花と果実のある暮らし in Chiang Mai プチ・カルチャー集 Vol.95 偶然
 
																						★「花と果実のある暮らし in Chiang Mai」
インパクト大の写真をメインにタイのリアルなプチ・カルチャーをご紹介しています。
「ヨーコ!」。空港で手を振る姿は、まさに30年前、アメリカの大学で皮肉交じりに教えていた先生でした。30年という月日が一瞬のうちに吹き飛んでいき、私たちは長いハグをしました。バリ島のウブドに向かう車の中で、彼女の人生に起きたことをじっくりと聞きながら、運命的なことを感じました。

彼女がウブドに来始めたのは20年前。それから、ウブドには毎年のように訪れていたそうです。
「ウブドの仲間たちでHIVの患者さんを助けているお医者さんをサポートしているの。彼のヴィラにいつも泊まっているのよ。素敵な所だからあなたも気に入るわ。」
「え、私も20年前にチェンマイに来て、HIV感染施設孤児施設に関わったんです。」
彼女も私もこの偶然にとても驚きました。お互い何も知らずに、我々は同じ時期に同じようにHIV関係のサポートをしていたのです。振り返れば、彼女の同僚の一人、つまり私の先生の一人はLGBTであり、私が在学中にAIDSを発症し、この世を去りました。きっと私たちの中に、少なからずこの経験が残っていたのでしょう。当時(90年代)のAIDSという病は、社会でも大きく取り上げられていた問題でしたが、30年経った今では医療の進歩や社会の理解により、その状況は大きく変わりました。ウブドに向かう車窓の外を見ながら、同時期に世界のあちこちでポツポツと何かが動いていたんだというこの現象に感慨深いものを感じると共に不思議と明るい気持ちが込み上げてきました。

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美
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