テレビ史上最恐の放送事故。 『悪魔と夜ふかし』の予告編
【最近の私】
今回紹介した作品以外のホラーで気になるのは『破墓/パミョ』です。予告編を観ただけで、ただならぬ雰囲気が出てますね。面白そう。
映画にはファウンド・フッテージという手法がある。撮影者が行方不明、または埋もれていた映像が見つかる。その映像(ビデオテープやフィルム)が公開されるという設定だ。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)のヒットにより、この手法を取り入れた作品が多く作られるようになった。今回はそのファウンド・フッテージ作品として10月に公開される『悪魔と夜ふかし』(2023年)の予告編を紹介したい。
予告編は「あるテレビ番組の生放送のマスターテープが発見された―」というテロップから始まる。
深夜トーク番組『ナイト・オウルズ』は視聴率を取れず低迷が続いていた。視聴率調査週間にあたるハロウィンの日、番組の司会者ジャック(デヴィッド・ダストマルチャン)は、生放送のオカルトショーを企画する。
そして1977年のハロウィンの夜。ジャックの「夜ふかしの皆さん、こんばんは」から恐怖の番組が幕を開けた。番組に登場するのは、霊能者、悪魔祓いなど、どれも本物か怪しい人たちだ。私も70年代に幼少時を過ごしたので、テレビでスプーン曲げや心霊写真など、テレビ番組で(特に夏に)オカルト特集が組まれていたのを思い出した。『ナイト・オウルズ』のセットも時代を反映したレトロ調である。
そこで、1人の少女リリー(イングリッド・トレリ)が番組に登場する。リリーは、ジューン博士(ローラ・ゴードン)が書いた『悪魔との対話』で、悪魔がとりついた少女のモデルである。番組のスタジオで大勢の観客が見守る中、ジューン博士のもとで、テレビ史上初めての悪魔の生出演が実現する。
椅子に手を縛られたリリーの様子に変化が現れてくる。何かがとりついたように。
海外では「満足度97%」や「愉快なトークショー版エクソシスト」と称されている。『エクソシスト』は、悪魔に取りつかれた少女と、神父の戦いを描いたオカルト映画の金字塔である。この映画が作られたのは1973年だ。また、オカルト映画としては『オーメン』(1976年)も有名だ。この頃から書籍やテレビなどでオカルトブームが起こる。オカルト以外にもUFOやネッシー、ノストラダムスの大予言などがメディアに登場していた。今のようにインターネットや動画もなく、テレビや雑誌、書籍などが情報源だった時代である。
予告編に戻る。番組の途中でジューン博士が、リリーの様子を見て恐怖を感じる。だがジャックは「もう止められない。視聴率を取らなきゃ」と番組を続行する。博士の心配をよそに番組は高視聴率を記録する。そしてリリーがジャックに「久しぶりだな」と話しかける。ジャックを知る何かが彼女にとりついたのか。はたして、番組のクライマックスはどんな事態になるのか…。
本作は日本公開前から、海外ホラー映画好きの人たちが『Late Night with the Devil』(『悪魔と夜ふかし』の原題)は面白そうだとSNSで話題にしていた。現在は、海外版の予告編も見ることができて、未公開作品の情報を得ることができる。SNSは便利で喜ばしいこともある。だが、作品の展開に関わるような写真も流出しているので、未見ながら知ってしまうこともあるのが、便利だがSNSの困ったところである。
司会者を演じるデヴィッド・ダストマルチャンは過去に他の映画で見たことはあるが、他の出演者は知らない俳優ばかりだ。監督もオーストラリア出身の兄弟、コリン&キャメロン・ケアンズという初めて知る名前だ。だがそこが、どんな映画を見せてくれるのか、未知の楽しみであり大いに期待している。とりあえず、これ以上はSNSを見ずに、映画館で悪魔のショーを体験してきます!
今回注目した予告編
『悪魔と夜ふかし』
監督:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ
出演:デヴィッド・ダストマルチャン、イングリッド・トレリ、ローラ・ゴードン
2024年10月4日より公開予定
公式サイト:
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!
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