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【JVTAが字幕】片桐裕司監督作品第2弾『END OF LOYALTY(原題)』がコミコンでワールドプレミア

【JVTAが字幕】片桐裕司監督作品第2弾『END OF LOYALTY(原題)』がコミコンでワールドプレミア

11月26日、幕張メッセで開催の東京コミコンの会場で、片桐裕司監督作品第2弾『END OF LOYALTY(原題)』がワールドプレミア上映された。この作品の字幕をJVTA修了生の長沼葉奈さんとウォルシュ未加さんが手がけた。上映前には片桐監督と共に出演の生島翔氏(『Darc/ダーク』)と、マイケル・パレ氏(『ストリート・オブ・ファイヤー』)、ヴァーノン・ウェルズ氏(『マッドマックス2』『コマンドー』)が登壇。熱気あふれる会場にJVTAスタッフと翻訳者の長沼さんが参加してきた。
 

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片桐裕司監督は、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』『ハンガーゲーム』などの人気ハリウッド作品で、特殊メイクやSFXを手がけてきた、特殊造形クリエーター。2018年は自身の初の監督作品『ゲヘナ~死の生ける場所~』(字幕はJVTA修了生が担当)が北米と日本で上映され、話題になった。

 

そんな片桐監督の第2弾がアクション映画とは、少し意外に感じるかもしれない。しかし実は片桐監督は合気道をやっており、アクションにも以前から興味があったという。生島氏も「監督の血の中にはアクション魂が流れている」と話していたのが印象的だった。アクションのプログラムは監督の合気道の先生が務めており、監督は「殴る蹴るだけではなく、ちょっとユニークなアクションも入れてほしい」と伝えたそうだ。さらにダンサーでもある生島氏のキレのあるしなやかな動きやガンアクションなども見どころとなっている。
 

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(C)END OF LOYALTY
 

字幕翻訳を担当した翻訳者は、アクションシーンが多いだけに、字数制限に悩まされたと話す。
 

「ストーリーがテンポよく進むので、情報を取捨選択しながらスッキリした字幕になるように心掛けました。アクションシーンは話すのも早く、字幕を出せる尺が短いのです。でもアクションのシーンなのに長い字幕を表示するとテンポが悪くなってしまいます。同じ人物のセリフなら、何枚かの字幕の中でうまく配分しながら情報を入れていくことができるのですが、多数の人物がいて各々が短いセリフを言い合いながら闘うシーンは、カット割りも細かく、やはり字数制限が厳しかったですね。」(長沼葉奈さん)
 
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※上映会場にて 長沼さんと片桐監督
 

冒頭の英語でクレジットが流れるシーンの場合、日本語字幕は縦位置になるため、横位置よりもさらに字数が少なくなり苦労したという。短いセリフも多く、最終的に字幕の数は91分で1000枚を超えた。長沼さんの字幕をウォルシュさんがチェック、そして片桐監督のフィードバックを反映し、字幕が完成した。
 

「尺が短い字幕が多かったので、原文のジョークをいかにわかりやすく読みやすい表現に訳せるかを意識しながら作業しました」(ウォルシュ 未加さん)
 
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(C)END OF LOYALTY
 

「僕自身も、海外で韓国ドラマを英語字幕で見ているのですが、全然読み切れないことがよくあります。画面を静止して字幕を見ることも少なくない。僕のこの作品もやはり字数制限が大変でした。でも、翻訳者さんと話し合いながら進められたのが良かったです。あとはキャラ付け、言葉遣いや語尾などで希望を伝え、反映してもらいました。」(片桐監督)
 

キャラ付けも翻訳者の腕の見せ所と言える。この作品の見どころは、激しいアクションシーンだけではない。親子の絆、友情、大事な人を失う悲しみなど重厚なドラマも描かれている。マイケル・パレ氏は脚本を読んだ時にいい映画だと確信したという。「ただのアクションムービーではなく、深い感情に彩られた物語です。私は絶望や悲しみ、危険にさらされた息子を支えようとする父親役だが、そういうところもぜひ観てほしい」と語っていた。
 

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※ヴァーノン・ウェルズ氏とマイケル・パレ氏が夢の共演
 

「一番気がかりだったのは、言葉遣いでした。four-letter wordなどもあり、敵対する者同士の会話をどこまで強いワードにするか迷いました。片桐監督からは『もっと乱暴な口調にしてほしい』という要望で、調整した箇所もあります。バイオレンスシーンがある一方で、家族や友情のシーンでは温かさを出すなどメリハリをつけることを意識しながら字幕を作りました。」(長沼さん)
 
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ちなみに、片桐監督はマイケル・パレ氏が主演した80年代の名作『ストリート・オブ・ファイヤー』やヴァーノン・ウェルズ氏が悪役の代表作『マッドマックス2』や『コマンドー』を中学高校時代に何度も観ていたそうで、彼らが自分の映画に出てくれるというだけで大興奮だと話す。そんな片桐監督から、映像翻訳に携わる皆さんへメッセージを頂いた。
 

「作品を制作する時はキャラクターの性格を大事にし、登場人物によるセリフの違いなどを意識して作っています。
翻訳でもそのような違いや深い意味を持つセリフなどを読み取れることが優れた翻訳家だと思います。
ただ翻訳するのとは違い、製作者の意図を汲み取れる人だとまたやってもらいたいと思えます。
そのような翻訳者になれるよう頑張ってください。」(片桐監督)
 

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(C)END OF LOYALTY
 

『END OF LOYALTY(原題)』は、ぜひ大画面で観たい迫力のアクション大作。今後の劇場公開が楽しみだ。
 
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(C)END OF LOYALTY
 

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