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明けの明星が輝く空に 第193回 特撮キャラも見た目が9割!

明けの明星が輝く空に 第193回 特撮キャラも見た目が9割!

誤解を恐れずに言おう。僕はルッキズムに支配されている!応援したくなるスポーツ選手は、だいたいイケメン・イケジョ。趣味のロードバイクを購入する際には、9割は見た目で選んだし、スマホも色と形が購入の決め手になった。

当然、僕のそういった嗜好は、特撮キャラクターにも及ぶ。先月の記事で取り上げたホースオルフェノクは、騎士のような外見に一目惚れした怪人だ。仮に僕がコスプレーヤーだったとしたら、迷わずそのコスチュームを選び、コスプレ会場に乗り込むことだろう。

物心ついたころから、僕にとって至高の特撮ヒーローはウルトラセブン(『ウルトラセブン』1967年~68年)だった。それは、悲劇性をはらんだ彼の活躍が胸に刺さったからだが、見た目の要素も小さくなかったことも事実だ。ホースオルフェノク同様、特撮史上、一二を争うイケメンではないかと思う。特徴的なのは、横長の六角形をした目だ。ウルトラマンの卵形の目とは対照的に、シャープな輪郭線を持つ目。前寄りの位置に小さな黒目(撮影用マスクに明けられた覗き穴)があり、そこから何本もの筋が放射状に、黄色に彩色された周縁部に向かって伸びる。一説によると、ウルトラセブンをデザインした芸術家の成田亨氏は、イギリスの彫刻作家、バーバラ・ヘップワースの影響を受けているという。ヘップワースの作品の中には、空洞に弦を張ったものがあり、成田氏ほかの作品には、それを取り入れたものがあるという。ウルトラセブンの目も、同じことが言えるのかもしれない。しかしその目にある筋は、見ようによっては一つの天体から四方に向かって伸びる光跡のようでもある。成田氏のデザイン画を見たとき、僕は直感的に宇宙を表現したものと感じた。

シャープな線で構成されているのは、目だけではない。銀色に輝くメタリックな頭部全体に、同じ特徴が見られる。特に人間の唇や顎をデフォルメしてデザインされた口元は、まるで彫刻刀で彫られかのようだ。さらに頭頂部の、西洋の騎士のヘルメットにあるようなとさか状の装飾。類似するデザインは、ウルトラセブンより先に、漫画(のちにアニメ化もされた)『鉄人28号』の主人公ロボットにも見られた。ただ、ウルトラセブンが独創的なのは、それが取り外し可能な武器で、ブーメランや小刀のような使い方ができたことだ。切れ味鋭い刃の部分は、当然ながら非常に鋭角的でシャープな形状をしている。

僕にとって外見が大事なのは、ヒーローだけでない。怪獣も同じだ。みなさんは、ゴジラの顔つきが作品ごとに違うことをご存じだろうか。新たに着ぐるみを作り直すため、微妙に変わってしまうのだ。また、シリーズが進んでいくうちに、目がクリッとして愛嬌を感じさせるような顔になったのは、ゴジラが人類の味方という設定に変わったからだった。その後、原点に戻って再び人類に災厄をもたらす存在となると、ゴジラは一様に凶暴な目つきになる。そんな中でもイイなあと思うのは、『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999年)のゴジラだ。目つきは鋭いが、黒目が大きいせいか邪悪さは感じられない。むしろ、勝負に挑むアスリートのように、邪心のないまっすぐな目をしている。そして頭は小さく、長めの口吻は先が鋭角的で、歴代ゴジラの中でもスピーディーに動けそうな雰囲気がある。そして、各パーツのバランスが良く、非常に整った顔立ちのゴジラだと感じる。(その分、怪獣としての面白みには欠けるかもしれない。たとえば、着ぐるみの造形が粗雑な印象でアンバランスな印象がぬぐえない『ゴジラの逆襲』(1955年)の“逆ゴジ”や、極端に小さい目が、どこを見ているかわからない『シン・ゴジラ』(2016年)の“シンゴジ”には、尋常のモノにはない気味悪さと迫力があった。)

ただし、僕がいちばん好きなゴジラはほかにいる。それは、一般的な意味でのイケメンとは違うかもしれない。というのも、顔を腫らしたボクサーのような顔つきをしているからだ。そのゴジラとは、『モスラ対ゴジラ』(1964年)に登場した“モスゴジ”。顔が腫れているように見えるのは、眉骨付近の肉が厚ぼったく、頬の肉が垂れ気味なせいだが、強い眼光を放ち、何発パンチを浴びても戦意を失わない猛者といった雰囲気がある。さらに気に入っているのが、無理に怖そうな表情を作っていないところだ。最近のハリウッド版ゴジラは、取ってつけたようなしかめ面をしており、僕にはこけおどしのようにしか見えない。モスゴジはそれに比べれば無表情で、それがかえって凄みを感じさせる。余談になるが、以前、若貴兄弟の“お兄ちゃん”こと若乃花関の、現役時代の写真を見て背筋がブルッとしたのを覚えている。それは、取り組み前の仕切りの写真だった。無表情ながら、その目からは戦いに集中していることが伝わってきて、なんとも恐かった。あれが殺気というものだろうか。

最後に、僕が好きな特撮キャラはイケメンだけではない、ということを付け加えておこう。たとえば、『人造人間キカイダー』(1972年~1973年)の悪役ロボット、ハカイダー。頭に透明なヘルメット/笠のようなものを被り、移植された科学者の脳が透けて見えているという奇妙なデザインなのだが、卑怯な手を嫌い、実力で勝とうとする姿が魅力的だった。反対に、たとえばウルトラセブンの中身が“ダメンズ”だったら、いくら外見は良くても好きにはならなかったろう。つまり、見た目が9割、だけど残りの1割も大事、ということだ。(最後の最後で記事の主旨からずれてしまった気もするが、結論としてはきれいに収まった・・・、かな?)

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。

【最近の私】ウルトラシリーズ最初期のヒロインを演じた、桜井浩子さん登壇のトークショーに行って来ました。最後の質問タイムで、女性が主人公の作品が今後生まれる可能性について尋ねたところ、なるほどそういうことにも気を配る必要があるのかと気がつかされ、勉強になりました。

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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る 
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