37名のJVTA修了生が字幕を担当 UNHCR難民映画祭が開幕
UNHCR難民映画祭は、紛争や戦争、災害などで国や住んでいる地域を追われている難民・避難民の現状を伝えることを目的として毎年行われている映画祭。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が主催するこの映画祭をJVTAは字幕翻訳でサポートしています。9回目を迎える今年は上映作品13本のうち、日本初上映の10本の日本語字幕をJVTAが担当し、約40人の翻訳者が携わっています。
先日、約30人のJVTA修了生が東京校に集まり、翻訳作業がスタートしました。この日行った映画祭説明会にはUNHCRの駐日事務所の今城大輔さんをお招きし、UNHCRの活動や世界の難民の現状、映画祭についてお話を伺いました。
◆UNHCRは第2次世界大戦後の1951年に活動を開始
「UNHCRは、第2次世界大戦によって難民となった人たちの救済を目的として1951年に活動を開始しました。当初は一時的な機関として始まったのですが、その後も世界で紛争や戦争がなくなることはなく、その活動は今日まで続いています。
2013年末の時点で、紛争や迫害、人権侵害のために移動を余儀なくされた人の数は5120万人に上ります。この数字は、2012年末の4250万人を600万人も上回る数字となり、UNHCR創設以来、もっとも状況は悪化しています。全難民の約5割は18歳未満の未成年者です。短い期間に数が急増した背景には長引くシリア紛争があります。3年以上に亘って続いた紛争で昨年末までの短い間に250万人が難民となり、650万人が国内避難民となりました」
◆難民の実情を知ってもらうには映像しかない
「私は国境なき医師団の活動に参加し、さまざまな国で困難な生活を強いられている人たちの姿を目の当たりにしてきました。しかし、その現状を日本で伝えようとしてもなかなか実感を持って感じてもらうことができません。数字や統計だけでは、彼らのことを世界に知らしめることはできないのです。映画はそんな彼らの姿をダイレクトに伝えるためにもっとも有効な方法です。映像を観ることで5000万人の難民の一人ひとりの人生を知り、決してひとごとではないのだという気持ちを持ってもらえるからです。私たちはそんな映像の力を信じています」
◆過酷な生活を強いられている人の声なき声を伝えるのが使命
「ドキュメンタリー映画が捉えた難民の人たちは、『自分はこのつらい環境でもなんとか生きている』ということを訴えています。でも多くの難民はその声を上げることさえできません。そんな声なき声を拾いあげて映像で伝えていかなければ、この状況は変わりません。映像翻訳者の皆さんは彼らの声を日本の人々に伝えるためになくてはならない存在なのです。
この映画祭で上映する作品には、難民の壮絶な人生が描かれており、見ていて気持ちが良く、楽しくなる映像ばかりではありません。私自身も落ち込んでしまうこともあります。しかし、彼らの気持ちに共感してそれを広く伝えていくことが私たちの使命なのです。
難民映画祭は、苦しい現状の中で生きる映画の出演者、現地に赴きカメラをまわすスタッフ、彼らの声を日本語にして代弁する翻訳者、上映することで多くの人にこの現状を伝えるUNHCRが一体となって作り上げるイベントです。皆さんもチームの一員として関わってください。会場に足を運んでくれれば字幕制作に携わることが、難民の助けになっていることを実感してもらえるはずです」
第9回UNHCR難民映画祭
日時:10月4日(土)、10月11日(土)~19日(日)東京
10月12日(日)北海道
10月25日(土)~10月26日(日)兵庫県西宮
上映会場、上映スケジュールは公式サイトをご覧ください。
http://unhcr.refugeefilm.org/2014/
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