News
NEWS
TYO

SSFF&ASIA2023がもうすぐ開幕!注目作の英日・日英翻訳を手掛けた修了生にインタビュー!

SSFF&ASIA2023がもうすぐ開幕!注目作の英日・日英翻訳を手掛けた修了生にインタビュー!
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

6月6日(火)より、世界最大級の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2023(SSFF & ASIA 2023)」が開催される。2023年で25周年という祝年を迎える映画祭だ。今年のテーマは「UNLOCK」。「『解き放て!』 UNLOCK CINEMA / UNLOCK YOURSELF /UNLOCK THE WORLD」をキーワードに、既存概念から「UNLOCK(解放)」 する映画祭体験を提供する。

今年の映画祭では、スタンダップ・コメディアンであり俳優としても活動するクリス・ロックと、スペイン人俳優として初めてアカデミー賞を受賞したハビエル・バルデムが共演した『LOOK AT ME』(Sally Potter、2022)や、ベン・アフレックとマット・デイモンがプロデュースした『崩壊しつつある世界で』(Alex Lawthe、2022)などの作品が日本プレミアを迎える。また俳優の土屋太鳳や玉木宏が初めて監督を務めた作品や、映画『ちょっと思い出しただけ』(2022)で第34回東京国際映画祭の観客賞を受賞した松居大悟などの日本人フィルムメーカーによる作品にも注目だ。
JVTAは毎年、本映画祭を字幕でサポートしている。今年も上映される約200作品について、ほとんどの字幕を修了生が担当した。

今回は『LOOK AT ME』の日本語字幕を担当した茂貫牧子さんと『ネッパ』(松居大悟、2022)の英語字幕を担当したKevin Yuanさんに、字幕制作の舞台裏を聞いた。

■『LOOK AT ME』

監督:Sally Potter/イギリス・アメリカ/16:00/ドラマ/2022

チャリティイベントの会場で、支配人となり損ないのドラマーの男が対立する。自己表現と統制という二つの欲はぶつかり合いながらエスカレートし、絶え間なく続くリズミカルな背景を背に、二人の公私が爆発的に衝突する。(SSFF&ASIA2023 上映作品紹介より

本作の字幕を担当したのは茂貫牧子さん。茂貫さんは本作について、「短いセリフに実は意味がたくさん込められているセリフが多くて苦労した」という。

日本語字幕の制作では、「1秒につき4文字」という制限がある。そのため情報量が多いセリフは100%訳出することができない。シーンのつながりやセリフの意図を理解した上で、訳出する情報の取捨選択が必要となる。『LOOK AT ME』は、物語が進むにつれて様々な要素が明らかになる作品だ。前半のセリフが後半のシーンに影響を与えることもあり、セリフの裏に隠された真意をしっかりと読み取り、限られた字数内で適切な字幕にすることが重要である。

「物語前半で、『俺に触るな』というセリフに対して『他人のフリか?』と答えるやり取りがあります。この『他人のフリか?』は、原文では『俺のことを知らないとでもいうのか?』というセリフです。二人の関係性は、物語の後半ではっきり分かるようになります。そのため流れの中であまり唐突な感じにならないように、かつ、6文字でいかに表現するか、何度も書いては消してということを繰り返しました。」(茂貫牧子さん)

他のシーンでも、字数制限や情報の出し方に工夫を重ねた。作業過程で難しい取捨選択を迫られたこともあったそうだが、その一方で「一般の方よりも先に、繰り返しじっくりと作品を見ることができるというのは、まさにこのお仕事の役得だなと感じています」と、字幕翻訳ならではの楽しみも実感していた。

「本作は視聴者に委ねる終わり方なので、その点も気になる作品です」と茂貫さんは語る。短編作品であり、配信での視聴も可能な本作。ぜひ一つ一つのシーンやセリフに注目して、茂貫さんのようにじっくりと作品を見てほしい。


■『ネッパ』

監督:松居 大悟/日本/24:52/ドラマ/2022

お客さんには伝えずに迎えた、50年続いたサウナの最終営業日。熱波師でもあるトウジは最後の熱波(ネッパ)に向かう。何も知らない客は…「なんか今日、気合い入ってない?」。サウナ施設の小さな夜。(SSFF&ASIA2023 上映作品紹介より

本作はKevin Yuanさんが英語字幕を担当した。Kevinさんは本作について、サウナ施設の最終営業日の様子しか描かれていないにもかかわらず、50年間の長い歴史を感じられる点がとても魅力的だと言う。サウナに行った経験がほとんどなかったとKevinさんにもサウナの魅力が伝わり、実際に行ってみたくなるほどおもしろい作品だったそうだ。

「作品内に出てくるロウリュや熱波のサウナ文化は日本発祥のものではありませんが、日本文化の中で人気を集めてきたものです。映画祭での上映や配信を通して、『日本文化にはこんなものもあるよ!』というような紹介にもなってほしいと思います。」(Kevin Yuanさん)

サウナ経験がほぼなかったというKevinさんは、当然サウナに関して詳しいわけでもなかった。そのため、「熱波」のシーンの翻訳には時間をかけたと言う。ロウリュと熱波の違いや、アロマ水の活用、熱波師の役割など、サウナに関して調べていくなかで少しずつ理解できるようになった。「予備知識がないときはいい字幕を作ることが難しい」と、翻訳者にとって調べものが非常に大切であることを改めて感じた。

その他、作中で登場人物が泣くシーンでは、泣いているときのセリフの途切れに字幕を合わせ、感謝の気持ちが伝わるような表現を使うようにした。「字幕には登場人物の性格や気持ちを表す役割もある」と、登場人物の気持ちがきちんと伝わるような字幕を心がけたそうだ。

「25分の作品ですが、個性あふれる登場人物の言動を通じて、サウナ施設に対する様々な思いがうまく描かれていくことに感心した」とKevinさんが語る本作。ぜひ英語字幕にも注目して見てもらいたい。

『LOOK AT ME』と『ネッパ』の上映スケジュールやオンライン配信予定は、SSFF2023の公式サイトでぜひチェックを。

■ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2023 公式サイトは▶こちら

■オンライン会場は▶こちら

 配信期間:2023年4月27日~7月10日

さらに6月6日(火)には、LINE CUBE SHIBUYAにて映画祭オープニングセレモニーが開催される。会場での鑑賞チケットは現在発売中。オンラインでの同時配信も実施されるので、こちらも要チェックだ。

■オープニングセレモニー 詳細は▶こちら



◆【英日・日英映像翻訳 4月開講!】
まずは
無料のリモート・オープンスクールへ


※詳細・お申し込みはこちら

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page