【世界最大級の映画祭が開幕】海外大学生たちによる字幕作品が上映
第23回ニッポン・コネクション(以下、ニチコネ)が、2023年6月6日よりドイツのフランクフルトで開催される。ニチコネは、長編、短編、インディーズ作品など幅広いジャンルの日本映画が上映される世界最大級の日本映画祭で、今年もおよそ100本の日本映画がラインナップされている。JVTAは若手監督に実験的アプローチへの場を提供する「ニッポン・ヴィジョンズ」のアワード・スポンサーとして参加するほか、日英字幕翻訳の体験レッスンを開催するなど、様々な形で本映画祭に関わっている。海外の大学生が英語字幕を付けた作品の上映もその1つだ。
JVTAは2017年から「海外大学字幕プロジェクト(GUSP)」を実施している。海外の大学生がJVTA講師の指導のもとで英語字幕を制作し、完成した作品が「ニッポン・ヴィジョンズ」内の「JVTA Meets PIA Film Festival: Shorts」で上映されるのだ。今回は『最も無害で、あまりにも攻撃的』(中田江玲監督)、そして『暮れる』(竹田優哉監督)の2作品をドイツのハインリッヒ・ハイネ大学とベルギーのゲント大学の学生たちが制作した。
GUSPの授業は東京にいる講師と現地の学生をオンラインでつなぎ、ディスカッションしながら英語字幕を完成させていく流れだ。完成後、ニチコネの上映会で初披露される。
授業は、翻訳室チーフディレクターでJVTA講師でもある石井清猛と、同じくJVTA講師のビル・ライリーが担当。2人はGUSPだけでなく、ニチコネの字幕ワークショップでも教えている。JVTAでニチコネに長年携わっている石井講師は、今までGUSPに参加してきた両大学の学生は日本語力だけではなく、翻訳に必要なスキルを持ち合わせていると語る。
「彼らの日本語に対する知識は豊富です。アカデミックに勉強していて、文化的な関心が高いのも分かります。映像翻訳の本質は文化や言葉の壁を越えてコンテンツを届けること。ただ言葉を訳すのではなく、どのようにコンテンツと向き合い、消化するのかが重要です。その点において、彼らは非常に優秀で、いろんなアイデアを持っています。加えて、多様な映像作品に触れているので、作品のストラクチャー(構成)や登場人物の分析など、コンテンツを解釈するポテンシャルも高い。たとえ、彼らの考えや答えが間違っていてもそれなりにロジックを持っていて、そこは非常に良い点だと思います」
ニチコネでJVTAは英語字幕制作だけでなく、日本語学習者向けの日本語レッスンや日英字幕翻訳のワークショップを担当している。どちらもオンラインで行われるので日本からでも参加が可能だ。
その他、60を超えるワークショップ、コンサート、講演、展示など、多彩なプログラムが用意されているので、ぜひチェックしてみてほしい。
<JVTAが担当するワークショップ>
日本語学習者向けワークショップについてはこちら。
(6月8日(木)11:30開始。2時間程度。無料)
日英字幕翻訳ワークショップについてはこちら。
(6月10日(土)13:00開始。2時間程度。無料)
GUSPでの授業の様子は、JVTAの特設サイトで公開される予定だ。
その他上映作品、イベント情報は公式サイトから。