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一番恐ろしいのは愛読者 キャシー・ベイツ in 『ミザリー』

【最近の私】今一番の期待は、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』です。予告編を観ながら公開を待っています。
 

映画に登場する悪役は、外見からして恐ろしさを強調する人物が多い。『ダークナイト』(2008年)のジョーカーや、『ノーカントリー』(2007年)の殺し屋など、見るからに狂暴さがにじみでていた。今回は、『ミザリー』(1990年)でキャシー・ベイツが演じた、一見普通の女性に見えて、実は・・・というキャラクターを紹介したい。
 

作家のポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)は、小説『ミザリー』シリーズで人気を博している作家だ。『ミザリー』シリーズの最終作を書き上げたポールは、山の中の雪道で自身が運転する自動車がスリップして事故を起こしてしまう。あたりには誰もおらず、ひっくり返った車の中にはポールひとりだけ。そこを通りかかったアニー(キャシー・ベイツ)が、ポールを見つけて彼女の家に連れていく。
 

アニーの家のベッドで目覚めたポールは、自分の両足が骨折していて、動けないと知る。自身を看護師だというアニーは、ポールを看病する。ベッドに寝たきりのポールは病院に連れていってくれと頼むが、アニーは「雪で道が閉鎖されている」と病院に連れていこうとしない。
 
ポールの小説の熱烈な愛読者だというアニーに、ポールはバッグに入っている『ミザリー』最終作の原稿を読ませる。アニーはポールの命を助けてくれたからだ。だが、アニーは『ミザリー』最終作を読んで、結末に納得がいかないと激怒する。その原稿を燃やして、新たに作品を書き直せとポールに迫る。ポールは気づいた。一見優しそうに見えるアニーの狂気の素顔を。
 

ポールは何度も『ミザリー』を書き直すが、アニーはことごとくダメ出しをしてくる。その書き直しを続ける間にも、時間が過ぎていく。ポールの小説を担当している編集者も、行方不明のポールを心配し、警察も捜索を行っていた。
 

少しずつ骨折も快方に向かってきたポールは、車いすに乗れるようになる。アニーが外出中に、ポールは車いすを動かして家の中を探索する。そこで、アニーの過去を知ることになる。恐怖を感じたポールは、この家から何とかして脱出しようとするのだが…。
 

アニーは、見た目の印象は普通の女性だ。だが自分の好きな作家を助けたことから、愛読書の物語を変えようとする。過剰な愛情は、人間を異常な行動に走らせてしまうのだ。その異常さが最も現れているシーンがあるのだが、ここではどんな場面か書きません。何度見ても、目をそむけてしまいます。

 

アニーを演じたキャシー・ベイツは、1948年生まれ。70年代から映画に出演していたが、彼女が注目されたのは『ミザリー』で、この悪役を演じてアカデミー賞主演女優賞を獲得する。以降は『フライド・グリーン・トマト』(1991年)や『タイタニック』(1997年)など現在まで数多くの作品に出演している。『ミザリー』はスティーブン・キング原作の小説だが、これまでに『ザ・スタンド』(1994年)や『黙秘』(1995年)などのキング作品の映像化作品にも出演している。また俳優だけではなく、『ホミサイド/殺人捜査課』(1993年~1999年)では1996年に、『シックスフィート・アンダー』(2001年~2005年)では2001~2003年にTVドラマのエピソードの監督を務めている。
 

これまでにキャシー・ベイツは様々な役に挑戦している。狂気の漂うサイコから、普通の主婦まで、幅広いキャラクターに扮していて、その演技の幅に驚きます。その彼女が世界から注目を浴びた『ミザリー』、まだ観ていない方がいたら、ぜひご覧になってください。
きっと他にもキャシーが出ている作品も観たくなるはずだ。
 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
 
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スマホ一台で息子を救え 『デスパレート・ラン』の予告編

【最近の私】夏に公開される『インディ・ジョーンズ』『ミッション:インポッシブル』シリーズの新作が今から楽しみです。
 

今や生活の中で欠かせることができない携帯電話。スマホは電話やメールだけではなく、インターネットやアプリケーションなど便利な機能がついている。そして携帯電話やスマホをサスペンスの要素として制作された映画もある。その“スマホ映画”の中から、今回は『デスパレート・ラン』(2021年)の予告編を紹介したい。
 

予告編は、エイミー(ナオミ・ワッツ)が自宅を出てジョギングに行く場面から始まる。エイミーは夫を事故で亡くし、現在は自然に囲まれた小さな町で息子ノア、そして娘との生活をしていた。エイミーが森の中の道を走っていると、パトカーとすれ違う。そしてスマホに「事件発生。学校を閉鎖」との緊急速報が流れてくる。ニュース動画、知人に電話をして情報を収集するエイミー。そして、息子が通う学校で立てこもり事件が発生し、息子が事件に巻き込まれているらしいと知る。
 

自分も時々ジョギングに行くことはあるのだが、スマホは荷物になるので持って走ったことはないです。でも、この予告編を観ると、これからはスマホを持って出かけた方がいいのかなと思いました。
 

人質になったノアはエイミーに「怖いよ」と電話をかけてくる。恐怖に凍りつくエイミー。なんとかして息子を救わないと。だが、自分がいる位置は自宅にも車にも遠い場所だ。自分に残されたのはスマホのみ。自分の息子を救うことはできるのか…。
 

電話回線を通じてサスペンスが派生する映画はこれまでにも制作されてきた。例えば、『セルラー』(2004年)がある。監禁された女性が、偶然につながった見ず知らずの若者の携帯に助けを求めるノンストップサスペンスだった。ちなみに、『セルラー』を香港でリメイクした『コネクテッド』(2008年)もある。こちらも携帯が見ず知らずの人間につながるネタは同じでも、派手なアクションを加えたリメイクになっている。
 

最近では、デンマーク映画『THE GUILTY /ギルティ』(2018年)がある。『ギルティ』は警察の緊急通報管理室で勤務する主人公が、今まさに誘拐されている女性からの通報電話を受ける。映画はすべて管理室の中で展開される。走る車の音、犯人の声など、わずかな手がかりから、主人公は女性を救おうとする。この作品も2021年にハリウッドでリメイクされ、主人公はジェイク・ギレンホールが務めている。
 

また、スマホで事件を解決しようとする本作の予告編を観ると、パソコンのモニターで物語が進む『search/サーチ』(2018年)を思い出す。娘が行方不明になり、父親がインターネット、ビデオ通話、メール、SNSなどを駆使して娘を捜す。全編を通じてパソコンの中で進む物語。SNSで事件の真相を追う展開。そしてネットを通じて自分の娘の知らない素顔を知る父親など、今までにないが話題になったので、観た方も多いだろう。
 

本作の監督はフィリップ・ノリス。『パトリオット・ゲーム』(1992年)や『ボーン・コレクター』(1999年)など、アクション大作やサスペンスを撮ってきた監督だ。今回はスマホを使って息子を救おうとする母親というシンプルなシチュエーションの映画を作るのは意外な気がした。でもノイス監督が1989年に手がけた『デッド・カーム/戦慄の航海』では、海上に浮かぶ小型ボートという限られた空間の中で物語が展開するサスペンスだった。
 

突然の事件に巻き込まれたエイミー。その非常事態に、彼女はスマホという身近な機器を使い、何とかして事件を解決することができるのか。シンプルだが、アイデアで観る者をハラハラさせる作品になっている予感がします。はたしてエイミーは息子を救えるのか?その結末は映画館で確認してきます!
 

今回注目した予告編:
『デスパレート・ラン』
監督:フィリップ・ノイス
出演:ナオミ・ワッツ、コルトン・ゴボ
2023年5月12日より公開
公式サイト:https://desperate-run.jp/
 
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人狩りが趣味の富豪 ランス・ヘンリクセンin 『ハード・ターゲット』

【最近の私】ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンがアカデミー賞を受賞しました。80年代から2人の映画を観ていたファンとしては、とてもうれしいです。
 

今年のアカデミー賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンが主演女優賞と助演男優賞を獲得した。現在ではアジア系の俳優や監督がハリウッドで活躍しているが、90年代にはまだそれほど多くはなかった。今回はその90年代に、香港のジョン・ウー監督がハリウッドで撮った『ハード・ターゲット』(1993年)に登場した悪役を紹介したい。
 

本作の舞台はニューオリンズ。弁護士ナターシャ(ヤンシー・バトラー)が行方不明になった父親を捜していた。ナターシャは地元の警察に捜索願いを依頼するが、警察がストを起こしていて、あてにできない。街中でチンピラに襲われたナターシャは、武術を使う男チャンス(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)に救われる。ナターシャはチャンスを用心棒として、父親を捜すことに。
 

やがて、ナターシャの父親が焼死体で発見される。しかも彼は生前ホームレスとして暮らしていた。父親の死体を見たチャンスは、彼の死は殺人ではと疑いを持つ。なぜ父親は殺されることになったのか。
 

2人の捜査が進む中で、フランス人の富豪エミール(ランス・ヘンリクセン)率いる組織が上流階級者を客として人狩りをしていると突き止める。エミールは警察がストで機能していない間に、ホームレスを標的にして、人を狩るビジネスを行っていたのだ。やがてエミールたちの手はチャンスたちにも伸びる。果たして2人はナターシャの父親の敵を打つことができるのか…。
 

エミールが異様なのは、富豪として何不自由していないが、人間狩りをビジネスとしている点だ。しかも標的となるホームレスは元警察官や軍人である。一般人より、軍人の方がサバイバルに長けているので、狩りをするにはもってこいだと考えている。ホームレスに大金を見せ、そして狩る。貧富の格差を利用する卑劣な悪党だ。しかも本人も銃を持って狩りに参加し、殺人に迷う参加者がいれば、その者を殺害するという残虐な男である。
 

エミールを演じたランス・ヘンリクセンは、1940年にアメリカで生まれた。海軍に所属していたが、俳優の道を目指すことになる。『ターミネーター』(1984年)でヘンリクセンは刑事に扮しており、もともとは殺人サイボーグのターミネーターを演じる予定だったが、アーノルドシュワルツェネッガーに交代する。『ターミネーター』のジェームズ・キャメロン監督が『エイリアン2』(1986年)でヘンリクセンをサイボーグ役として起用したのは有名な話だ。
 

『エイリアン2』で注目を浴びて、ヘンリクセンは数多くの映画に出演することになる。その独特の風貌から、『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987年)では吸血鬼を演じるなど、人間ではない役や悪役として現在も映画やドラマで活躍している。『ハード・ターゲット』でも非情なキャラクターを演じているが、フランス人に見えないのが難点か。アメリカ人という設定でもいいのではと思うが、アメリカで狩りをする異邦人というキャラクターもまた魅力的なのかもしれない。
 

本作では、ジョン・ウーが香港映画で描いてきた激しい銃撃戦と危険なスタント、派手な爆発(そしてウー監督のトレードマークの白い鳩も登場)をアメリカでも認めさせる快作となった。以降、ウー監督がハリウッドで活躍するきっかけとなる、この作品でランス・ヘンリクセンは、強烈な悪役として印象を残している。またいつか、彼にはウー監督作に登場してほしいです。
 

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マルチバースとカンフーで世界を救え!?『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の予告編

【最近の私】来月はアカデミー賞受賞式です。どの作品が取るか楽しみにしています。
 
ここ数年、ハリウッドではアジア系の俳優または監督による作品が大きく注目されている。たとえば『ミナリ』(2020年)や、『パラサイト 半地下の家族』(2019年)などが記憶に新しい。今回は3月に日本公開される『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下『エブリシング』と略)の予告編を紹介したい。
 

予告編は、ワン(ミシェル・ヨー)が、コインランドリーで佇んでいる場面から始まる。ワンはコインランドリーのオーナーだが、経営は悪化しており、税金の問題に直面している。老いた父親の介護や、優しいが便りにならない夫(キー・ホイ・クァン)、反抗期の娘との暮らし。さらに税務局の役人(ジェイミー・リー・カーティス)から税金の申告をやり直すよう求められている。
 

そんな時、ワンは、この世界とは別にある複数の世界、マルチバースに連れていかれる。そこで、夫から「僕は夫ではなく別の宇宙(ユニバース)から来た」と告げられる。異なる世界には何千人もの自分がいて、シェフや歌手、そしてカンフーの達人として存在しているという。夫は「その異なる自分たちにアクセスして、スキルを引き出して使うんだ」と話す。その目的は、全宇宙を脅かす巨悪と戦うためだ。だが、なんとその悪の正体はワンの娘だった?!はたして、ワンは家族と世界を救うことができるのか。
 

なんとも不思議な予告編だ。これを見て、現実とは違う世界というと『マトリックス』(1999年)を思い出す。コンピューターに支配された仮想現実の世界マトリックスで暮らす主人公が、目覚めて世界を救おうとする物語だった。当時はまだハリウッドでは珍しかったカンフーやワイヤーアクションを使用して注目を浴び、以降はハリウッドでもカンフーを取り入れたアクション映画が多く制作されることになった。
 

『エブリシング』でも、別の世界ではカンフーの達人であるワンがいて、そのスキルを取り入れながら自身が強くなっていくらしい。主人公ワンを演じるのはミシェル・ヨー。80年代から香港映画で活躍し、『皇家戦士』(1986年)では真田広之と共演もしている。『ポリス・ストーリー3』(1992年)でジャッキー・チェンとともに危険なアクションに挑戦していた。その後、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)ではボンドガールとして登場し、以降はハリウッド作品に多く出演することになる。
 

そして、ワンの夫(本当は違うらしい)を演じるのは、キー・ホイ・クァンである。彼を初めて観たのは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)だ。作品では、キーは中国人の少年の役で、考古学者インディの相棒として活躍していた。その後は『グーニーズ』(1985年)で人気を獲得する。その後は俳優業を休止し、『X-MEN』(2000年)では武術指導アシスタント、ウォン・カーウァイ監督の『2046』(2004年)では助監督を務めていた。そして『エブリシング』では俳優業に復活するべく、オーディションを受けて今回の役を獲得したという。予告編で久しぶりにキーを見て、『インディ』の頃の面影を残しつつ、彼が俳優としてカムバックしたことに感動しました。
『エブリシング』はゴールデン・グローブ賞でミシェルが主演女優賞、キーが助演男優賞を受賞。3月のアカデミー賞でも、作品賞、主演女優賞、助演男優賞ほか、10部門11ノミネートと話題となっている。2人がアカデミー賞も獲得することを強く願います。
 

マルチバースとカンフーでアカデミー賞を受賞できるか?その前に、映画館で『エブリシング』を見届けてきます!
 
今回注目した予告編:
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート
出演:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス
2023年3月3日より公開
公式サイト:https://gaga.ne.jp/eeaao/

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スタローン版ダーティハリー ブライアン・トンプソン in 『コブラ』

【最近の私】キー・ホイ・クァンとミシェル・ヨーが、ゴールデングローブ賞を受賞しました。受賞作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の公開も楽しみです。
 

シルヴェスター・スタローンといえば、『ロッキー』(1976年)や『ランボー』(1982年)のような人気シリーズがある。そして彼の新たなシリーズとして制作された(と思われる)『コブラ』(1986年)がある。今回はその『コブラ』に登場した、ブライアン・トンプソンが演じた悪役を紹介したい。
 

マリオン・コブレッティ(シルヴェスター・スタローン)は通称コブラ、ロサンゼルス市警の特別捜査班“ソンビ班”に所属する刑事だ。『コブラ』は開始早々、ある男がスーパーマーケットで銃を乱射する場面から始まる。現場に到着したコブラは、銃を犯人に向けると、「お前は病気だ。俺が薬だ」と犯人を射殺する。コブラは優秀な刑事だが、事件を解決するためには手段を選ばない。そのため上司や仲間から批判を受けている。
 

『コブラ』は、クリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』(1971年)を意識している印象がある。例えば『ダーティハリー』で悪役を演じたアンディ・ロビンソンがコブラの上司として登場する。またハリーの相棒役のレニ・サントーニが『コブラ』でも主人公の相棒刑事を演じるなど、共通点がある。
 

主人公の名前がコブレッテイ、あだ名がコブラというのは、正直どうかと思うのだが、でも当時はスタローン全盛期だったので、このような設定でも1本の映画が作られていたのだと感じる。
 

『コブラ』では、スタローン演じる主人公は、いつも口にマッチをくわえ、自身の銃のグリップにコブラの絵が彫刻されているなど、キャラクターづけがされている。スタローン自身が脚本を書いているからかもしれないが。そしてヒロイン役には、当時スタローンの妻だったブリジット・ニールセンを登場させるなど、スタローンの主張がかなり強い内容である。
もともとスタローンは『ビバリー・ヒルズ・コップ』(1984年)の出演オファーがあったのだが、色々とスタローンが内容に注文を出してきたため、彼は降板させられる。その代わりにエディ・マーフィーが抜擢されたというエピソードがある。その時にスタローンが考えた刑事キャラを『コブラ』として作り直したのではないか。
 

主人公にはスタローンの思い入れがあるが、逆に他のキャラクターは、意外とあっさりというか、地味である。その中でも、殺人鬼ナイト・スラッシャーを演じたブライアン・トンプソンは、狂信的な殺人者集団のリーダーとして、悪の魅力を放っている。
 

ブライアンは『ターミネーター』(1984年)で、ターミネーターに殺されるチンピラを演じていた。その後、『コブラ』で演じたナイト・スラッシャー役でゴールデンラズベリー賞最低助演男優賞にノミネートされ、ある意味で注目を浴びる。その後はTVドラマや映画で悪役を演じることが多い。
 

ロッキー、ランボーに続くシリーズとなるかと思われたが、残念ながら続編が作られることはなかった。でもこの映画を観直すと、当時のスタローンはやっぱり恰好いい。個人的には今からでも遅くはないので、『コブラ』新作を作ってほしいです。
 

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ようこそ、地上600mの絶望へ 『FALL/フォール』の予告編

【最近の私】『インディ・ジョーンズ』新作の予告編を観ました。過去のシリーズを思わせる予告編で、楽しみです。
 

映画には、高い場所で物語が展開する作品がある。例えば、山の中で主人公が孤立してテロリストと戦う『クリフハンガー』(1993年)、また超高層ビルを舞台に、主人公の警官が孤軍奮闘する『スカイスクレイパー』(2018年)などが思いつく。今回はその中から、『FALL/フォール』(2022年)の予告編を紹介したい。
 

予告編は、主人公2人の女性ベッキー(グレイス・フルトン)とハンター(ヴァージニア・ガードナー)が、とある場所に向かう場面から始まる。「今日は、とんでもない企画に挑戦します」と。行く場所は、規格外に高いモンスタータワー、テレビ塔だ。その高さは、何と600メートル。彼女たちは、2人でこのタワーの頂上を目指すという。ハンターは「心配しないで」と言うが、普通は心配しますけど。ちなみに、東京スカイツリーは高さ634メートルで、ほぼあのタワーに登るのと一緒である。
 

2人がこの塔に登るのには、理由があった。1年前に山でのフリークライミングで、夫を落下事故で亡くしたベッキーは、いまだに悲劇から抜け出せないでいた。そこで、友人のハンターが、新たにクライミングの計画を立てた。ハンターは、ベッキーを立ち直らせようとしているのだ。…ちょっと待ってください。こんな塔に登ることで夫を亡くしたトラウマから逃れることができるか?
 

2人はテレビ塔を登り始める。鉄製の古びたハシゴを使い、頂上を目指して登っていく。ハシゴは劣化しており、かなり不安になる。登っている途中で、2人は下を見る。高所恐怖症の自分からすると、こんなタワーに登ることすらありえない。さらに途中で下を見るなんて、それだけで眩暈がします。
 

2人は頂上に到達する。だがその時、ハシゴのネジが外れて、2人は落下していく。命綱をつけていたので一命をとりとめるが、ハシゴが崩れて、2人は頂上に取り残されてしまう。降下することは不可能だ。タワーは砂漠の真ん中にあり、誰にも見つかることはない。さらに、スマホも圏外になり、使用はできない。ケータイが圏外になり、主人公たちが孤立してしまうのは、ホラーやサスペンス映画ではお約束の展開ですね。さらに、水がない。
食糧なし…電波なし…充電なし…そして救助なし…。絶望的である。
 

ここで、「『海底47m』のスタッフが贈る、新たな恐怖」のナレーションが入る。『海底47m』(2017年)は、水深47メートルの海に沈んだ檻に閉じ込められた姉妹が、人食い鮫に襲われる恐怖を描いたパニック映画である。この作品はヒットを記録。続編『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(2019年)が制作された。
 

場所を限定したサスペンス映画というと、低予算だが、様々な危機的状況にあう作品がある。例えば『[リミット]』(2010年)は、地下に埋められた箱に閉じ込められた主人公が、何とかして助かろうとする物語だった。今回も、タワーの頂上に残されたベッキーとハンターが、サバイバルしようと知恵を絞るストーリーになっているようです。2人が無事に助かるのかどうか、映画館で確認してきます!
 

今回注目した予告編
『FALL/フォール』
監督:スコット・マン
出演:グレイス・フルトン、ヴァージニア・ガードナー
2023年2月3日より公開
公式サイト:
https://klockworx-v.com/fall/#smooth-scroll-top

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クリスマスに再び登場するテロリスト ウィリアム・サドラー in『ダイ・ハード2』

【最近の私】Netflixで配信中のドラマシリーズ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』を観ています。今まで観たエピソードはどれも怖くて面白いです。
 

クリスマスになると、観たくなる映画がある。それは『ダイ・ハード』(1988年)だ。クリスマスのロサンゼルスを舞台に、緻密なプロットと迫力あるアクション、最後まで途切れることのないサスペンス、そして魅力的な悪役…。この作品に登場した悪役は、当コラムでも紹介した。(https://www.jvta.net/co/cinemach-die-hard/)。今回は続編『ダイ・ハード2』(1990年)でウィリアム・サドラーが扮した悪役を紹介したい。
 

物語は前作から1年後のクリスマス。マクレーン(ブルース・ウィリス)が妻ホリー(ボニー・ベデリア)を迎えにワシントンDCのダレス空港に向かう。ホリーはダレス空港に向かう飛行機に搭乗しているのだ。同じころ、元アメリカ軍大佐のスチュワート(ウィリアム・サドラー)と彼が率いる謎の集団も空港に集まっていた。スチュワートたちは空港の管制システムを乗っ取り、さらに空港の滑走路のライトを消灯し、飛行機が着陸できないようにする。
 

スチュワートの目的は、逮捕されて南アメリカからダレス空港に挿管される麻薬王エスペランザ将軍(フランコ・ネロ)の奪還だ。空港の完成システムを乗っ取ったスチュワートたちは、着陸できない飛行機の乗客を人質に、将軍を引き渡すように求める。もし抵抗すれば、乗客の命はない。
 

テロリストから管制機能を取り戻すためにSWATチームが出動するが、待ち伏せていたテロリストたちの返り討ちにあう。そこに登場したマクレーンがテロ集団に銃弾を放つ。だが自分たちに抵抗した代償として、スチュワートは残りの燃料がわずかになった飛行機に誤った着陸情報を伝え、その飛行機は滑走路に激突して爆発する。乗客全員が死亡という大惨事を引き起こす冷酷なスチュワートに、思わず部下もひいてしまう。
 

作戦を実行するためには犠牲もいとわないスチュワートだったが、今回は相手が悪かった。第1作目でビルを乗っ取ったテロリストたちを相手に、1人で戦ったマクレーンが、たまたま空港にいたからだ。マクレーンは今作で「なんでクリスマスに同じような目に遭うんだ」とぼやくが、スチュワートからすれば「なんでお前が、ここにいるんだ」と言いたくなるだろう。そしてテロリストとマクレーンの戦いへ。前作をしのぐアクションと、ありえないとツッコミを入れたくなる展開もあるが、頭脳と肉体と爆発を駆使したバトルは見ものです。
 

ウィリアム・サドラーは1950年生まれ。舞台俳優として経歴をスタートする。その後は映画やテレビに出演するようになり、『ダイ・ハード2』で注目を浴びる。いかつい風貌(ほめてます)から、悪役を演じることが多いが、『トレスパス』(1992年)では消防士、『ショーシャンクの空に』(1994年)では囚人など、幅広い役を演じている。またスティーヴン・キング原作の『グリーンマイル(1999年)や『ミスト』(2007年)にも出演している。キアヌ・リーヴィス出演の『ビルとテッドの地獄旅行』(1991年)では死神を演じ、その続編『ビルとテッドの時間旅行 音楽で世界を救え!』(2020年)でも同じ死神に扮していた。
 

今では脇役しても欠かせない俳優の1人となったウィリアム・サドラーだが、彼が注目された本作も、クリスマスに観る映画としておすすめです。
 
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最狂と最強の対決!「犯罪都市 THE ROUNDUP」の予告編

【最近の私】今回のコラムで取り上げた『悪人伝』のハリウッドリメイク版はシルヴェスター・スタローンが制作との情報も。
こちらも楽しみにしています。
 

マ・ドンソクは韓国出身の俳優だが、今やアジアのみではなく、マーベル・シネマティック・ユニバース作品『エターナルズ』(2021年)に出演するなど、世界的に活躍をしている。今回は、ドンソクの出演新作で韓国にて大ヒットを記録した『犯罪都市 THE ROUNDUP』の予告編を紹介したい。
 

予告編は、韓国クムチョン署の強力斑の刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)が、ベトナムに向かう場面から始まる。韓国からベトナムに渡った犯罪者の引き渡しを行うためだ。だが、そこで明らかになったのは凶悪犯カン(ソン・ソック)の存在だった。カンの起こした誘拐事件を調べるため、ソクトは現地警察が止めるのも振り切って捜査を開始する…。
 

刑事が母国を離れて外国で犯人を追うという作品はこれまでにも作られてきた。マイケル・ダグラス扮するアメリカの刑事が、逃亡した容疑者(松田優作)を追う『ブラック・レイン』(1989年)や、香港警察の警部(ジャッキー・チェン)が、ロサンゼルスで誘拐事件に挑む『ラッシュアワー』(1998年)などが思い浮かぶ。
 

本作は、『犯罪都市』(2017年)の続編である。第1作目は、ソクト刑事率いる強力班の刑事たちが、中国から来た犯罪組織を追う物語だ。激しいアクションとバイオレンス、個性豊かなキャラクター、それに随所にユーモアを交えて展開する。さらにドンソクが演じるソクト刑事が、張り手ひとつで犯罪者を叩きのめすワイルドな強さ。いかつい外見で強引な捜査は行うが、心優しい一面も持っており、ドンソクの当たり役ともいえる作品だった。
 

続編の予告編でも、ドンソクが素手で相手を張り倒す場面もあり、彼の強さは健在である。ドンソクの無敵さはトレードマークのようなもので、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)ではゾンビたちを素手でなぎ倒していた。また『悪人伝』(2019年)では連続殺人犯に襲われながらも、一命を取りとめ、犯人を捜す暴力団のボスを演じている。ちなみに『悪人伝』はハリウッドでリメイク化が進んでおり、ドンソクが引き続き出演するという。こちらも楽しみである。
 

予告編に戻る。今回ソクトと対決する凶悪犯カンは、かなり極悪なキャラクターらしい。
前作『犯罪都市』でも、中国から来た犯罪者が、これまた残虐非道で容赦なく人を殺害して、ソクトたち刑事たちも苦戦していた。自分は韓国映画と俳優にそれほど詳しくはないのですが、悪役を演じる俳優たちが、その役にハマっていることが多いです。先日観た『楽園の夜』(2021年からNetflixで配信)でも、悪役がとても恐ろしかったのを覚えている。やっぱり、こういうアクション映画は、悪役が強烈であればあるほど面白くなりますね。続編でも、凶悪犯がソクトと、どれだけ激しい戦いをするか期待しています。
 

予告編は、カーチェイスや、バスの中での格闘シーンなど、アクションシーンがこれでもかと続く。また、予告編の最後にソクトが男の股間をギュッと握る場面は、前作からのお約束である。前作から観ると、さらに楽しめる映画かもしれない。ドンソク演じる最強の刑事が、最狂の犯人を捕まえることができるのか? 映画館で確認してきます!
 

今回注目した予告編:
『犯罪都市 THE ROUNDUP』
監督:イ・サンヨン
出演:マ・ドンソク、ソン・ソック、チェ・グィファ
2022年11月3日より日本公開
公式サイト:https://hanzaitoshi.jp/
 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
 
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優しき隣人はサイコパスだった! オクタヴィア・スペンサー in 『マー -サイコパスの狂気の地下室-』

【最近の私】『ミッション:インポッシブル』シリーズ新作の予告編を観ました。トムが自身で危険なアクションに挑む姿は、かつてのジャッキー・チェンみたい。公開が楽しみです。
 

俳優はヒット作で演じた役や、同じようなキャラクターを続けて演じることで、特定のイメージがつくこがある。だが、時には意外な役に挑戦する俳優もいる。今回は『マー -サイコパスの狂気の地下室-』(2019年)でオクタヴィア・スペンサーが演じたキャラクターを紹介したい。
 

物語は、夫と離婚したエリカ(ジュリエット・ルイス)が、故郷のオハイオ州に娘マギー(ダイアナ・シルヴァース)と一緒に引っ越す場面から始まる。マギーは転校した高校ですぐに友人もでき、同級生4人とパーティを行うことに。だが高校生なので店で酒を買うことができない。そこで、店の前で通りがかる人に酒を買ってほしいと頼む。日本では未成年者が見知らぬ大人に酒を買ってほしいと頼むことはあまりないだろう。だが、海外では酒やたばこを買ってほしいと大人が頼まれることはあるようだ。皆さん、頼まれても買ってはだめですよ。
 

そこで通りかかったのが、スー・アン(オクタヴィア・スペンサー)だ。彼女は高校生たちの頼みを聞き、酒を購入する。その酒をマギーたちが人けのない屋外で飲んでいたところ、警察官が来て飲酒がばれてしまう。だがマギーの仲間の1人の父親(ルーク・エヴァンス)が元警察官だったので、マギーたちは注意だけで放免となる。実は、マギーたちが飲酒しているのを密告したのはなんと、スー・アンだった。
 

今回は助かったが、また外で酒を飲み警察に見つかることを心配するマギーたち。だが、スー・アンは、自分の家の地下室を高校生たちに開放することを提案する。あっという間に、若者たちの間でスー・アンの家は有名になり、彼らの集まる場になる。
 

スー・アンは、一見優しい女性に見えるが、徐々に違う一面を見せるようになる。彼女はマギーたちに名前をインターネットで検索し、SNSで個人情報を集めていく。なぜそうするのかはここでは言えない。今の若い人たちは自分のプライベートや顔写真をSNSで公開しているので、他人がいろいろな情報を知ることができる、恐ろしい時代です。
 

オクタヴィア・スペンサーは1970年生まれで、映画デビューは『評決のとき』(1996年)。その後はTVドラマ『ER緊急救命室』『X-ファイル』や『25年目のキス』(1999年)などの映画で端役を務めている。長い下積みの後、2011年に『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』で高い評価を得て、アカデミー助演女優賞を獲得する。以降は『ドリーム』(2016年)や『シェイプ・オブ・ウオーター』(2017年)に出演している。
 

オクタヴィアは、外見や雰囲気から「心優しい人」のイメージが強い。本人もそのイメージを一新したかったのか、『マー』では出演のみならず製作総指揮も兼任している。一見優しそうな女性が、実は恐ろしかったという展開は、演じる側としても、やりがいがある役ではないだろうか。今までのオクタヴィアとは違った一面が観られる作品ですので、興味を持った方はぜひ。
 

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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『ロッキー』が新たに甦る 『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』の予告編

【最近の私】Netflixで台湾ホラー『呪詛』を観ました。期待を裏切らない怖い作品でした。劇場で公開中の『哭悲 THE SADNESS』も話題になっていて、台湾ホラーは注目ですね。
 

映画が完成して公開された後、監督が再度編集をして「ディレクターズ・カット」として公開、DVD発売をすることがある。今回は『ロッキー4/炎の友情』(1985年)を監督・脚本・主演のシルベスター・スタローンが再編集した『ロッキーVSドラゴ:ROCKYⅣ』(2021年)の予告編を紹介したい。
 

『ロッキー4』はすでに観ている方もいるだろうから、ネタバレ気味になる場合があります。予告編は、ロシア(公開当時はソ連)のボクサー、ドラゴ(ドルフ・ラングレン)がアメリカにやって来る場面から始まる。ドラゴはロシアの科学技術を集結して肉体を鍛えられた超人的なアスリートだ。ドラゴは現チャンピオンのロッキー(シルベスター・スタローン)との試合を求める。ロシアのボクシングの強さを見せつけるためだ。
 

その挑発に、かつて王者で今はロッキーの親友であるアポロ(カール・ウェザース)が、「俺は勝てる」とドラゴに挑もうとする。ロッキーは「俺たちの時代は終わった。もう戦う理由はない」と反対する。だがアポロは「これで最後だ。力を貸してくれ」とロッキーに協力を請う。
 

そしてアポロ対ドラゴの試合が始まる。ドラゴの圧倒的な強さに、リングに倒れるアポロ。「これ以上は無理だ」と試合を中断しようとするロッキーに、「戦わせてくれ」と反対するアポロ。その結果、アポロは帰らぬ人となる…。
 

自分が原因でアポロが死んだと責めるロッキー。自分にできることは、これしかないと、ドラゴとの戦いを決意。「人生には何かをやり遂げなければならない時がある。他の皆が反対しても、自分にとって正しいことなら、すべきことをする」と反対する家族に伝える。ロッキーVSドラゴの試合は、ロシアで行われることに。アウェイの試合、現地の観客ばかりとなる不利な状況でロッキーは戦いに挑む。
 

ロシアに着いたロッキーは、雪山の中を走ったり、大木をかついで歩いたりと、ドラゴの化学的なトレーニングとは対照的な訓練を始める。ロッキーの持つパワー、そして家族への愛で厳しい練習を続けるロッキー。そしてロッキー対ドラゴの試合が始まった…。
 

『ロッキー4/炎の友情』を再編集、しかも40分を越える未公開シーンを加えたバージョンである。オリジナル公開版は上映時間が91分だから、さらに40分を足すと130分近い作品になるのかと思った。だが今回の『ロッキーVSドラゴ』は94分。ということは、半分近くが新しいシーンで構成されており、ほぼ新作といっても過言ではない。
 

オリジナル版の公開時はアメリカとロシアが冷戦状態にあり、ボクシングで両国が対決する展開にさすがに強引さを感じた人も多かっただろう。ただ、『ロッキー』シリーズ1作目から登場していたアポロが死ぬという第4作はファンにとっても特別な作品と言える。そして2015年には、アポロの息子がロッキーの指導でボクシング選手になる『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)が制作された。さらにアポロの息子とドラゴの息子が対決する『クリード 炎の宿敵』(2018年)もある。シリーズの要となる4作目がスタローンの手で新たに甦るとしたら、ファンとしては期待しますよね。新生『ロッキー』を映画館で確認してきます!
 

今回注目した予告編:
『ロッキーVSドラゴ:ROCKYⅣ』
監督・主演:シルベスター・スタローン
出演:ドルフ・ラングレン、カール・ウェザース
2022年8月19日より日本公開
公式サイト:
https://www.culture-ville.jp/rocky4

 
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
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