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【悪役コラム】昔の親友は今日の敵。 真田広之 in 『ラッシュアワー3』

【悪役コラム】昔の親友は今日の敵。 真田広之 in 『ラッシュアワー3』
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【最近の私】『スリー・ビルボード』を観ました。主演女優賞&助演男優賞も納得の作品でした。

 
昨今のアメリカ映画では、『ラスト サムライ』(2003年)や『硫黄島からの手紙』(2006年)など、日本が舞台になった作品が増えている。それに伴い、ハリウッド映画に出演する日本人俳優も多くなってきた。真田広之もその一人である。今回は、真田広之が『ラッシュアワー3』(2007年)で演じた悪役を紹介したい。

 
『ラッシュアワー』(1998年)はジャッキー・チェン演じる香港警察の刑事リーがアメリカに渡り、ロス警察の刑事カーター(クリス・タッカー)と手を組んで事件を捜査するアクション映画。ヒットを記録して、続編が製作された。

 
3作目では、中国大使がロスで行われている国際刑事法廷のシンポジウムに参加、リーが護衛している。しかし、大使が中国組織について話している時に、何者かに狙撃されてしまう。リーは犯人を追い詰めるが、その狙撃犯は、リーが少年時代に過ごした孤児院で一緒に育ったケンジ(真田広之)だった。リーはケンジを逮捕せず、その場から逃がしてしまう。リーは養子として孤児院を出ることができたが、ケンジはそうならず、悪の道に踏み込んでしまい、現在では中国の悪の組織の一員となっている。その過去から、リーはケンジに対して後ろめたさを感じているのだ。だからケンジを撃てず、逮捕もできない。大使の銃撃をきっかけに、リーとカーターは再びタッグを組む。2人が事件の捜査を進めるうち、物語の舞台はパリへと移っていく。

 
真田広之はジャパンアクションクラブ出身で、アクションからヒューマンドラマまで、幅広く活躍している。『ラストサムライ』(2003年)では侍を演じ、乗馬から殺陣まで得意のアクションを披露。主演のトム・クルーズが自分より真田の方が目立つと感じ、彼の登場シーンを減らしたというエピソードもある。真田は2005年以降、海外に拠点を移し、『上海の伯爵夫人』(2005年)や『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)など、数々の作品に出演している。

 
『ラッシュアワー3』で、ケンジとリーは血のつながらない“心の兄弟”である。警察官という正義の道を歩んだリーに対して、ケンジは悪の道に進み、2人はコインの裏表のような存在である。少し道が違えば、両者の立場は逆転していたかもしれない。真田は陰りのある表情で、ケンジを演じている。もちろん真田とジャッキーの戦いもある。クライマックではエッフェル塔の最上階で、2人は刀を手に激しい死闘を繰り広げる。日本と香港のアクション俳優の王者同士の雄姿は、アクション映画ファンには夢の対決ですよ。

 
戦いの途中で、ケンジが塔の窓から飛び出して地上に落ちそうになるが、ギリギリ窓際にぶら下がる。リーはケンジに手を差し伸べ、彼を引き上げようとする。しかし、リーに助けられたケンジは、リーを窓から突き落とす。ケンジひどいぞ! 今度はリーが塔の鉄骨にぶら下がる危機に。この後の展開は観てほしいが、この戦いの場面で真田が演じるケンジは非情でありながら、それだけではない複雑な面も見せており、そこが魅力的だ。個人的には『ラッシュアワー』シリーズで彼がベストの悪役であると思っている。

 
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

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