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【イベントレポート】名うてのプロデューサーが語った! 最優先で求められる映像翻訳者に必要な力とは

【イベントレポート】名うてのプロデューサーが語った! 最優先で求められる映像翻訳者に必要な力とは
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10月5日(月)、日本映像翻訳アカデミーが開催する“秋期セミナー2020”の講演第2弾「エンタメ・ビジネス最前線 大人気キャラクターを世界から日本へ! 日本から世界へ!」が開催され、国内外からおよそ110名の方がプロデューサー・林美千代さんの“ローカライズ秘話”と“映像翻訳への期待”に耳を傾けました。林さんは『ウォレスとグルミット』や『スティッチ!』、『ゴジラ』など国内外のコンテンツのプロデュースやマーケティングに携わる、ライセンス・ビジネスのスペシャリストです。
 

キャプチャ
 

最優先すべきは吹き替え版・字幕版の制作
映像翻訳におけるローカライズ(ローカリゼーション)とは、その地域の視聴者に合った吹き替え版・字幕版を制作すること。林さんは「エンタメ/ライセンス・ビジネスに大切なのは“作品の世界を支える優れたストーリー”」と断言。その上で、「ストーリーに優れた海外のコンテンツを日本に紹介するための最優先のミッションは、高い品質の吹き替え版・字幕版の制作です」と参加者に語りました。「英語や他の国の言葉で作られたすばらしいストーリーも、きちんと翻訳されないと、良さが伝わりません。結局、一番大事なのは脚本です。よって、いかに精度の高いローカライズができるかが生命線。その点、日本の映像翻訳は世界最高レベルです」。
 

日本のローカライズの5つの強み
あらゆる世代に愛されるキャラクターの多くは海外で生まれたもの。その共通点は「ストーリーが素晴らしいんです。このストーリーを、その時のローカライズ担当者がきちんと世の中に伝えてきたことが今につながっています」。そんな日本のローカライズには5つの強みがあると語ります。林さんによれば、それは“速さ”、“経験”、“技術”、“センス”、そして「“視聴者目線”です。プロデューサーの私たちは、作品をお届けしたい人のイメージを作るところから始めます」と、自身が手がけた実例を交えながら、国内外のコンテンツが視聴者に届けられるまでの工程を掘り下げました。
 

どんなにたくさんの言語があっても
最後に、林さんから参加者の皆さんにローカライズに大切なポイントを伝授。そのうちのひとつ「想像力と創造力」と題するパートでは、「単純に、出来上がった作品を日本語にする、英語にする、他の国の言葉にする――それだけではなくて、クリエイティブさが求められる現場も必ずある。その時に翻訳者にとって必要となるのが想像し、創造する力です。優れた翻訳者の手によれば、映画がどんなにたくさんの言語に訳されたとしても、人はひとつの映画を共有することができるのです」と締めくくりました。
 

講演終了後はQ&Aセッション。参加者の皆さんから林さんに、続々と質問が投げられました。
 

Q. 吹き替えの現場で、翻訳者はスピーディーにたくさんの代案を求められたりするのでしょうか? 現場に行ったことがないので、どのように行われるのか知りたいです。
 

林さん●基本的に、代案はいただかなくて大丈夫。私たちプロデューサーは翻訳者をプロだと思っているので、ひとつの翻訳で結構です。ただ、キャスティングが特別な現場のときは、翻訳者の方に、ご自身の“頭脳“を持ってきていただくことがあります。
 

Q. (国によって笑いどころは異なるため)コメディ・コンテンツはあまりコンテンツの輸出入がないように思えます、これから増えると思いますか?
 

林さん●動画配信サービスにおいて、一番訴求力があるのは、コメディと(日常の中に非日常があらわれるようなタイプの)SFだといわれています。日本には、今後どんどん輸入されるでしょう。ただ、輸出となると日本はまだまだこれから。アニメ以外の分野では、日本の番組販売の会社や部門の力が必要です。アニメについては、日本のアニメスタジオはこれからさらに忙しくなり、翻訳者の仕事も、もっと大切になってくるはずです。
 

<参加者のアンケートから>
●視聴者目線や、制作者の意図を考えるということについて、具体的なお話を聞かせていただけて、イメージがよりクリアになりました。
●「作品はお預かりしたよそ様の子」という表現に胸を打たれました。ローカリゼーションに携わるすべての人間が道標にすべき考えだと思いました。
●実際に翻訳や吹き替えの作品がどういう過程で輸出入されるのか、翻訳や吹き替えをどう使っていくのか、など製作の声が聞けて勉強になりました。
 

* * *
 

JVTAがこの秋開催した“秋期セミナー2020”のテーマは「語学人材(Linguist)」はアフターコロナに飛躍せよ!」。映像翻訳におけるその鍵は、多様な視聴者のことを徹底的に考える、時代に即したプロ意識なのかもしれません。
 

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