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修了生3人が字幕を手がけた『十字軍芝居 ― 三部作 ―』が池袋で劇場公開 

修了生3人が字幕を手がけた『十字軍芝居 ― 三部作 ―』が池袋で劇場公開 
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10月14日(土)~16日(月)に池袋HUMAXシネマズで、映画『十字軍芝居 ― 三部作 ―』が上映されます。これは、国際的舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー17」のプログラムの一つで、三部作が完全上映されるのは日本初。この日本語字幕をJVTA修了生の市原水緒さん、大竹恵子さん、中尾優子さんが手がけました。

 
『十字軍芝居 ― 三部作 ―』は、中世におけるイスラム教とキリスト教の争いの歴史を描いた作品。エジプト出身のアーティスト、ワエル・シャウキー氏がアラブの視点で描いており、オリジナルはアラビア語です。JVTAでは英語字幕をもとに日本語字幕を作成しました。特筆すべきは、登場人物がすべて木や粘土、ヴェネツィアン・グラスでつくられた操り人形だということ。3部作合わせて225分という壮大な傑作の字幕制作に取り組んだ翻訳者の皆さんに、翻訳時の苦労や工夫、見どころなどを聞いてみました。

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© Wael Shawky; Courtesy the Artist and Lisson Gallery

 
◆市原水緒さん(第一部 『ホラー・ショー・ファイル』と第三部『聖地カルバラーの秘密』を担当)
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本作は、人形劇という手法を用いて、アラブから見た十字軍遠征を描くというとても個性的な作品です。訳出にあたっては、十字軍の歴史を学び直すために、本作のベースである本『アラブが見た十字軍』を読んだり、映画『キングダム・オブ・ヘブン』を見たりして、イメージを膨らませました。また、さまざまな文献を参照し、正確で分かりやすい訳語、表現を心がけました。本作の見どころの1つは、ウルバヌス2世の呼びかけによって結成された十字軍が、さまざまな人物の思いが複雑にからみあうにつれ、当初の思惑とはかけ離れた壮大なうねりとなっていくところだと思います。ぜひ多くの方に楽しんでいただけたらうれしいです。私自身、歴史には両面性があるため、両方の視点に着目することの大切さを教えられた気がしています。

 
◆大竹恵子さん(第二部『カイロへの道』と第三部『聖地カルバラーの秘密』を担当)
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十字軍芝居は、イスラム教徒とキリスト教徒の長きにわたる戦いの歴史を描いた作品です。エピソードがすべてアラブ世界の視点から描かれているのはとても新鮮で、まずは時代背景や史実を理解することに多くの時間を費やしました。実際の翻訳の作業に入ってからは、この作品の持つ独特の世界観を邪魔しないよう、簡潔でテンポのよい字幕を心がけました。ガラスの人形たちが触れ合う音が、作品の華やかさ、もの悲しさ、時に残酷さを際立たせています。美しいヴェネツィアン・グラスで作られた表情豊かな人形や技巧を凝らしたセットの数々は、アートの観点からも楽しんでいただけるのではないかと思います。-

 
◆中尾優子さん(第三部『聖地カルバラーの秘密』を担当)
この作品の特徴の1つとして、登場人物全員がガラス細工などでできている「人形劇」であることが挙げられます。そのため、登場人物には表情はもちろん、細かな動作もなく、初めは、セリフに話者の感情を込めることに苦労しました。それと同時に、普段の翻訳作業で、話者の動作や表情などから、いかに多くの情報を読み取っているか改めて気づかされました。そこで、映像からの情報の少なさを補うため、できる限り多くの書籍やサイトから時代背景や事柄等に関する情報をインプットしました。場面や人物の背景を理解することは、話者の心情を読み解き、ピタリとハマる訳をつける上で非常に有効であることを改めて学べたように思います。

 
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歴史もの、宗教ものという難しいジャンルの作品だけに、市原さん、大竹さん、中尾さんはリサーチに時間を費やし、自らも学び直したそうです。皆さんが苦心を重ねて完成した字幕をぜひご覧ください。これから翻訳者を目指す方にも多くの学びがあるはずです!

 
『十字軍芝居 ― 三部作 ―』
監督:ワエル・シャウキー

 
会場:池袋HUMAXシネマズ
日程:10月14日(土)19:05
10月15日(日)19:05
10月16日(月)19:05
上演時間:225分(第一部30分、第二部60分、第三部120分 途中休憩15分あり)

 
詳細はこちらをチェック
http://www.festival-tokyo.jp/17/program/cabaret_crusades/

 
※第三部の『聖地カルバラーの秘密』は、「ヨコハマトリエンナーレ2017 星と星座とガラパゴス」(11月5日まで開催中)のプログラムとして横浜美術館でも上映中です。
9:56-/11:56-/13:57-/15:57-(各回2時間)
詳細は下記のリンクから、「ワエル・シャウキー」をクリックでご確認ください。http://www.yokohamatriennale.jp/archive/2017/artist/index.html

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