、「パンじゃあ腹持ちせんだろう」という気分でしょう。

20年前には、チェンマイではパン屋さんらしいパン屋さんは特になく、大型スーパーで買えるタイ人好みの甘くて柔らかいパンが主流で、パン好きの私はどうも物足りませんでした。ベトナムやラオスなどと違い、東南アジアで唯一植民地になっていないタイでは、まだタイ料理がしっかりと根付いていました。


しかし、特にここ10年でタイにも食のバリエーションが増えてきました。タイ人がピザやステーキ、日本食など外国料理を食するようになり、西洋人の作るおいしいハード系のパン屋さんも続々と増え、レベルがどんどんアップしています。また、日系パン屋さんは、タイ人やアジア人、西洋人にも人気で、タイ人が経営する日本風パン屋さんもできています。おいしいカレーパンやあんパンがチェンマイで食べられるようになるなんて…嬉しい反面、おいしいチェンマイのソウルフードが廃れないよう、もち米朝食をたまに食べようと思うのでした。

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美

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スタローン版ダーティハリー ブライアン・トンプソン in 『コブラ』

【最近の私】キー・ホイ・クァンとミシェル・ヨーが、ゴールデングローブ賞を受賞しました。受賞作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の公開も楽しみです。
 

シルヴェスター・スタローンといえば、『ロッキー』(1976年)や『ランボー』(1982年)のような人気シリーズがある。そして彼の新たなシリーズとして制作された(と思われる)『コブラ』(1986年)がある。今回はその『コブラ』に登場した、ブライアン・トンプソンが演じた悪役を紹介したい。
 

マリオン・コブレッティ(シルヴェスター・スタローン)は通称コブラ、ロサンゼルス市警の特別捜査班“ソンビ班”に所属する刑事だ。『コブラ』は開始早々、ある男がスーパーマーケットで銃を乱射する場面から始まる。現場に到着したコブラは、銃を犯人に向けると、「お前は病気だ。俺が薬だ」と犯人を射殺する。コブラは優秀な刑事だが、事件を解決するためには手段を選ばない。そのため上司や仲間から批判を受けている。
 

『コブラ』は、クリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』(1971年)を意識している印象がある。例えば『ダーティハリー』で悪役を演じたアンディ・ロビンソンがコブラの上司として登場する。またハリーの相棒役のレニ・サントーニが『コブラ』でも主人公の相棒刑事を演じるなど、共通点がある。
 

主人公の名前がコブレッテイ、あだ名がコブラというのは、正直どうかと思うのだが、でも当時はスタローン全盛期だったので、このような設定でも1本の映画が作られていたのだと感じる。
 

『コブラ』では、スタローン演じる主人公は、いつも口にマッチをくわえ、自身の銃のグリップにコブラの絵が彫刻されているなど、キャラクターづけがされている。スタローン自身が脚本を書いているからかもしれないが。そしてヒロイン役には、当時スタローンの妻だったブリジット・ニールセンを登場させるなど、スタローンの主張がかなり強い内容である。
もともとスタローンは『ビバリー・ヒルズ・コップ』(1984年)の出演オファーがあったのだが、色々とスタローンが内容に注文を出してきたため、彼は降板させられる。その代わりにエディ・マーフィーが抜擢されたというエピソードがある。その時にスタローンが考えた刑事キャラを『コブラ』として作り直したのではないか。
 

主人公にはスタローンの思い入れがあるが、逆に他のキャラクターは、意外とあっさりというか、地味である。その中でも、殺人鬼ナイト・スラッシャーを演じたブライアン・トンプソンは、狂信的な殺人者集団のリーダーとして、悪の魅力を放っている。
 

ブライアンは『ターミネーター』(1984年)で、ターミネーターに殺されるチンピラを演じていた。その後、『コブラ』で演じたナイト・スラッシャー役でゴールデンラズベリー賞最低助演男優賞にノミネートされ、ある意味で注目を浴びる。その後はTVドラマや映画で悪役を演じることが多い。
 

ロッキー、ランボーに続くシリーズとなるかと思われたが、残念ながら続編が作られることはなかった。でもこの映画を観直すと、当時のスタローンはやっぱり恰好いい。個人的には今からでも遅くはないので、『コブラ』新作を作ってほしいです。
 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
 
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明けの明星が輝く空に 第156回:干支と特撮:ウサギ

正直な話、ウサギをモチーフにしたヒーローや怪獣・怪人は思いつかなかった。しかし、調べてみると見つかった。それも主役が。その名はイエローバスター。スーパー戦隊シリーズの36作目、『特命戦隊ゴーバスターズ』(2012年~2013年)のヒロイン、宇佐見ヨーコの変身後の姿である。
 

ただし、イエローバスターはあまりウサギっぽくない。ヘルメットをよく見れば、ウサギの耳らしき意匠は施されている。ただしそれは、頭部の曲線に合わせ後方に向かって寝ている形で、ほんの数センチ出っ張っているに過ぎない。前頭部にシンプルな線で描かれたウサギの顔がなければ、それが耳を模しているとはわからないだろう。
 

デザインの面では、むしろ彼女を取り巻くメカの方がウサギっぽい。まず、ちょっと口うるさい相棒、ウサダ・レタスというロボットには、頭に2本の長い耳のようなものがある。それらはイエローバスターが乗り込む専用マシンの操縦桿で、ウサダはコックピットに収まるようにも作られているのだ。そのイエローバスター専用マシンも、通常はヘリコプターとして機能するが、攻撃時にはウサギ型のロボットに変形。後ろ向きに両足キックをお見舞いするなど、アクションにもウサギっぽさが取り入れられている。
 

イエローバスターのアクションはどうだろうか。超人的な跳躍力を身につけてはいるが、特にウサギっぽくもない。こうなると、「設定をウサギにした意味はある?」と思ってしまうが、『特命戦隊ゴーバスターズ』のテーマは「変革」だったというから、そういった“いかにもありがち”な演出は避けられたようなのだ。Vシネマ『帰ってきた特命戦隊ゴーバスターズvs動物戦隊ゴーバスターズ』(2013年)を観ると、そのあたりがよくわかる。「動物戦隊」とは、本編の特命戦隊とは異なる世界、パラレルワールドのヒーローたちで、意味なく背景で爆発が起こる登場シーンや、メンバー全員が力を合わせる決め技など、 “これぞスーパー戦隊!”といった演出がふんだんに見られる。いわばセルフパロディの類いで、動物戦隊は、特命戦隊とは左右逆に映る鏡像のようなものなのだ。
 

そんな動物戦隊のイエローの名前は、ずばりイエローラビット。さらに、両手を頭の上に乗せて“耳”を作って見せたり、戦闘中「ぴょーん」と言いながらジャンプしたりするなど、これでもかというほどウサギっぽさを装う。「ぴょーん」というセリフには、女の子キャラを強調する意図も見えるが、ほかにも敵を倒して可愛く「やった!」と言うなど、本家とは方向性が180度反対だ。イエローバスター/宇佐見ヨーコのアクションに女の子っぽさは皆無で、彼女は気合いが入った掛け声もキレがいい。実は、第1話を観てまず「お!」と思ったのが、この掛け声だった。板に付いていて、カッコいいのだ。
 

ヨーコを演じた小宮有紗さんは、撮影開始当初は現役の高校生。劇中では16歳の設定で、3人いる特命戦隊のメンバー中、最年少だ。レッドバスターこと桜田ヒロムが20歳、ブルーバスターこと岩崎リュウジが28歳なので、自然と“妹”的な立ち位置になる。しかし、イエローバスターはアクションシーンにおいて年齢差など感じさせず、戦闘力も見劣りしない。小宮さん自身、ヨーコの立ち回りを見事に演じていた。中でも驚いたのが、テコンドーの二段蹴りを見せたことだ。これは一度蹴った足を地面に下さず、そのままもう一回蹴る技で、体幹が弱いとバランスが取れないし、足も上がらない。小宮さんはクラシックバレエの経験があるというから、アクションに必要な基礎体力もしっかりしていたのだろう。
 

小宮さんはまた、目に力があり、表情だけで芝居ができる女優さんだ。眉に力を込めた表情も凛々しい。そんな彼女が演じたヨーコにグッとくるような場面が、第23話「意志を継ぐ者」にある。それは仲間の1人、陣マサトが危険を冒して自分を守ってくれようとした時のことだ。彼の実体は亜空間にあり、アバターとしてゴーバスターズと行動を共にするのだが、アバターであってもダメージが蓄積すれば本体の生死にかかわる。そうと知ったヨーコは、出ていこうとするマサトを制し、自分の身は自分で守れると告げる。そしてさらに、力強くこう言った。「それに、誰かのことを守ることだってできる。」
 

この一言に僕はシビれてしまったのだが、このあとマサトによって、かつて彼女の母親ケイも同様のことを言っていた過去が明かされる。実は、ケイは13年前、ヨーコがまだ幼い頃に亜空間へと消えてしまい、幼かったヨーコには母の記憶があまりない。それでも、彼女の中には母親に似た芯の強さがしっかりと育っていた。親子の結びつきを感じさせるエピソードを挿入するあたり、心憎い脚本だ。さらに言えば、この日はヨーコの17才の誕生日。彼女の成長が、自然と伝わるような仕掛けとなっている。
 

「干支」というテーマがなければ、初見の『特命戦隊ゴーバスターズ』を全話視聴することはなかったろう。とりあえずイエローバスターをチェックするため観始めたのだが、意外なほど楽しめたし、好きな作品の1つにもなった。昭和以外の特撮も、悪くない。
 

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。
【最近の私】「新年の誓い」と言うほどじゃないけれど、今年はSF小説をたくさん読もうと思っている。実は、これまで単なるエンタメ系だと思って読んでいなかった。でも、常識にとらわれない発想の飛躍こそが、SF小説の魅力だと今さらながら気づいた。良質な作品から受ける刺激は、脳を活性化してくれる気もするし。
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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る
 

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.63 チェンマイでの老後問題

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ご近所さんのアメリカ人と立ち話をしていたら、実は彼のお父様もチェンマイにいらっしゃって、郊外の老人ホームで暮らしていると聞いておどろきました。外国人が暖かいタイで自国より安くリタイヤ生活をするのも一つの選択肢ですし、彼の場合、家族が一緒に移住しているのは恵まれたケースだと思います。そしてつい先日も、チェンマイ在住の70代カップルからチェンマイの老人ホームを探して欲しいと相談を受けました。タイでは家族介護が基本ですが、最近では介護施設も続々と増えてきています。外国人経営の介護リゾートホームなどもあり、老後の選択肢が増えていることは、外国人移住者にとってはありがたいことなのかもしれません。チェンマイでリタイヤメント移住者は多いのですが、75〜80歳になると一つの区切りとして、母国に帰国する組と居残り組に分かれます。その大きな壁は、病院や介護、そして言葉の問題だと言われています。お子さんのいらっしゃらないそのカップルも、完備のいい施設かもしれないが本当に適切な対応を受けられるのか、それとも借家でいい介護士を探せるのか、日本に帰国した方がいいのか…。今悩みどころ満載でしょう。私も他人事としてではなく、一緒に考えさせられます。あまり先のことを心配するのも良くないのですが、地球上どこにいても一人一人が最後まで尊厳を守って穏やかに暮らせる世の中であったらいいなあと年の瀬に思いを馳せるのでした。
 
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ようこそ、地上600mの絶望へ 『FALL/フォール』の予告編

【最近の私】『インディ・ジョーンズ』新作の予告編を観ました。過去のシリーズを思わせる予告編で、楽しみです。
 

映画には、高い場所で物語が展開する作品がある。例えば、山の中で主人公が孤立してテロリストと戦う『クリフハンガー』(1993年)、また超高層ビルを舞台に、主人公の警官が孤軍奮闘する『スカイスクレイパー』(2018年)などが思いつく。今回はその中から、『FALL/フォール』(2022年)の予告編を紹介したい。
 

予告編は、主人公2人の女性ベッキー(グレイス・フルトン)とハンター(ヴァージニア・ガードナー)が、とある場所に向かう場面から始まる。「今日は、とんでもない企画に挑戦します」と。行く場所は、規格外に高いモンスタータワー、テレビ塔だ。その高さは、何と600メートル。彼女たちは、2人でこのタワーの頂上を目指すという。ハンターは「心配しないで」と言うが、普通は心配しますけど。ちなみに、東京スカイツリーは高さ634メートルで、ほぼあのタワーに登るのと一緒である。
 

2人がこの塔に登るのには、理由があった。1年前に山でのフリークライミングで、夫を落下事故で亡くしたベッキーは、いまだに悲劇から抜け出せないでいた。そこで、友人のハンターが、新たにクライミングの計画を立てた。ハンターは、ベッキーを立ち直らせようとしているのだ。…ちょっと待ってください。こんな塔に登ることで夫を亡くしたトラウマから逃れることができるか?
 

2人はテレビ塔を登り始める。鉄製の古びたハシゴを使い、頂上を目指して登っていく。ハシゴは劣化しており、かなり不安になる。登っている途中で、2人は下を見る。高所恐怖症の自分からすると、こんなタワーに登ることすらありえない。さらに途中で下を見るなんて、それだけで眩暈がします。
 

2人は頂上に到達する。だがその時、ハシゴのネジが外れて、2人は落下していく。命綱をつけていたので一命をとりとめるが、ハシゴが崩れて、2人は頂上に取り残されてしまう。降下することは不可能だ。タワーは砂漠の真ん中にあり、誰にも見つかることはない。さらに、スマホも圏外になり、使用はできない。ケータイが圏外になり、主人公たちが孤立してしまうのは、ホラーやサスペンス映画ではお約束の展開ですね。さらに、水がない。
食糧なし…電波なし…充電なし…そして救助なし…。絶望的である。
 

ここで、「『海底47m』のスタッフが贈る、新たな恐怖」のナレーションが入る。『海底47m』(2017年)は、水深47メートルの海に沈んだ檻に閉じ込められた姉妹が、人食い鮫に襲われる恐怖を描いたパニック映画である。この作品はヒットを記録。続編『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(2019年)が制作された。
 

場所を限定したサスペンス映画というと、低予算だが、様々な危機的状況にあう作品がある。例えば『[リミット]』(2010年)は、地下に埋められた箱に閉じ込められた主人公が、何とかして助かろうとする物語だった。今回も、タワーの頂上に残されたベッキーとハンターが、サバイバルしようと知恵を絞るストーリーになっているようです。2人が無事に助かるのかどうか、映画館で確認してきます!
 

今回注目した予告編
『FALL/フォール』
監督:スコット・マン
出演:グレイス・フルトン、ヴァージニア・ガードナー
2023年2月3日より公開
公式サイト:
https://klockworx-v.com/fall/#smooth-scroll-top

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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明けの明星が輝く空に 第155回:ヒーローがいた場所:特撮ロケ地

戦い終えた本郷猛(仮面ライダー)が坂道を駆けてくる。道ばたには2匹の子犬。本郷はそれに気づくと、1匹を笑顔で抱き上げた。
 

これは、『仮面ライダー』第7話のエンディングシーンだ。撮影されたのは、川崎市多摩区の寺尾台(①)。小田急線読売ランド前駅北側の高台にある住宅街だが、恥ずかしながら、ここがロケ地だったことはつい先月まで知らなかった。「恥ずかしながら」というのは、僕が通っていた小学校がすぐ近くにあり、寺尾台には何人も同級生がいたからだ。
 

映像を見ているときに、身近な場所が撮影に使われていることに気づいたのは、前回の記事で触れた二ヶ領上河原堰(②)を含め3、4カ所ある。また、ネット上に出ている情報から、近辺にロケ地が多いことも知っていた。そこで今回の記事のテーマに選んだわけだが、改めて調べてみると予想以上に多かった。そこで今回は、ライダーシリーズ中心に紹介しよう。Googleマイマップで、この記事に対応した地図を作成したので、ぜひ参照していただきたい。➡明けの明星が輝く空に_特撮ロケ地 (本文中の丸囲み数字は、地図上のものと共通。)
 

それにしても、なぜこの地域にロケ地が多いのか。それは、『仮面ライダー』の撮影が行われた東映生田スタジオ(③)が、やはり読売ランド前駅の近くにあったからだ。場所は、寺尾台から見て西の多摩美という地区で、日本女子大学西生田キャンパスのすぐ脇。前回の記事で触れた第2話「恐怖蝙蝠男」の冒頭の場面(https://www.jvta.net/co/akenomyojo154/)が撮影された道路とマンション(④)は、スタジオから歩いてわずか数分の距離だ。ちなみに、多摩美という地名は「美しい多摩丘陵」が由来で、多摩美術大学とは無関係である。
 

寺尾台の北西に広がる菅馬場(すげばんば)の住宅地(⑤)一帯も、造成地だった当時、『仮面ライダー』のアクションシーンに使用されたようだ。小学生の頃、この造成地周辺の雑木林に、よくカブトムシを採りに行った。たまたま何かの撮影現場に出くわし、追い返されたこともある。一体何の撮影だったか不明だが、一緒にいた父によると、上半身裸の女の人がいたそうだから、少なくとも特撮作品ではないだろう。
 

寺尾台の東にある小田急線の多摩川橋梁(⑥)周辺は、『仮面ライダー』第6話のロケに使われた。また、駅名にその名前を残すのみとなった向ヶ丘遊園(⑦)は、有名だった大階段などが第4話などで確認できるが、ウルトラシリーズでも使われた有名なロケ地だ。(この2カ所は、僕が自分で気づいたロケ地だ。)そこから少し離れた場所に、『ウルトラマン』でバルタン星人が潜んでいた長沢浄水場(⑧)がある。所在地は川崎市なのに、なぜか東京都水道局の施設で、川崎市上下水道局の浄水施設も隣接しており、ややこしい。ともかく、『仮面ライダー』では建物の外観が、本郷猛の所属する「城南大学研究所」として幾度となく登場している。我が田近家のお墓がある霊園からも近いのだが、長沢浄水場を初めて訪れたのはほんの数カ月前だった。お彼岸に珍しく1人で墓参りをしたので、そのついでに足を伸ばしたのだ。
 

長沢浄水場は生田スタジオから見て東南の方角だが、正反対の北西方面には、京王相模原線沿いに稲城市の南山という地区がある。今では住宅地として整備が進んだが、まだ造成地だった当時はここでも撮影が行われたという。山が削られてできた崖は壮観で、電車からもよく見えたことを覚えている。通称「稲城グランドキャニオン」と呼ばれていたそうだ。
 

その南山の一番東のはずれ、京王よみうりランド駅のすぐ近くには、「ありがた山」(⑨)という、まるであの世とこの世の狭間のような場所がある。急な斜面に整然と並んだ古い墓石は、聞くところによると4000体以上。みな無縁仏だ。20年ほど前だったか、僕は近くを散策していて偶然そこに行き着いた。予想もしていなかった異様な光景に驚くと同時に、霧の中のような、非常にうっすらとした記憶が蘇ってきた。確か子どもの頃に来たことがある。誰と、何のためか、全く覚えてはいない。だけど確かに、その光景には見覚えがあったのだ。
 

ありがた山がロケ地になったのは、『仮面ライダーV3』(1973~74年)第33話だ。主人公の風見志郎が、悪の組織の戦闘員たちや怪人とアクションを繰り広げる。4000体もの無縁仏が並ぶ特異な場所だけに、特撮とは関係なく残す価値がありそうだが、ここにも開発の波が押し寄せてきた。土地区画整理事業によって南側の土地が削られ、真新しい道路が開通。現在ループ状になっているその道路の真ん中には、読売巨人軍の施設ができるそうだ。いまのところ、ありがた山は手つかずだが、果たして今のままの形で残されるのか。ありがた山のように異界といった言葉が似合う場所は、東京近辺に多く残されてはいない。再開発が、自然以外にそんなものまで削ってしまうとしたら・・・。造成された景色の中、ポツンと佇むありがた山の眺めに、やるせない気持ちが湧いてきた。
 

追記:今回の記事を書くにあたって、yart先生(https://www.blogger.com/profile/09352180926770118250)のブログ『仮面ライダーロケ地大画報』の情報を大いに活用にさせていただきました。ここにお礼申し上げます。
 

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【最近の私】「ロマンチスト」と言われたことが何回かある。歴史好きだったり、花や紅葉の写真をよく撮っているので、そう思う人がいるらしい。でも考えてみれば、特撮ファンは誰でもロマンチストだ。虚構を現実のものと想像して楽しんでいるのだから。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.62 ウィットに富んだカフェ Part 2

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
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タイのカフェ文化はますます進化を遂げています。山岳民族が育てているコーヒー豆も、2004年に品質認証を定める制度ができ質も安定し、さらに焙煎技術も向上してきたので、以前のただただ苦いだけのコーヒーに出会う機会もだいぶ減りました。さらに、チェンマイ発のコーヒー店が、日本に出店するほど、その位置が不動のものになりつつあります。(2020年チェンマイにあるAKHA AMA COFFEEの日本一号店が、東京の神楽坂にできました。https://www.jvta.net/co/hanatokajitsu-petit39/)そんなカフェ文化の中でカフェサーフィン?している私ですが、先日久しぶりに市内にある自家製焙煎をしているカフェに入ったところ、テーブルの上に置かれた消毒スプレーボトルにこんな一言が…。
 
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“Spread love
Not germ”

 
愛を振りまこう
 菌じゃなくてね。

 

観光業に舵を切り、世界中の観光客で賑わっているタイですが、忘れられそうなコロナにも注意はしながらねという、このウィットに富んだメッセージに出会い、ちょっと気分がアップしたカフェタイムになりました。
(パート1は、vol.27 https://www.jvta.net/co/hanatokajitsu-petit27/を是非!)
 
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クリスマスに再び登場するテロリスト ウィリアム・サドラー in『ダイ・ハード2』

【最近の私】Netflixで配信中のドラマシリーズ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』を観ています。今まで観たエピソードはどれも怖くて面白いです。
 

クリスマスになると、観たくなる映画がある。それは『ダイ・ハード』(1988年)だ。クリスマスのロサンゼルスを舞台に、緻密なプロットと迫力あるアクション、最後まで途切れることのないサスペンス、そして魅力的な悪役…。この作品に登場した悪役は、当コラムでも紹介した。(https://www.jvta.net/co/cinemach-die-hard/)。今回は続編『ダイ・ハード2』(1990年)でウィリアム・サドラーが扮した悪役を紹介したい。
 

物語は前作から1年後のクリスマス。マクレーン(ブルース・ウィリス)が妻ホリー(ボニー・ベデリア)を迎えにワシントンDCのダレス空港に向かう。ホリーはダレス空港に向かう飛行機に搭乗しているのだ。同じころ、元アメリカ軍大佐のスチュワート(ウィリアム・サドラー)と彼が率いる謎の集団も空港に集まっていた。スチュワートたちは空港の管制システムを乗っ取り、さらに空港の滑走路のライトを消灯し、飛行機が着陸できないようにする。
 

スチュワートの目的は、逮捕されて南アメリカからダレス空港に挿管される麻薬王エスペランザ将軍(フランコ・ネロ)の奪還だ。空港の完成システムを乗っ取ったスチュワートたちは、着陸できない飛行機の乗客を人質に、将軍を引き渡すように求める。もし抵抗すれば、乗客の命はない。
 

テロリストから管制機能を取り戻すためにSWATチームが出動するが、待ち伏せていたテロリストたちの返り討ちにあう。そこに登場したマクレーンがテロ集団に銃弾を放つ。だが自分たちに抵抗した代償として、スチュワートは残りの燃料がわずかになった飛行機に誤った着陸情報を伝え、その飛行機は滑走路に激突して爆発する。乗客全員が死亡という大惨事を引き起こす冷酷なスチュワートに、思わず部下もひいてしまう。
 

作戦を実行するためには犠牲もいとわないスチュワートだったが、今回は相手が悪かった。第1作目でビルを乗っ取ったテロリストたちを相手に、1人で戦ったマクレーンが、たまたま空港にいたからだ。マクレーンは今作で「なんでクリスマスに同じような目に遭うんだ」とぼやくが、スチュワートからすれば「なんでお前が、ここにいるんだ」と言いたくなるだろう。そしてテロリストとマクレーンの戦いへ。前作をしのぐアクションと、ありえないとツッコミを入れたくなる展開もあるが、頭脳と肉体と爆発を駆使したバトルは見ものです。
 

ウィリアム・サドラーは1950年生まれ。舞台俳優として経歴をスタートする。その後は映画やテレビに出演するようになり、『ダイ・ハード2』で注目を浴びる。いかつい風貌(ほめてます)から、悪役を演じることが多いが、『トレスパス』(1992年)では消防士、『ショーシャンクの空に』(1994年)では囚人など、幅広い役を演じている。またスティーヴン・キング原作の『グリーンマイル(1999年)や『ミスト』(2007年)にも出演している。キアヌ・リーヴィス出演の『ビルとテッドの地獄旅行』(1991年)では死神を演じ、その続編『ビルとテッドの時間旅行 音楽で世界を救え!』(2020年)でも同じ死神に扮していた。
 

今では脇役しても欠かせない俳優の1人となったウィリアム・サドラーだが、彼が注目された本作も、クリスマスに観る映画としておすすめです。
 
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
 
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明けの明星が輝く空に 第154回:ハロウィーンには『仮面ライダー』?

今年のハロウィーンは終わったが、来年は『仮面ライダー』(1971年~73年)を観て楽しむなんていうのはどうだろう。“痛快SF怪奇アクションドラマ”と銘打たれたそれには、ハロウィーン気分を高めてくれるクモやコウモリが、悪の組織ショッカーの怪人となって登場するのだから。
 

“怪奇”? 『仮面ライダー』が? 若い世代のファンには意外なことかもしれないが、初期の『仮面ライダー』はとにかく怖さが売りだった。それは各放送回のサブタイトルからも一目瞭然で、第1話が「怪奇蜘蛛男」、第2話が「恐怖蝙蝠男」である。クモとコウモリをあえて漢字で表記しているところにも、強いこだわりが感じられる。
 

一説によると、番組スタート時にクモとコウモリが敵役に選ばれた背景には、アメリカンヒーローへの対抗意識があったためという。そのヒーローとは、もちろんスパイダーマンとバットマン。つまり、両者よりも仮面ライダーの方が強いという隠喩なのである。クモ怪人とコウモリ怪人は、その後の仮面ライダーシリーズにも度々登場し、特に原点回帰を謳った『仮面ライダーアマゾン』(1974~75年)や『仮面ライダーBLACK』(1987~88年)では、やはり初回や2回目の放送で登場している。そして、来年公開予定の映画『シン・仮面ライダー』にも、両者は登場するようだ。
 

それにしても、「怪奇蜘蛛男」も「恐怖蝙蝠男」も怖い。観たあとに1人でトイレに行けなくなったという子も少なくなかっただろう。怪奇性の演出として効果的だったのが照明の使い方で、見せたいものを照らすというより、むしろ影を作るためのライティングのような印象だ。予算の関係上、照明の数を増やせなかったという事情があったそうだが、それを逆手に取った演出とも言える。薄暗い室内、顔に陰影のある人物といった映像は、それだけで不気味さが漂う。特に第2話の冒頭、蝙蝠男が登場する場面は、サスペンスの要素も加わって秀逸だ。簡単に振り返ってみよう。
 

ある晩、自宅のマンションへと向かう1人の女性。その背後で、薄気味悪い笑い声が響く。驚き振り向くが、暗い夜道には誰もいない。歩き出すと、再び聞こえてくる笑い声。その声が告げる。「お前は選ばれたのだ。ショッカーの名誉ある一員に、だ。」たまらず女性は走り出し、マンションへ逃げ込む。部屋にたどり着き薄暗いベッドルームに入ると、閉めたはずの窓のカーテンが揺れていた。窓を閉め振り向くと、不気味な人影が一瞬壁に映る。そして、何かの気配を察したか彼女が視線を上げると、天井から逆さまにぶら下がる蝙蝠男がいた。
 

このあと女性は蝙蝠男に血を吸われ、吸血鬼にされてしまうのだが、彼女が主人公の本郷猛を襲う場面がまた怖い。「ヒヒヒヒヒ・・・」と笑い声を上げながら迫ってくるのだ。どういうわけか、こういった笑い声は女性の方が怖い。第1話の「怪奇蜘蛛男」でもそれが生かされていて、気味の悪さではこちらの方が上だ。髪で顔が隠れた女性戦闘員たちが、同じように笑いながらゆっくり近づいてくるのである。どちらもシチュエーションは昼だったからまだしも、もし夜だったら・・・。子どもたちのトラウマになっていただろう。
 

番組初期の怪人たちは、その最期も気味が悪い。イメージの中の怪人は、ライダーキックを受けて爆死するのが常だ。戦闘シーンの終り方としてメリハリが利いているし、映像的なカタルシスも感じられる。番組が成功した1つの要因でもあるだろう。しかし、最初は違っていた。たとえば蜘蛛男の場合、うめき声とともに絶命したかと思うと、ブクブクと泡になって消えていくのだ!この場面はイメージ映像的な演出とでも言うのだろうか。白昼の屋外だったにもかかわらず、泡のカットだけ薄暗い中で赤紫色の照明が当てられ、しかも何のものだかわからない影がユラユラと揺れている。ライダーとしても、まったく後味の悪い勝利に違いない。
 

こういった怪奇テイストの『仮面ライダー』を観ていると、僕は『キイハンター』(1968年~1973年)を思い出す。千葉真一さんが、アクションスターとしてお茶の間の人気者になったドラマだ。番組のコンセプトは怪奇ものではないが、お盆の時期などの怖い話は、雰囲気が「恐怖蝙蝠男」などに近かった。ともに東映制作のドラマだったので、BGM、効果音、演出などが似通っていたのだろう。ちなみに『キイハンター』の主題歌は、僕が好きな昭和ドラマ音楽の1つで、作曲は『仮面ライダー』の音楽も担当していた菊池俊輔さん。暴れん坊将軍シリーズなどのほか、アニメ作品も数多く手がけている。特に1970年代前半に放映された『新造人間キャシャーン』や『ゲッターロボ』は、主題歌のイントロやアウトロが身震いするほどカッコイイ。
 

今回はもう1つ、個人的な思い入れのあるトリビアネタで終わろう。それは、ライダーが蜘蛛男と戦うのが、多摩川にある二ヶ領上河原堰という馴染みのある場所だということだ。そこは調布市と川崎市の間に掛かる施設で、子どもの頃はその辺りに川遊びに行ったし、サイクリングロードの起点にもなっているので、中学以降はランニングやサイクリングで慣れ親しんだ。半世紀前、運が良ければライダーに会えた可能性もあったと思うと、少し残念なのである。
 

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。
【最近の私】窓の外から、季節外れのシジュウカラのさえずりが聞こえてきた。試しにネットで見つけたシジュウカラの音声を流してみたら、すぐ近くまで近寄ってきた。もっと頻繁に来てくれるといいなあ。
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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る
 

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花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.61 コブミカン風味ビーフジャーキー

★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。
 

タイといえばビール。以前はシンハー、チャーン、リオなどが3大メジャービールでしたが、最近はクラフトビールも加わり種類がどんどん増えています。そんなビールのお供になるのがおつまみ。日本で定番の枝豆のように、タイではピーナッツやカシューナッツが一般的です。他にも焼き物系やルークチン(練り物)など色々ありますが、今回ご紹介したいタイおつまみの一品は、「ヌアデッディアオ」、ビーフジャーキーのコブミカン風味です。コブミカンといえば、タイの代表的なハーブで、トムヤムクンスープ、トムカーガイの材料としても使われています。また、コブミカンはヘアケアにいいとされ、コブミカンシャンプーなどは、タイのおみやげにピッタリです。「ヌアデッディアオ」は、牛肉をタイの降り注ぐ太陽の元で干してからコブミカンの葉と一緒に揚げた一品。カラッと揚がったコブミカンの葉の爽やかな香りでお肉の油っぽさが中和され、揚げたてはビールのおつまみとして最高です。もちろん、コブミカンの香りが苦手な方もいますので、その辺はお気をつけて。
 
ヌアデッディアオ ビールあり(どちらかで)) - コピー

タイは10月1日からもう自由に行き来ができるようになり、観光客も続々と来ています。タイに訪れた際は是非お試しを!
 
コブミカンの葉

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美
 
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